老人(としより)の目(『ある年寄りの雑感』)

「子どもの目」という言葉がありますが、「年寄りの目」で見たり聞いたり感じたりしたことを、気儘に書いていきたいと思います。

カラスノエンドウ、スズメノエンドウ

2009-05-16 09:18:00 | インポート

先日の朝、ラジオを聞いていたら、アナウンサーが「カラス ノエンドウ」と言っているので、びっくりした。カラスノエンドウは、てっきり「カラスノ エンドウ」だと思っていたからである。

すぐに広辞苑をひいてみたら、たしかに「からす・のえんどう(烏野豌豆)」となっている。そして、「(これに似てもっと小形のスズメノエンドウに対する名)」とある。説明の最後に、「ヤハズエンドウ。野豌豆」としてあった。
あレレ、あれは「カラス ノエンドウ」「スズメ ノエンドウ」だったのか。

念のため、手元にある保育社の古い『原色植物観察図鑑』を見てみたら、スズメノエンドウの説明に、「スズメノエンドウというのは、昔この仲間をノエンドウといい、そのうちでとくに小さいので、スズメノエンドウという名がついた」とあり、カラスノエンドウのほうには、「カラスノエンドウというのは、昔この仲間をノエンドウといったので、そのうち果実の大きい方をカラスノエンドウといった」と出ていた。

カラスノエンドウは、ヤハズエンドウとも言うことは広辞苑にも出ていたが、フリー百科事典『ウィキペディア』によれば、「ヤハズエンドウが植物学的局面では標準的に用いられる和名だが、カラスノエンドウ(烏野豌豆)という名が一般には定着している(「野豌豆」は中国での名称)」としてある。

スズメノエンドウとたいへんよく似た植物に、カスマグサという草があるそうだ。この草はカラスノエンドウとスズメノエンドウの中間の形をしていることから、カスマグサと名づけられたのだそうである。
つまり、カスマグサという名前は、カラスノエンドウのと、スズメノエンドウの、そして間(あいだ)という意味のから、カスマグサとつけられたのだという。(あるいは、ラスとズメの間(あいだ・)という意味でカスマグサと名づけられた、といったほうがいいのかも知れないが。)
妙な名づけ方をされた草があるものである。

ついでに言うと、ヘチマという名前も、同じような名づけ方でついた名前だという。フリー百科事典『ウィキペディア』の「ヘチマ」の項によると、「(ヘチマの)本来の名前は果実から繊維が得られることからついた糸瓜(いとうり)で、これが後に「とうり」と訛った。「と」は『いろは歌』で「へ」と「ち」の間にあることから、「へち間」の意で「へちま」と呼ばれるようになった。今でも「糸瓜」と書いて「へちま」と訓じる」ということだそうである。
そうとは知らなかった。

ところで、スズメノカタビラ、スズメノテッポウという草もある。これらは、それぞれ「スズメ・ノ・カタビラ」(雀の帷子)、「スズメ・ノ・テッポウ(雀の鉄砲)」であって、普通の受け取り方をしていて問題はない。

だとすると、草に名前をつけるときに、「カラス・ノ・ノエンドウ」「スズメ・ノ・ノエンドウ」とつけてくれればよかったのに、という気がしないでもない。

ともあれ、よく調べもしないで独り合点をしてしまうと、間違って覚えてしまうことがよくあるものだ。注意しなければならない、とあらためて思ったことである。


参考: 
○フリー百科事典『ウィキペディア』の「ヤハズエンドウ」
○ 『自然風の自然風だより』というブログに、「烏野豌豆(カラスノエンドウ)と雀野豌豆(
スズメノエンドウ)とカスマグサ」というページがあって参考になります。よかったらご覧ください。
 → ブログ『自然風の自然風だより』
 → 「烏野豌豆(カラスノエンドウ)と雀野豌豆(スズメノエンドウ)とカスマグサ」
○フリー百科事典『ウィキペディア』の「ヘチマ」の項もご覧ください。