絵画指導 菅野公夫のブログ

大好きな絵とともに生きてます

絵画指導のポイント

2011-03-30 | 絵画指導
絵画指導のポイントという中に、人間を描くなら
手の平サイズが良いというのがあった。

小学生の絵についてである。

それは、黙っていると、子供たちは人間を細かく小さく描いてしまうから、
せめて手の平サイズくらいに描かせた方が良いというアドバイスがあったのだろうと
想像する。

そのアドバイスは、それでよいと思う。

小さい人間ばかり描く子供に与えるアドバイスとしては、そういうことも必要という意味で賛成する。

しかし、すべての子供にそのようなアドバイスをしてはならない。

たくさんの人間を描きたい場合、人間を小さく描くことが必要と考えている場合もあるからだ。人間を小さく描くと、世界が広くなる。そのくらい広い場所だったんだと思って描くなら、小さくてもよい。

また、逆の場合は、顔の表情に強く印象が残って、顔だけ大きく描くということもある。
それに対する、他のものが小さく表現されても、それはそれでよいと思う。
強く印象に残ったものを大きく描くということは、あっても良いのだ。

だから人間は手の平サイズで描きましょうなどという公式はあってはならない。
そういうルールを作ってはいけないのだ。

人間を描くといつも小さく描く癖がある子供に、もう少し大きく描いてみようか?とアドバイスするのはあっても良いと思う。大きく描くことで、顔の表情なども考えるようになるとか、また違った表現が出てくるということがあるからである。

ーーーーーーーーー
ミケランジェロの最後の審判は、キリストが大きく描かれている。一番強調したいものを大きく描くということは、ルネッサンスの巨匠でもやっている。









コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

酒井式絵画指導について

2011-03-29 | 絵画指導
絵画指導の検索をしていたら、酒井式というものが目に止まりました。

最初は、その方法についての弊害を書かれた人がいて、それについて読んだのですが、
では、どんなものだろうと思って、酒井式そのものを見てみようと、検索しました。

すると、ものすごい量のやり方が出ていました。
よくぞ、こんなに書いたものだと感心し、このようなものを作られた酒井先生に尊敬の気持ちを持ちました。

小学校の先生にとっては、有難いものだろうなあと思います。

そして、顔の描き方と、シャボン玉の絵の描き方を見ました。

一枚目を見て、感心しました。上を向いてシャボン玉を吹いている絵です。
おーーーすごい!と思いました。色もいいし、発想もよいのです。
子供が二人いて腕が少し重なっていて、一人は画面からはみ出しています。

言うことがないくらい、すばらしい絵でした。

ーーーーーーーーー
ところが、二枚目を見ると、色と形が少しだけ違いますが、同じように二人の子供が
同じような形で上を向いてシャボン玉を吹いています。
あれ????と思いました。
違うのは、多少大きさが違うのと、着ている服が違うだけなのです。
アイディアというか、設計図というか、それが全く同じなのです。

これは、酒井先生がいけないのか、実践された先生がいけないのか、わかりませんが、
これでは、いけないと思いました。

作品の一つ一つは、どれもすばらしいものです。だから、一枚だけ見せられたらいいですねえと感心します。
しかし、みんな同じ構図で、まるで塗り絵のように色だけ違うように出されると、ちょっと待ってくれよと言いたくなってしまします。

酒井先生の指導法がどうだか、私は詳しく知りません。
しっかり理解すれば、すばらしいのではないでしょうか。
ただ、それを利用される先生たちが余程気をつけないと、こどもたちにおかしなルールを教え込むことになるということが、心配されます。

顔の描き方で、顔を触ってみるということがありました。
それは、それでよいでしょう。
ただ、鼻の穴に指をつっこんで、鼻には穴があるということを実感させるというのを聞くと、それでいいのかなと疑問にはなります。穴があることを感じさせるのは良いのですが、みんな丸く描いてしまいませんか?と思います。
鼻には穴があるよと言葉で言うのと、どのくらい違うのかな?
そして、鼻の穴もよく見ると、ただの丸ではないよ。というべきじゃないかな?と思います。

ただ、指をつっこんで、穴を丸く描くというのでは、パターン化してしまいます。

要するに、よく観察してごらんと言うなら、見る位置によって、穴の形が違って見えるということを教えるべきではないでしょうか?

ーーーーーーーーーー
子供の絵については、どうあったらいいのか?
考えてみたいことですが、まとめていません。
果たして、美術教育は必要か?ということを含めた問題になるでしょう。

高校では、必修ではなく選択です。しかし、2単位だけ残されました。
芸術選択の中の一つとして生き残ったのです。
情報という科目が出てきたために芸術は消えようとしていたのです。








コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

美術史クイズ 142 解答と解説

2011-03-28 | 美術史クイズ
美術史クイズ 142

第1問 サンヴィターレ教会
第2問 ラヴェンナ
第3問 ユスティシアヌス
第4問 テオドラ

ーーーーーーーーーーーーーーー
解説
ラヴェンナは、西ローマ帝国の首都だった。
       西ローマ帝国を滅ぼしたオドアケルの帝国の首都であった。
       オドアケル帝国を滅ぼした東ゴート王国の首都でもあった。
       その後、ビザンツ帝国が支配する時期も総督府が置かれた。
       政治的にも、西ヨーロッパで最も重要な都市であった時期がある。

このユスティニアヌスの時代は、ローマが東西に分裂した後、西ローマが滅んで、
その後、ビザンツ帝国が取り戻した時代だと言えます。

この二つの絵は、サンヴィターレ教会の中にあるモザイク画です。

ユスティニアヌスという人は、昔のローマ帝国の領土をかなりの部分取り戻した人です。また、ローマ法大全を編纂した人、そしてソフィア聖堂を再建しました。

ユスティニアヌスが危機に瀕したとき、逃げるか戦うかの議論で紛糾しました。その時戦う決断を下した切っ掛けがテオドラの意見だったという話で有名です。 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

絵を描くコンピューター

2011-03-28 | 絵のこと
最近は、パソコンで絵を描く人が増えているようです。

私は、その方法に詳しくないので、どんなことができるのか詳しくはわかりませんが、
その内、こうなるだろうなあということは、想像がつきます。

例えば、ある風景の写真を撮って、それをパソコンに取り込み、「印象派のモネ」と打ち込むと、モネが描いたような絵になる。

そんなことは、もう既にできているでしょうか?

