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降版時間だ!原稿を早goo!

新聞編集者の、見た、行った、聞いた。
「降版時間」は新聞社整理部の一番イヤな言葉。

★「北海タイムス物語」を読む ㊴

2016年01月25日 | 新聞

( 1月23日付の続きです。写真は、本文と直接関係ありません )

小説新潮に、増田俊也さん(50)の「北海タイムス物語」が連載されている。
僕は以前、北海タイムスと提携していた「日刊スポーツ北海道」に知人がいたので、札幌の北海タイムスに何回か行ったことがあった。
というわけで、増田さんの青春物語@新聞記者編ともいえる同小説に注目した——の第39回。

*増田俊也(ますだ・としなり)さん
1965年=愛知県生まれ。
1989年=北大中退後、北海タイムス入社。
1992年=中日新聞に転社、中日スポーツ記者。
2006年=『シャトゥーン・ヒグマの森』で「このミステリーがすごい!」大賞優秀賞受賞。
2012年=『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったか』(新潮文庫)で大宅壮一賞、新潮ドキュメント賞をダブル受賞。
ほかに、自伝的青春小説『七帝柔道記』(角川書店)など。
*北海タイムス(ほっかいタイムス)
1901年=北海タイムス創刊。
1942年=戦時統合で北海道新聞に統合。
1946年=道新僚紙として「夕刊北海タイムス」再刊。
1949年=「北海タイムス」に改題。
1962年=東京の日刊スポーツ新聞社と提携、日刊スポーツ北海道版を発行。
1998年=9月1日自己破産、2日廃刊。


( 小説新潮2015年11月号 297ページから )
松田さんの整理部配属とともに同期のなかで話題になっているのは浦ユリ子さんの変貌ぶりだった。
金不二などでの呑みながらの反省会❶ではデスクや社会部長も彼女の原稿を絶賛していた。「切り口がいい」「文章に艶がある❷」「視点が素晴らしい」など。どこが違うのか僕たちは自分の原稿と読み比べてみたがよくわからない。
研修九日目には浦さんは研修期間の記者としては異例の編集局長賞❸までもらってしまった。
河邑太郎と武藤達次は、浦さんとは原稿の方向性こそ違うが、がむしゃらなフットワークでネタを抜き合い、一度ずつ社会部長賞をもらった。
ときどき本社に行くと編集局長や萬田局次長、木佐木社会部長らがご機嫌で「今年の新入社員はレベルが高い」と褒めちぎった。


❶呑みながらの反省会
「呑」は漢字表にない字なので、新聞表記では「飲み」にしましょうね、と記者ハンドブックは言っている。

——ということは、さておき。
「反省会」は、取材・出稿部だけでなく、整理部や校閲部(編成センター)も行っている。
例えば、朝刊担当の整理部「反省会」。
▽場所=どこの社もそうだろうけど、先輩から受け継がれた居酒屋・小料理屋が社屋付近にあるので、だいたい集まりやすい。
▽行く人・行ける人=反省会に行けるのは「早版止め」の面担。
版ごとに組み替えるニュース面担は疲労困憊なので、午前1時30分過ぎの社内で打ち上げ。
(どぉ~しても反省したいニュース面整理は午前2時過ぎ店に行き、宅送りタクシー帰宅コースもあるけど)
▽反省会の内容=紙面レイアウトや見出し、他紙の扱い方について激論する……
という建設的な反省はなく、たいがい
「あのA出稿デスク、処理が遅いよな」
「あのB出稿デスク、メニューと違うものばかりだよな」
「最近、広告段数が少ないんだよな」
だから、他部メンツがいたら困るのだ。

❷艶がある
画数が多いから表外字かと思ったら(笑)、使える字。
おなじみ新聞用字用語集「記者ハンドブック」では、
つや(*光沢)*印は字音・字訓で読む場合には使ってよい表記
→艶。艶気、艶種、艶っぽい、艶めく
〔注〕「つや消し」「つや出し」など光沢の意味や、使い分けに迷う場合は平仮名書き。

……そう!迷う場合は平仮名なのだ(間違うよりはイイ)。

❸異例の編集局長賞
同賞だと、10,000円ぐらいか。
整理部にも各種編集賞がある(←無い社もあるかも)。
▽社長賞・代表賞=50,000~30,000円。
なんとなく名誉賞に近いので金額の多寡ではないでしょうね……。
あ、受け取るときは整理部とはいえ、きちんとジャケット&ネクタイ着用ですよ。
▽編集局長賞=30,000~10,000円。
わりと出やすい。
整理部の場合は他紙が見逃したところを見出しにとったとか、出稿部に解説やメモ記事を要請したとか、紙面連携が見事だったとか。デスクも対象。
▽整理部長賞=10,000円。
局長賞より出やすい(当たり前)。
ニュース面、企画面のレイアウト&読みやすい紙面構成などが対象。
「けさの◯面よかったじゃないか、誰だい?整理面担は」
編集局長の、コレが決め手か。

———というわけで、続く。

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