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稚内機船の沖合底引き網漁船がロシア警備艇に拿捕 乗組員、船体の早期解放を在札ロシア総領事に要請

2021-06-05 21:17:58 | ニュース
記者会見する工藤稚内市長(右)と古村道水産林務部水産局長
 
 5月28日、稚内機船漁協所属の第百七十二榮寶丸(泉漁業部、160㌧)がロシア連邦保安庁サハリン州国境警備局の警備艇に拿捕され、サハリン州コルサコフに連行された。31日午前、道と稚内市、稚内機船の代表が在札幌ロシア連邦総領事館にマーリン・セルゲイ総領事に人道的な見地から乗組員、船体の早期解放を要請した。
 要請したのは、工藤広稚内市長、風無成一稚内機船漁協代表理事組合長、古村龍次道水産林務部水産局長。鈴木直道道知事名でマーリン・セルゲイ総領事に手渡した要請書には「乗組員14名の食料品、飲料水の不足、日常的に服用する薬など健康状態の悪化が懸念されるので、人道的な観点からの支援、1日も早い解放」を求めている。また、稚内機船漁協と稚内市は「古くからの稚内市とサハリン州の地域交流、日ロ間の信頼関係に、今回の連行は重大な影響を及ぼす」「日本の排他的経済水域において正当に操業していた底引き網漁船の臨検、連行・抑留は極めて遺憾」としている。
 要請後、記者会見に応じた工藤市長は「漁船は稚内市を基地とし、乗組員は全員が稚内市民だ。当市とサハリンは長い友好関係を築いており、1日の早く帰ってくるよう要請した」と説明した。
 午後開かれた道議会水産林務委員会(三好雅委員長)では、古村水産局長が稚内沖での漁船の拿捕について報告した。それによると、5月28日午前9時40分、榮寶丸が宗谷岬東方沖合で操業中、ロシア警備艇から停船命令を受けた稚内海上保安部に報告、同10時、ロシア警備艇が信号弾を発射、船体に発砲された。同40分、ボートが榮寶丸に着いてロシア警備艇の乗員に乗り込まれ、同50分連行された。稚内機船漁協の情報では、5月31日現在、乗組員は船内に拘留されているが健康状態には問題なし、水や食料を搬入、乗組員の持病薬は外務省を通じて手配予定で、7月15日に裁判が行われる予定で、裁判まで乗組員が拘束されるかは不明という。稚内市は、副市長を本部長とする「第百七十二榮寶の早期解放に係る連絡本部」を立ち上げ、乗組員の安全確保と早期解放に向けて在札ロシア連邦総領事、国、道に要請した。道は水産庁に操業当時の状況を迅速に把握するよう求め、道サハリン事務所や関係団体と連携し情報収集に努める。
 道、稚内市、稚内機船漁協は外務省にも同様の要請を行った結果、国は日本EEZ内の操業と認め、ロシア側に抗議した。ロシア側は逃走を図ったため拿捕したとしている。


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