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法務省が「難民の認定を求める札幌高裁判決」への上告を断念。日本の入管行政に風穴があく

2022-06-09 01:10:28 | 入管

トルコ政府の弾圧を逃れて日本に来たクルドの人たち。諸外国では難民認定されているのに、日本では今まで一人も難民認定を認めなかった。

札幌高裁は、クルド人男性に、拷問による傷があること。男性が日本に逃げて来た直後に、トルコ現地に残った父親が襲撃されて死亡したこと。その父親が襲撃されて重傷を負った写真を日本政府が隠していた、ことなどを受け「日本政府はクルド難民を認めろ」という画期的な判断を示し、法務省も上告を断念した。

スリランカ女性ウィシュマさんが入管収容所内で亡くなった事件をきっかけに明らかになった日本の「暗黒の入管行政」にようやく風穴があきました。

クルド人男性難民認定の判決確定で古川法相「上告理由を見出しがたく、判断した」

クルド人男性難民認定の判決確定で古川法相「上告理由を見出しがたく、判断した」【動画あり】:東京新聞 TOKYO Web

クルド人男性難民認定の判決確定で古川法相「上告理由を見出しがたく、判断した」【動画あり】:東京新聞 TOKYO Web

 トルコ国籍の20代のクルド人男性に対する国の難民不認定処分を取り消した札幌高裁判決を巡り、国が最高裁への上告を断念したことについて...

東京新聞 TOKYO Web

 
 トルコ国籍の20代のクルド人男性に対する国の難民不認定処分を取り消した札幌高裁判決を巡り、国が最高裁への上告を断念したことについて、古川禎久法相は7日の閣議後の記者会見で「判決内容を精査した結果、上告理由を見出しがたく、判断した」と述べた。
 札幌高裁判決は、男性の顔や手など、衣服で隠れない部分にも暴行の痕跡があるほか、男性の父親が襲撃されて重傷を負った写真が一審で国から提出されなかったことなどを指摘。出入国在留管理庁の難民認定が不適切だった可能性もあるが、古川法相は「個別事案のコメントは控える。日本人と外国人が、安心安全に暮らせる共生社会の実現には、外国人の人権に配慮することが重要。それとともに、ルールに違反する者には厳正に対処することが、全国の出入国在留管理行政の基本だ」と話した。

<解説>クルド人男性難民認定の判決確定へ 国は適切に難民認定を:東京新聞 TOKYO Web

 今回の高裁判決では、男性の顔や頭の切り傷を軍や警察の拷問によるものと認定。男性が14年に来日した後、現地に残った父親が襲撃されて負傷し、その後死亡したこともあり、帰国すれば迫害を受ける恐れがあると判断した。
 同事務局によるとこの男性が難民認定されれば、トルコ国籍のクルド人として初の認定となる。支援者らは「クルド人を『テロリスト』とするトルコ政府への配慮か、まだ難民認定されたことがない。認定されれば、約2000人いるとされる他の在日クルド人の希望になる」と注視する。
 
日本でクルド難民が置かれた状況を描いた映画「マイスモールランド」、胸がしめつけられます
 
 
 
(映画の原作本)

なぜウクライナだけ「避難民認定」?放置される「難民申請者」

なぜウクライナだけ?放置される「難民申請者」 | 政策

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「自分の国に帰れないという点では、ウクライナ避難民と何ら変わらない。そんな人たちが目の前にいるのに、見過ごされている」 こう話すのは、NPO法人北関東医療相談会(通...

東洋経済オンライン

 

ウィシュマさん裁判始まる「姉は見殺しにされた」

「裁判官はビデオを見て」妹たちが“最大の証拠”監視カメラの全開示求める ウィシュマさん国賠訴訟 | TBS NEWS DIG

「裁判官はビデオを見て」妹たちが“最大の証拠”監視カメラの全開示求める ウィシュマさん国賠訴訟 | TBS NEWS DIG

姉の死の真相を知るため、8日、2人は名古屋に降り立ちました。スリランカ人のワヨミさん(29)とポールニマ(27)さん。2021年3月、名古屋の入管施設で収容中に亡くなったウ...

TBS NEWS DIG

 

 

 

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ベトナム人技能実習生を苦しめる日本の「闇」。「死産」が罪に問われ、職場では暴行。そして自殺

2022-04-17 22:12:44 | 入管

 孤立出産の末に死産、土葬しようと自室に置いたのは「死体遺棄」か ベトナム人技能実習生に無罪求める声

(東京新聞の記事より)

孤立出産の末に死産、土葬しようと自室に置いたのは「死体遺棄」か ベトナム人技能実習生に無罪求める声:東京新聞 TOKYO Web

  孤立出産の末に死産した双子の遺体を自室に置いたとする死体遺棄罪で、一、二審で有罪となった熊本県のベトナム人技能実習生=上告中=に、無罪を求める声が広がっている。弁護団は今月、100人超の意見書や署名約2万6000筆を最高裁に提出。「孤立出産に追い込まれた女性に死体遺棄罪を適用するのは理不尽だ」と訴える。

(動画:孤立出産したベトナム人技能実習生リンさんは無罪です)

 熊本のベトナム人技能実習生死体遺棄事件 2020年11月、熊本県芦北町の自宅で双子の男児を死産し、段ボール箱に入れて安置したベトナム人技能実習生レー・ティ・トゥイ・リン被告が死体遺棄容疑で逮捕、起訴された。リン被告は当初から無罪を主張したが、昨年7月の熊本地裁は「死産を周りに隠したまま、私的に埋葬するための準備だった」として懲役8月、執行猶予3年の判決を言い渡した。今年1月、福岡高裁判決は、二重の段ボール箱に入れてふたを粘着テープで計13カ所留めたことが、故意に遺体を隠した「遺棄」だとして、一審を破棄した上で懲役3月、執行猶予2年とした。弁護側は上告した。

 「子どもたちの遺体を傷つけたり、捨てたり、隠していない」。今月11日、オンラインの記者会見で、レー・ティ・トゥイ・リン被告(23)は声を震わせた。
リン被告が双子の遺体を入れた段ボール箱を安置した自室の棚==コムスタカ-外国人と共に生きる会提供

リン被告が双子の遺体を入れた段ボール箱を安置した自室の棚==コムスタカ-外国人と共に生きる会提供

 2018年、熊本県芦北町のミカン農家に技能実習生として来日。20年春ごろ、交際相手との子を妊娠したが、帰国させられるのを恐れて周囲に言えないまま、11月に自宅で双子の男児を死産した。
 双子を胎内から出したばかりで心身が限界を迎える中、遺体をタオルで丁寧にくるんで段ボールに入れた。「強くたくましく」などの願いを込めて「コイ」「クオイ」と名付け「双子の赤ちゃんごめんね。早く安らかな場所に入れるようにお願いします」と母国語で書いた弔いの手紙を添え、遺体を自室の棚の上に置いた。体力が回復したらベトナム式に土葬するつもりだった。
 
リン被告が死産した双子に向けて書いた手紙。上から、太陰暦での日付、双子の名前、祈りの言葉などが記されている=コムスタカ-外国人と共に生きる会提供

リン被告が死産した双子に向けて書いた手紙。上から、太陰暦での日付、双子の名前、祈りの言葉などが記されている=コムスタカ-外国人と共に生きる会提供

 

 妊娠を疑った監理団体職員に病院に連れられ、死産を打ち明けたのは、30時間余りたった翌日夕方。医師が通報し、入院を経てリン被告は逮捕された。
 刑法は死体や遺骨などを遺棄した場合、3年以下の懲役に処すると定める。「遺棄」は、死者に対する一般的な宗教的感情や敬けん感情を害する行為とされ、一、二審とも遺体を段ボール箱に入れて置いていたことが「遺棄」に当たると判断した。
 リン被告の行為は宗教的感情を害する「遺棄」なのか―。上告に合わせて弁護団がインターネットで意見を募ると、出産経験者や宗教家らから「彼女が精いっぱい行った葬りのかたちと見受けられる」「大切なものを慈しむ行為にしか見えない」などと反発が寄せられた。弁護団は127人分の意見書を上告趣意書とともに提出し、最高裁に無罪判決を求めている。
 主任弁護人の石黒大貴弁護士は「孤立出産の末、死産となった女性が、自らぎりぎりの状況で優しさや弔いの情から出た行為が、遺棄として罰せられていいのか」と主張する。
 リン被告は「精神的にも肉体的にも非常に苦しかったが、できる限りのことをしようとした。血まみれのマットレスの上で子どもたちを冷たくすることはできなかった」と振り返り、声を振り絞った。「私は子どもを産みたかったです」

