「入管法が改正されたら死ぬしかない」入管に収容された難民はそう語っている。
命からがら日本に逃げてきた難民を無理矢理強制送還すれば本国で殺されるかも知れない。
ウィシュマさん死亡事故をきっかけに、この「入管法改悪」に反対する運動が若者たちを中心に広がり、一旦は法案の成立を食い止めましたが、今、岸田内閣は再度「入管法改悪」案を国会に提出しようとしています。
政府が今国会で再提出を予定している入管難民法改正法案に反対する大学生ら約40人が3日、東京・永田町の参議院議員会館前で抗議活動を展開しました。参加者らは順にマイクを握り、「いまの法律でも問題なのにさらなる人権侵害に加担する法案提出は認められない」と声を張り上げました。
『昨年の入管法改定案を考える――送還の危険性』
(NHK NEWS WEBより)
30年牛久入管に通う女性が教えてくれたこと
30年牛久入管に通う女性が教えてくれたこと
茨城県牛久市にある、出入国在留管理庁・入管の施設に通っている女性がいます。つく...
茨城県牛久市にある、出入国在留管理庁・入管の施設に通っている女性がいます。つくば市の田中喜美子さん(70)です。
施設に収容されているのは、在留資格がなく国内に滞在し、強制送還の対象となっている外国人たちです。そうした人たちと田中さんは、およそ30年にわたって毎週のように面会を続け、心の支えになってきました。
そんな田中さんの長年の活動の原動力となっている思いに迫りたいと、取材を始めました。
牛久市にある入管の施設、通称・牛久入管。
この場所を田中さんは毎週水曜日に訪れ、収容されている外国人と面会しています。入管の許可を得た上で、差し入れもします。
田中さん
きょうは日系ブラジル人の方とかマレーシアの人そんな方と面会します。頼まれたので、中国の方には、ごまのふりかけ。それにスポーツ新聞。こういうものを差し入れます
この施設に収容されているのは、在留資格がないまま国内に滞在する人たちです。
12月9日の時点で43人が収容されているといいます。母国での紛争や迫害などを理由に難民申請をしている人や、日本人の配偶者との離婚がきっかけで在留資格がなくなった人など、さまざまな事情を抱えた人たちが収容されています。
田中さん
自由に生きてほしいし何とか生きてほしいなと、心から思っているけど、なかなか難しい。できれば何かサポートできるようなことがあればありがたいなと思っています

ふだんはつくば市で喫茶店を営んでいる田中さん。
面会を始めたのは、牛久に入管施設ができたおよそ30年前。
支援関係者の送迎を手伝った際に、施設の中で苦しむ外国人の存在を知ったのがきっかけでした。

その後、支援団体を立ち上げ、仲間とともに面会活動で収容されている人たちの声を聞き取り、一般の人たち向けに報告会を開いています。
長期収容 ノートに記された悲痛な声
これまでの面会でとりためたノートは、30冊以上になります。
田中さんが、この間、問題だと感じているのは、収容の期間が長期に及び、苦しんでいる人たちがいることです。中には10年以上収容されていると、田中さんに話した外国人もいるといいます。ノートには、そうした長期収容の外国人から聞き取った悲痛な言葉が記されています。

「精神的ダメージ 大きい」
「自傷行為」
「頭がおかしくなってしまう」
田中さん
6か月をすぎると精神がおかしくなるとみんな言いますよね。ほとんどの人が睡眠導入剤や精神安定剤を処方されて飲んでいましたね
なぜ 収容が長期化するのか
なぜ収容が長期化してしまうのか。
入管施設は本来、強制的に母国に送る送還の前の一時的な収容施設とされていますが、日本では、収容の期限に定めが設けられていません。帰国すると命の危険が及ぶなどの理由で母国に戻れないという、行き場のない人たちは、結果的に期限がないまま、この場所に留め置かれる状況になってしまいます。
田中さんは、こうした制度のはざまで社会から取り残された人たちの力になりたいと、面会を続けているといいます。
私は、田中さんの思いをより深く知るため、入管の施設での面会に同行させてもらうことにしました。面会は小さな部屋で行われ、多くの人が田中さんを「お母さん」と呼んで慕っていました。この日、田中さんが話を聞いた一人は、4年間収容されているという男性です。
田中さんは、「調子はどう」などと問いかけ、穏やかに、時にユーモアを交えて話をします。
男性は田中さんの存在にほっとした様子を見せ、自身の境遇を語り始めます。母国での苦しい状況。日本に来て働くことができた喜び。そして、男性は「この場所から出て、かつてのように再び日本で働きたい」と訴え、涙を浮かべました。私は同行取材を通して、収容されている外国人にとって、田中さんが大きな支えになっていることを感じさせられました。
田中さんは、入管の施設は、本来は一時的に収容する施設であるのに、収容が長期化してしまう状況に疑問を感じています。
田中さん
刑務所で、長い間収容されているとしたら、それは大罪を犯した人。入管の施設は、刑事罰の矯正施設ではないんです。刑務所ではない、一時的な船待ち場なんです
彼らが何を求めているのかを伝えたい
壮絶な話を聞き、苦しみを受け止める田中さんの面会活動。その原動力となる思いを聞こうと、私は田中さんに「30年もの長い間、休むことなく面会を続けられているのは、なぜですか」と尋ねてみました。
田中さん
私が面会しなかったら、誰にも会わずに、誰にも自分がここにいることを知ってもらえずに、誰かに訴えることもできない。彼らが何を求めているのかを、私は伝えたいと思うんです。この茨城は、外国人の労働者なしには生きていけない。ぜひ、みんなで考えていただきたいなと思う
そのことばから、社会から隔絶された場所に取り残された人たちの声に寄り添い、人としての尊厳を守っていきたいという強い思いを感じとりました。
田中さんがずっと疑問に感じてきた入管施設の長期収容。国際的にも問題を指摘されています。国連の人権に関する委員会はことし11月、この長期収容について、日本政府に改善を求める勧告を出しています。
一方で、入管側では、帰国すると迫害などで命に危険が及ぶおそれがあるとして難民申請をしているため母国に送る強制送還ができなかったり、そもそも受け入れを拒否する国もあったりして、難しい状況もあるとしています。
国も入管法の改正を検討しています。去年、国会で収容のあり方を見直す法案が提出されましたが廃案となったため、内容の再検討を行っているということです。
田中さんは、面会で収容されている人たちの話を聞くたびに、世界のさまざまな紛争や国の現状について知り、行き場を失った人たちの力になりたいと感じるのだと話していました。その田中さんの思いに触れた私も、制度のはざまで苦しむ人たちの今後を取材して伝えていきたいと、思いを強くしました。
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