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降版時間だ!原稿を早goo!

新聞編集者の、見た、行った、聞いた。
「降版時間」は新聞社整理部の一番イヤな言葉。

★「北海タイムス物語」を読む ㊹

2016年02月04日 | 新聞

( きのう2月3日付の続きです )

小説新潮に、増田俊也さん(50)の「北海タイムス物語」が連載されている。
僕は以前、北海タイムスと提携していた「日刊スポーツ北海道」に知人がいたので、札幌の北海タイムスに何回か行ったことがあった。
というわけで、増田さんの青春物語@新聞記者編ともいえる同小説に注目した——の第44回。


( 小説新潮2015年12月号 357ページから )
五階まで上がり、編集局前の廊下で深呼吸❶した。
そっと編集局内を覗いてみた。午前中なので、やはり人が少ない。奥の整理部の島を見るとデスク席にひとり座っている❷だけで他の机は誰も座っていない。
ここで帰れば辞めることができる——。
なにも言われたとおり働かなきゃいけない理由はない。
ずっとこの会社にいるつもりはない❸のだ。
マンションに戻って会社に「辞めます」と電話し、朝日や読売、毎日や道新や中日❹の入社試験を受ければいいではないか。
全国紙、ブロック紙、通信社、地方紙と数十社が雪崩式に連日試験となるが、去年一度その試験地獄を経験しているだけに僕には次の新卒学生たちよりアドバンテージがある。
来週、朝日と読売のセミナーが北海道会場でもあったはずだ。



❶五階まで上がり、編集局前の廊下で深呼吸
平成2年度北海タイムス新入社員研修を終えたばかりの翌朝、小説の主人公・野々村くん(23)は編集局に入ることに逡巡している——分かる、分かる!
憧れていた、いよいよ始まる記者生活に武者震いだね!
………ではなくて「あの部」に配属が決まったからのようだ。
(「あの部」の人は、超ガックリ)
そんなにイヤなのかぁ、新聞社編集局の「あの部」が……。
新入社員研修終了翌日に退社を考えちゃうほどイヤなのかぁ、新聞社編集局の「あの部」が……(トホホ)。

❷午前中なので……ひとり座っている
小説の時代設定は1990年春。
数カ月後にバブルが弾けるのだが、当時の北海タイムス夕刊の建てページは何ページだったのだろう。
拓銀、雪印乳業、札幌三越とかカラー広告がバンバン入稿していたのだろうか。

「午前中」とあるから午前9時ごろか。
夕刊編集作業前、整理部デスクは道新などの他紙の朝刊チェックか、連載ものの確認をしているのだろう。
当時のタイムス紙は、夕刊1版止め(1回勝負=複数版とらない)だったから、12:30か13:30どちらかが降版時間になる。
*夕刊の降版時間=複数の版をとる新聞社の場合、遠隔地向け版が立ち上がりになるので、
▽夕刊2版=入稿締め切り11:30
▽夕刊3版=同12:30
▽夕刊4版=同13:30
ぐらいか。


❸ずっとこの会社にいるつもりはない
東京・柴又の寅さんが聞いたら、
「それを言っちゃあ、おしまいよ!」
と言うはず。
マスコミ熱烈志望の野々村くんは、受験最後に受かってしまったココ(←地方紙・北海タイムスのことですね)は意に沿わず
「1年間だけ記者を経験し、全国紙を受け直す!」
という〝北海タイムス踏み台計画〟を持っているから「ずっといるつもりはない」。
だけど、タイムス社自体が数年後に破綻するので…………。

❹朝日や読売、毎日や道新や中日
連載第2回では「朝毎読・道新」順だったが、同3回では読売の順位がアップしているぞ(笑)。
朝日、読売、毎日新聞は一般紙全国紙だから分かるのだけど、野々村くんには日経新聞が初めからリストにないようだ。
また、道新(北海道新聞)は有力ブロック紙、中日(中日新聞&東京新聞)は作者の増田さんが愛知出身だから、野々村ステップアップ転社リスト入りしているのだろう。

———というわけで、続く。

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