◆えい児のための愛情ある行動

匿名で赤ちゃんを保護する「こうのとりのゆりかご(通称・赤ちゃんポスト)」を設置する慈恵病院の蓮田健理事長・病院長の話 心身ともに不良な中で、自らのためではなくえい児のために行動を起こしたリン氏の精神力と愛情には驚かされる。この行為が罪に問われれば、孤立出産に伴う死産ケースのほとんどが犯罪とみなされかねない。えい児の遺体を隠したり遺棄する犯罪行為が誘発されることを危惧する。

◆妊娠、出産で実習中断 不利益を恐れる外国人実習生

 今回の事件の背景には、外国人技能実習生の弱い立場がある。妊娠や出産を理由に解雇などの不利益な扱いをすることは法律で禁止されているが、周知が進まず、十分な支援を得られていない実態がある。
 出入国在留管理庁などによると、昨年12月末現在の技能実習生は約27万6000人。実習は有期雇用契約にあたり、日本人と同様に労働基準法や男女雇用機会均等法が適用される。
 だが、妊娠や出産を理由に実習を中断した人は、2017年11月〜20年12月で637人。このうち再開が確認できたのは昨年8月時点で11人(1.7%)にとどまる。
 技能実習制度に詳しい弁護士によると、中絶か帰国を迫られたケースも報告され、実習生の間で「妊娠、出産すれば強制的に帰国させられる」とのうわさが広まっているという。望まない妊娠、出産で追い詰められた実習生らが、死体遺棄容疑などで逮捕される事例は他にも起きている。
 リン被告を支援する「コムスタカ—外国人と共に生きる会」の中島真一郎代表は「実習生を安価な労働力としてしか見ていない制度自体が問題だ」と指摘。石黒弁護士は「背景に、実習生や婚姻外で孤立出産する女性への差別がある。死産や流産の責任を全て女性のみに負わせようとする日本の現状や刑事裁判の在り方を問いたい」と話す。
「有罪判決はマジョリティの価値の押し付け」。双子を死産したベトナム人の元技能実習生、無罪を求める最高裁への上告趣意書の内容とは?

「有罪判決はマジョリティの価値の押し付け」。双子を死産したベトナム人の元技能実習生、無罪を求める最高裁への上告趣意書の内容とは?

福岡高裁で死体遺棄罪の有罪判決を受けたレー・ティ・トゥイ・リンさん。上告趣意書で「わが子に強い悲しみや謝罪の気持ちをもって行われた行為は『遺棄』とは評価できない...

ハフポスト

 
 

ベトナム人実習生「複数の日本人従業員から暴行」 骨折など重傷

岡山市内の建設会社で働いていたベトナム人技能実習生の男性(41)が、複数の日本人従業員から繰り返し暴行を受け、あばら骨を折るなどの重傷を負っていたことがわかった。男性は17日、岡山市役所で記者会見し、「家族や他の実習生に迷惑をかけたくなくて、我慢してきた。外国人にもっと思いやりの気持ちがほしかった」と述べ、会社などに対して謝罪と慰謝料を求めている。
ベトナム人技能実習生暴行 医師に“自転車で転んだ”虚偽説明|NHK 岡山県のニュース

ベトナム人技能実習生暴行 医師に“自転車で転んだ”虚偽説明|NHK 岡山県のニュース

岡山市の建設会社で働いていたベトナム人の技能実習生の男性が、2年間にわたって職場で暴行を受けていた問題で、会社に指導や助言を行う監理団体の…

NHK NEWS WEB

 

岡山市の建設会社で働いていたベトナム人の技能実習生の男性が、2年間にわたって職場で暴行を受けていた問題で、会社に指導や助言を行う監理団体の担当者が「男性は自転車で転んだ」と、診断した医師にうその説明をしていたことが分かりました。
このため男性のケガは労災として扱われず、男性を保護した労働組合は「あってはならないことだ」と話しています。