テレビのコマーシャルを見ていると、そんなことをしているものがありました。
確か、ゴッホの描き方だったと思います。

そうなると、ゴッホみたいに描くとか、モネみたいに描くという技術はあまり意味をなさなくなるのかなと思います。

よく複製画で、油絵の表面のごつごつまで同じように作れるものを目にします。
精巧に作れるようになると、本物と違いが分からないものが作れるかもしれません。

ーーーーーーー
さあ、そうなったとき、画家のオリジナルは?

それは、もし風景画を描くなら、どこの風景を選ぶか?どのように切り取るか(トリーミング)その二点になるのでしょうか?

静物画なら、どこの場所に何をどのように並べるか?
光をどの角度から当てて、どの位置から見るか?

後は、構成の方法、何と何をどのように組み合わせるか?
造形的な工夫をどのように施すか?(歪める、スライドさせる、絵の具を垂らすなど)

私が、絵画指導で一番大切にしている、テーマと構図です。

よく映画のシナリオに例えますが、設計図のようなものです。

ーーーーーーーー
私は、いま車椅子の状態ですから、不自由なので大きな絵を描くのは大変になりました。
ただ、絵を描きたいのは、確かなので、それがコンピューターのようにやれたらいいなあと考えます。

それは、レオナルドの最後の晩餐のような大きさの絵を描きたいのです。
そのテーマと構図は私が下絵を作りますが、その描く作業をコンピューターにやらせたいのです。ロボットを使えばできそうです。
その部分は、A技法のナンバー1を使うとか、そのとなりはB技法のナンバー2を使うなどと指定すると、ロボットが描いていく。

こんなことが可能になるかもしれません。

考えると、いろいろありそうですね。

その内、画家は絵を描く技術を習得しなくても済む時代になるかもしれませんね。

ーーーーーーーーーーー
ただ、それはさびしいことだなあと思いながら、そうじゃないよともう一人の自分が言おうとしています。

ーーーーーーーーーーー

余談ですが、

私はグランドに大きな絵を描いてほしいと言われたときに、ある方法を使いました。

美術部の生徒が60人以上いましたので、全員を使って描きました。
私が勤めていた本庄第一高校は8階建ての特別教室があります。
その8階に私がいて、生徒をグランドに一列に並べました。
そして、生徒の名前を呼んで、Aくんは3歩前、B君は5歩前、などと生徒を点のように考えて、立たせ、人文字のように並べました。そして絵の感じがよくなるまで動かして、OKになったら、その場に足で線を引かせました。

このようにして鳥の絵を描きました。
これは、人文字を作って、航空写真を撮るための下絵でしたが、その鳥の絵の中を生徒で埋めて、色の布を持たせたりして、作ったものです。全校生徒1500人を使っての人文字と絵でしたから、グランド一杯使いました。

このようにすると、大きな絵が描けます。

単純に線描きだけならこのような方法もありますね。
それを油絵のように、やれたら面白いだろうと思います。

そうか、いま思いつきましたが、甲子園の応援などでカードを持って、絵や文字を表すということがありますね。あれと同じですね。あれは、コンピューターで作って、人に指示を出すのですね。

その一つ一つが小さいカードになればなるほど、細かい表現ができそうですね。
そうなると、コンピューターがロボットを使って描けそうですね。











コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Fさんの絵

2011-03-27 | 絵画指導
Fさんが、10号の水彩画を描いてきました。



Fさんは、デッサン会のメンバーで、絵を始めて半年で埼玉県の県展に入選し、昨年も二年続けて入選した人です。
そのFさんが、麓原会の春季展に出品する絵を持ってきました。

これは、構図についてなど、自分で考えて描いた物です。


やや、メルヘン調な感じがしますが、なかなかまとまっていて、楽しい絵になっています。
この状態は、左の木の表現がリアルで、上手い絵なのですが、それ以外がやや子どもっぽい味なので、どうしようかなというところです。世界の統一を図った方がいいかなと思います。
右側の山並みを見ると、空気遠近法に則って、空間をあらわしていますが、それ以外は、ややお伽話の世界のような感じがします。

どちらに合せるかという問題がありますが、相談したところ、リアルさを求めたいということでした。それで、それならもう少し光の方向を意識して、建物などに明暗を描いたらどうでしょうかとアドバイスしました。
今は、どちらから光が当たっているかが、曖昧です。

白壁の建物が目立つので、それをメインにするなら、右側から光を当てて、左の面を暗くしてみてはいかがですかと言いました。その方が建物の立体感は出ます。

また、畑の中の木も今は、浮いているように見えるので、木の左下に影を描けば、そこから生えている感じが出ますよと言いました。

山の中に立っている送電線の鉄柱のようなものが浮き出しているので、空気の中に入れてくださいと言いました。

畑の線もややくねくねしている部分が気になるので、どこかを遮るように手前に草を描くとか、工夫してくださいといいました。

一番左の部分が曖昧なので、前後関係をしっかり出してみてくださいといいました。

この絵のこの段階でのアドバイスを書いてみました。

展覧会は、4月1日から3日です。さあ、どのようになるでしょうか。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする