絵画指導 菅野公夫のブログ

大好きな絵とともに生きてます

県展制作 裏話1

2010-05-29 | 県展指導
県展制作裏話 1

人形を描いているNさんは、今回は人形のとなりにマンドリンを置いた。
マンドリンは形も難しいが、左右対称である。それが正面よりも少し右上を向いている。
そのことがなかなか難しかった。

特に難しかったのは、弦に垂直の「けた」とでも言うのか、音を決める段である。
それは、全て弦に対して垂直である。ということは、絵に描く場合平行線だから、遠ざかるほど狭くなり、画面からはみ出して、遥か遠いところで交わる。

透視図法の基本だが、素人はこれが狂ってしまう。本人に何度言っても、「それは分かっているんですけど、上手くいかないのです」と答える。

私は、苦肉の策で、それでは糸を使いましょうと言って、絵を床に置き、他の人にも手伝ってもらって、消失点を抑えた。そこからマンドリンまで、糸をピンと張って、それぞれの線を引いた。

これは、高校生に教えるときは、何度かやったことである。
平行線は平行に描いたら、平行に見えない。遠い方が広がって見えてしまう。そのことをきちんと見える通りにするために、この糸を使う方法で、解決した。

学校の教室なら広いからやりやすいが、普通の家では大変である。私の家のアトリエだったので、なんとかなった。

マンドリンの場合、少し傾けて立てかけてあるから、消失点は地平線の上ではない。一番上の線と下の線を決めて、それが交わる点を消失点と決めて、他を全て消失点から引っ張るのである。

どうしても狂ってしまう場合は、そのような方法をすると良い。


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