岡山市南区の建設会社「シックスクリエイト」で働いていた、ベトナム人の技能実習生の男性は、2年間にわたって同僚から暴行を受けていたと訴え、会社側に謝罪と慰謝料を求めています。
男性を保護した広島県福山市の労働組合によりますと、おととし5月、男性が同僚から建設資材を投げつけられ唇を切るけがをした際、会社から連絡を受けて病院に付き添った岡山市の監理団体の担当者が、仕事中のケガと知りながら「自転車で転んだ」と、診断した医師に説明したということです。

日本で命を絶つ若者たち…。技能実習生の「駆け込み寺」、ベトナム人住職が伝えたいこと

日本で命を絶つ若者たち…。技能実習生の「駆け込み寺」、ベトナム人住職が伝えたいこと

日本で命を絶つ若者たち…。技能実習生の「駆け込み寺」、ベトナム人住職が伝えたいこと

職場でのいじめや暴力、低賃金ーー。「日本は文明を高めている国なのに、人権を尊重する国なのに、なぜそういうことが起きるのか」

ハフポスト

 

国際社会から「現代の奴隷制」と揶揄される日本の技能実習制度。過酷な労働環境や低賃金などを理由に失踪する実習生があとを絶たない。

悲しいことに、日本で命を落としてしまう人もいる。寺ではこの2年間で、実習生や留学生など約200人の葬儀を行ってきた。

亡くなった方の情報をまとめた書類を見せてもらった。心筋梗塞、心不全、突然死…と死因が並ぶ。パスポートのコピーにふと目をやると、まだあどけない若者の顔があった。

「(実習先では)重たい仕事や危険な仕事、日本人が嫌な仕事をさせるけれども、病気になった場合、誰も補償しない。便利な社会の裏側に犠牲があるのを知ってほしい」

自殺者もこの2年で8人。「ベトナムでは自殺は少ないのに、なぜ日本で…」チーさんは声を落とす。

 

 

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まるで独裁国家の牢獄。外国人を動物扱いする入管の闇をあばいた映画「牛久(うしく)」

2022-04-11 15:53:42 | 入管

入管収容施設の映画「牛久」の監督が問いかけるもの

(47NEWSより)

入管収容施設の映画「牛久」の監督が問いかけるもの トーマス・アッシュ監督インタビュー | 47NEWS

 オーバーステイなどで在留資格を失い、国外退去を命じられた難民認定申請者らが多く収容されている入管施設。その実態に迫ったドキュメンタリー映画「牛久」が2月下旬から全国で公開され、反響を呼んでいる。

 「牛久」とは、全国に17カ所ある入管収容施設の一つ、「東日本入国管理センター(茨城県牛久市)」、いわゆる「牛久入管」のことだ。

 作品を手掛けたトーマス・アッシュ監督は、「牛久」の面会室にカメラを忍ばせ、アクリル板越しに窮状を訴える収容者たちの姿をビデオカメラで記録した。社会から隔離された「密室」で繰り返される自殺未遂や命がけのハンガーストライキ、「制圧」という名の暴力…。レンズを見据えた収容者たちの証言から、人権侵害の実態が浮かび上がる。制作の思いや背景を監督に聞いた。

 ▽ハンストで命がけの抗議

 監督が入管問題に関わるようになったのは、2019年秋だった。教会のボランティアとして入管施設の収容者との面会活動をしている友人に誘われ、牛久と品川の入管を訪れたのがきっかけだった。

 面会室はアクリル板1枚で仕切られ、たとえ家族であっても手を触れることすらできない。録画や録音は一切禁止、携帯電話の持ち込みも許されない。規制の数々は、施設内の重苦しい空気をさらにそうさせているようだった。収容者と対面すると、過酷で理不尽な扱いを各々が訴え始めた。少しずつ事態の深刻さをのみ込んでいった。

アクリル板越しにトーマス監督と手を重ねるピーターさん。ハンストで歩行できなくなるまで衰弱し、車いすで収容生活を送っていた(監督提供)

 この時期、全国の入管収容施設では、長期間に及ぶ収容に絶望して心を病み、自傷行為や自殺未遂をする人、抗議のハンストをする人が相次いでいた。

 6月、長崎県大村市の入管でハンスト中のナイジェリア人が餓死すると、抗議ハンストは増加。極度に衰弱すれば一時的に身柄の拘束が解かれる「仮放免」が認められるケースが増え、全国に拡大した。

 だが、仮放免されても2週間で再び収容される厳格な運用を入管は徹底し、収容者たちをさらに苦しめた。監督がアクリル板越しに相対した多くの人たちも命がけで抗議。会うたびにやせ細り、生気を失っていくようだった。ハンストを決行するイラン出身で難民申請者のアリさんは、カメラの前で悲壮な覚悟を伝える。「今は入管と僕のファイト。誰が勝つか分からないよ」

 ▽収容者の肉声を証拠として記録

 長期の収容が続いた背景には、東京五輪を前にした治安対策の名の下、非正規滞在者の締め付けを強化した入管の方針がある。彼らを「社会に不安を与える外国人」と規定し、全員を原則収容。いつ出られるか分からない無期限の拘束で精神的に追い込み、自発的に出国するように迫った。

 だが、収容者の多くは難民申請者。帰国を強要されても、母国での迫害の恐れなどがあって帰れない。結果、収容は長期化した。新型コロナウイルスの感染が拡大して以降、感染防止対策で多くの収容者が今も仮放免されているが、収容の是非は入管側の裁量で決められる。裁判所による審査はない。

 ボランティア活動を通じ、百人を超える収容者と面会する中で、彼らが命を落としてしまう危険を本気で感じたという。「もしここで死んでも、隠ぺいされるのではないか」。

 脆弱な立場の非正規滞在者。その存在をかき消し、人生を弄(もてあそ)ぶかのような入管政策と処遇。衰弱していく人たちを目の前に、躊躇(ちゅうちょ)する余裕はなかった。

「苦しむ彼らの肉声を証拠として記録できないか。この扱いが、この先も続くことがないように動かなければ」。証言を残すため、カメラを回し始めた。

 ▽極端に低い日本の難民認定率

 「難民申請書はあるけど、あれはみせかけだ」「他に選択肢はない。待ち続けるしかない」。

 映画では、難民認定の申請をするもいっこうに認められない厳しい現実を、収容中の申請者たちが口々に訴える。その声や姿を映像に収めると同時に、その信憑性を確かめようと論文や記事などの資料を読み込み、背景を分析した。「深く知ろうとすればするほど、なぜという疑問ばかりが沸いてきました」

 彼らの話を集めると、日本の難民認定制度の問題にたどり着いた。国外退去を命じられた人のほとんどは帰国しているが、それでも残る人たちの多くが迫害の危険などを理由に難民認定の申請をする。だが、認定率は1%にも満たず、諸外国と比べても極端に低い。日本は81年に難民条約に加入しているが、実際は難民の受け入れに消極的だ。

その該当性は入管職員(難民調査官)が判断するが、審査の過程や判断理由などは開示されず、申請者はなすすべがない。

収容の苦しさを訴えるデニズさん。11年に日本人女性と結婚し生活基盤が日本で整うも在留資格が与えらず、健康保険に入れない上、働くことも許されない(監督提供)

 「公正で透明な手続きにすべきです。不許可理由が示されなければ、申請者はどういった証明が必要だったのかも分からず、申請を繰り返すしかない。出身国による差別もあってはならず、平等原則で審査すべきです」

 審査に政治的な判断が持ち込まれているという批判は根強い。例えば多くがクルド人とみられるトルコ国籍者の認定率は世界平均では45・6%(19年)だが日本ではゼロ。過去1人も認められておらず、友好国としての配慮と見られている。支援弁護士らは、「治安維持を目的に外国人を取り締まる入管が難民保護を担当するのは矛盾がある」と問題視し、第三者機関が難民認定手続きをするべきだと指摘している。

 難民として認められないまでも、人道配慮すべき人を保護する「在留特別許可」の制度があるが、政府は近年認めない傾向を強め「送還忌避者」として排除を進める。こうした姿勢に対し、国連機関はこれまで何度も是正を求めているが、政府方針は変わらないばかりか、難民申請を繰り返す非正規滞在者の強制送還を徹底する法改正を狙う。

 ▽もっとも衝撃的な場面は…

 映画の公開にあたり、監督は可能な限り劇場に足を運び観客との意見交換を重ねた。この問題を一緒に考えたいという思いからだ。さまざまな感想が寄せられる中、「隠し撮り」の手法を巡る批判的な意見も少なくなかった。監督は主張する。

 「私の親が子どもだった頃、黒人の人が入ってはいけない店、座ってはいけない席を認める法律がありました。そういった差別的なルールは今の時代ではとても考えられない。ルールに従い沈黙することで、私たちは加害者にもなりうる。入管で通用している内部規定を人権にかなったものに変えたいと思いました。時代とともに、人権意識や制度も変わる必要があります」

 そして続ける。「この映画でもっとも衝撃的な場面は何か。それは入管が撮影した、収容者が制圧される映像ではないでしょうか」

 作品では、トルコ出身のクルド人デニズさんが複数の入管職員に囲まれ、体を抑え込まれる場面が流される。

「制圧」と呼ばれるこの行為で暴行を受けたとして、デニズさんは国を提訴。映像はその過程で入管から証拠資料として裁判所に提出されたものだ。

 裁判にまで発展しない限り、こうした入管内部の映像を入手するのは難しい。だからこそ、「密室で起こっている事実を少しずつでも明らかにしていく必要がありました。この映画を見れば、カメラを持ち込んでまで伝えなければならなかったということを、分かってくれると信じています」

 ▽入管問題の根本は外国人への差別意識

 「拷問、虐待だ」「日本人として恥ずかしい」。デニズさんの「制圧映像」の衝撃と反響は大きいという。だが、「入管職員を責めても、問題は解決しません」と監督は強調する。彼らはそうした訓練を受け、組織の方針を実行しているに過ぎない、と。「入管や難民認定の制度を支えるのは誰か。私たちの無関心です。この映像を見て大変な状況だ、で終わってほしくない。映画を観て、おかしい、変えたいと思ったなら、もう知らなかった自分には戻れない」


入管の闇を白日のもとにさらしたショッキングな映画ですが、この映画を撮った監督の姿勢には問題があるようです。

「私は映画『牛久』に騙された」外国人収容所での隠し撮り、出演者が怒るワケ | 日刊SPA!

「私は映画『牛久』に騙された」外国人収容所での隠し撮り、出演者が怒るワケ | 日刊SPA!

外国人収容所での「隠し撮り」に賛美の声もどんなに世の中に訴えることのできる素晴らしいドキュメンタリー映画だったとしても、被写体の尊厳を傷つけ、誰かの犠牲のもとに...

日刊SPA!

 

 

(ABEMA NEWS  元入管職員が語る「入管法改正」の問題点)

スリランカ女性ウィシュマさんの死をきっかけに、「外国人は煮て食おうと焼いて食おうと勝手」という日本の入管体制の「闇」が表に出て廃案になった「入管法改悪」案、岸田政権はまた出そうとしています。本当に許せません。

 

 

 

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ウィシュマさんが入管に殺されてから1年

2022-03-09 21:55:45 | 入管

「断末魔のような声」でも放置し続けた名古屋入管

ウィシュマさん死亡から1年、改めて経緯を振り返る

(47NEWSの記事より抜粋)

「断末魔のような声」でも放置し続けた名古屋入管 ウィシュマさん死亡から1年、改めて経緯を振り返る | 47NEWS

名古屋出入国在留管理局で、スリランカ人女性が収容中に死亡してから3月6日で1年。亡くなるまでの詳細な...

47NEWS

 

 名古屋出入国在留管理局で、スリランカ人女性が収容中に死亡してから3月6日で1年。亡くなるまでの詳細な経緯が、入管当局から遺族や国会議員に開示された一部の録画などで明らかになってきた。

 録画を見た関係者らの証言や出入国在留管理庁の資料などを基に、改めて経緯をたどってみた

▽支援者が求めた仮放免は不許可に

 ウィシュマさんは2017年、日本で英語教師になることを夢見て来日した。ところが、在留期間を超過したため20年8月、名古屋入管に収容された。同居していたスリランカ人男性からドメスティックバイオレンス(DV)を受けていたと話したが、入管ではDV被害者として保護されなかった。 

 体に変調を来したのは21年1月中旬。吐き気が続き、食事を十分に取れなくなった。入管内で診察した非常勤医師(内科)は、当初は鎮痛剤、後に食道炎の治療薬などを処方した。

 2月3日には歩けず、車いすに乗るようになり、面会した支援者は、収容を一時解く「仮放免」を入管に求めた。2月5日、外部の病院(消化器内科)で胃カメラ検査を受けたものの、異常は見つからなかった。

 2月15日には、尿検査で脱水や栄養失調の状態と判明した。2月16日に入管内で診察した非常勤医師(整形外科)は、器質的な問題が認められなかったことから、精神科の受診を勧めた。だが、入管は仮放免や入院を許可しなかった。詐病を疑い「仮放免を不許可にして立場を理解させ」、帰国するよう説得する必要があると判断した。

▽床の上で3時間近く寝た

 2月24日には、大きなうめき声を上げて「担当(入管職員)さん、口から血、鼻から血。私、死ぬ」などとインターホン越しに叫んだ。階猛衆院議員(立憲民主党)によると「断末魔のような声。にもかかわらず、職員は『我慢して』と放置した。ウィシュマさんはその後、何を言っても駄目という感じで、意思を持って話す場面はないように感じた」。

 2月26日早朝、ベッドから落ちたウィシュマさんは、自力で上がれなかった。山添拓参院議員(共産党)によれば、職員2人が部屋に来たが、持ち上げるに至らず「大きい声出さないで、みんな寝てるから。ごめんね」と言って去った。結局、3時間近く床の上で寝た。「深刻な状態の人に、職員は普通に接しており、危機感がうかがえない」と山添議員。

 3月1日の夕食時、カフェオレを飲んでいてむせると、職員が「鼻から牛乳や」と笑った。

 3月2日には、職員2人がベッドの上を移動させる際、「重たいわ」と繰り返した。

▽仮放免すれば良くなる

 3月3日、面会した「外国人労働者・難民と共に歩む会(START)」メンバーに「頭がしびれる。耳の中で電車が走るような感じ。手足がちゃんと動かない。水も飲めない」と伝えた。メンバーは入管に「このままでは死んでしまう」と訴え、すぐに入院させるよう要請した。

 食事の際、職員がスプーンでかゆを口に運ぶたびに、吐いてしまう。それでも、「はい次」と口に運ぶ。駒井弁護士は「食べるのが難しいのに、食べさせようとすること自体、極めて残酷だ」と憤る。

 3月4日に外部の病院(精神科)で頭部CT検査を受けたが、異常はなかった。医師は「病気になることで仮釈放(仮放免)してもらいたいという動機から、詐病・身体化障害(いわゆるヒステリー)を生じたことも考え得る」と診断。同行した入管職員に「仮放免されるまでは治らないのではないか」と伝えた。カルテにも「仮釈放(仮放免)してあげれば、良くなることが期待できる。患者のためを思えば、それが一番良いのだろうが、どうしたものであろうか」と書き込んでいる。

▽最後のチャンス

 3月5日朝、血圧や脈拍が測定できなかった。遺族代理人の指宿昭一弁護士によると、「あー!」と甲高い叫び声を上げ、職員が手を振っても反応がない。「あの状況で、なぜ救急車を呼ばなかったのか。最後のチャンスだった」と指宿弁護士。

 午後には、看護師がリハビリとして手足を動かした。「痛がって悲鳴を上げているのに、看護師は『大丈夫』と。地獄絵図だった」。駒井弁護士は言う。

 入管はウィシュマさんの体調をある程度回復させた上で、仮放免させる方針を固め、本人にも同日、「少し直してから」などと仮放免を示唆した。しかし―。

 3月6日。有田芳生参院議員(立民)によれば、朝から職員が何度声を掛けても、反応はなかった。午後1時23分までは首を動かすことはあったが、2時7分に職員が部屋に入ったときには脈はなく、救急車で病院に搬送、死亡が確認された。体重は63・4キロ。約半年前の収容開始時から21キロ余り減っていた。

 有田議員は「医療放棄、介護虐待の結果、命を奪われた。緩慢なる殺人と言われても仕方がない」と指摘した。

 妹のポールニマさんは「姉が亡くなって1年になるのに、いまだに真相は分からない。こんな悲しいことを2度と繰り返してほしくない」と話す。

▽収容で帰国を迫るのは拷問

 指宿弁護士は「2月15日の尿検査の結果は飢餓状態を示しており、録画が残る最初の2月22日から自力で動くことができない状態で、即刻入院させるべきだった。入管は、ウィシュマさんが病気のふりをしているとの観念で凝り固まっていたのではないか。収容を続けて精神的、肉体的な苦痛を与え、帰国させようとするのは拷問だ」と強調する。

 ウィシュマさんを含め、入管収容中に死亡したのは、2007年以降だけで17人に上る。これ以上、悲劇を招かないために、指宿弁護士は(1)非正規滞在者を原則として全員収容する現行制度を改め、逃亡の恐れがある人らに限定する(2)刑事事件で身柄を拘束する逮捕・勾留と同様、収容の是非を裁判所が審査するようにする(3)例えば6カ月などと、収容期間に上限を設ける―ことを求めている。

 

 

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入管問題をあつかった、中島京子さんの『やさしい猫』、おすすめの小説です

2022-03-02 23:57:41 | 入管

入管問題を考えさせられるこの小説、おおすすめです。

中島京子さん『やさしい猫』

中島京子さん『やさしい猫』が第56回吉川英治文学賞を受賞。中島京子×小林美穂子「入管施設の被収容者への暴力はなぜなくならないのか」〈前編〉|話題|婦人公論.jp

生活保護受給者や路上生活者。在留資格を失って入国管理の施設に収容された外国人。コロナ禍でますます困窮する人たちの身に今、何が起きているのか。...

婦人公論.jp

 

外国人の人権と入管の闇

小林 シングルマザーの保育士ミユキさんと娘のマヤちゃん、ミユキさんの8歳年下のスリランカ人で自動車整備士のクマさん。震災ボランティアを機に惹かれあい、さまざまなことを乗り越えて築いた家族の小さな幸せが、「外国人」というだけでクマさんの在留資格の問題のために突然壊されてしまう。入国管理と人権というアクチュアルな問題を背景に、主人公一家がどうなってしまうのかハラハラしながら面白く拝読しました。

小林 入管は無責任です。仮放免だと働いてはダメと言われ、行動も制限される。また、使える制度もなく、健康保険にも入れず医療にもかかれない。かといってすぐに帰国できる状況にもない。ではコロナ下の日本でどうやって生きていけというのか。

「ネズミ捕り」のようなもの

小林 ウィシュマさんの事件が起きるまで注目されなかったけれど、入管施設でのひどい事件は、ほかにもたくさん起きています。

中島 1997年から2021年までに、全国の入管施設内で21名の被収容者の方が亡くなっている。それでもなお「不法滞在するほうが悪い」という世間の声は決して少なくないのが現状です。

小林 たとえば『やさしい猫』の中では、クマさんが突然会社をクビになります。その上さまざまな事情が重なり不本意ながら不法滞在の状態に。それを相談しようと入管に向かう途中、入管の最寄り駅で網を張っていた警察に職務質問されて捕まり、施設に収容されてしまう。こんなことって本当に行われているのですか。

中島 入管問題に取り組んでいる弁護士の方から取材した実話をもとにしました。警察が交通違反の検挙数を上げるためにやる「ネズミ捕り」のようなものだとも言われています。

小林 結局、どこからも守られていない人たちが、さらに日本人に叩かれているんですね。

公的機関が人を救おうとしない

中島 公的機関が人を救おうとしない、申請を受け付けたがらないという面で、生活保護と入管の問題には共通点がありますね。

中島 一方で日本の難民認定率は1%以下。欧米諸国は20~50%ぐらいです。そもそも難民になった方はどこにいようと難民のはずなのに、ある国では難民と認められ、別の国では認められないということ自体おかしいです。

小林 日本の難民認定は先進諸国の中でも異常なハードルの高さですね。難民の方々は命がけで国を出てきて、生きるための選択肢がほとんどなくなっている人たちなのに。

中島 現場に裁量権がありすぎるところも似ています。難民認定とか仮放免を決めるのに、入管の裁量権が大きすぎる。

生存は椅子取りゲームではない

小林 人権のある人とない人に区分けされているような現状はおかしいです。生存は椅子取りゲームじゃありません。

 

 

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