STRONG 遠藤 創造と破壊 銀幕の隙間でひとこと。

映画 TV CM 映像の現場で、いい効果やビジュアルを作り出しながら
ここで喋ったりぼやいています。

じゃぁね、オバちゃん。

2011-12-12 11:20:34 | インポート
今朝早く、一本の電話で起こされた。

お袋からの電話だった。

「モシモシ、さっき逝ったわ。」

この世で、これほど不快な目覚ましがあるだろうか?一番と言っても過言ではない。



亡くなったのは、小生の 伯母 である。



父方の長女、つまり小生の親父の姉さんだ。



彼女は、幼い父を背負い手を引いて「満州」から、日本に引き上げて来た。

日本に戻ってからは、祖父祖母と一緒に多くの幼い兄弟達の面倒をみてきた。

満州では、ドイツ風の大理石で出来た邸宅で何不自由ない裕福な暮らしをしていた。

終戦を迎え、日本に引き上げてからの生活は、相当苦しかったと聞く。

しかし、亡くなった伯母は、気丈にもいつも笑っていたと言う。

裁縫や仕立てが得意で、それを仕事にしていた。

彼女の家には、いつも最新のミシンがあり、その音がいつもBGMだった。

とてもモダンで、ツィードのロングコートにマフラー、つばの着いた帽子を冠り颯爽と歩いていた。

子供の頃には、よく遊びに行った。

産まれて初めて食べた、プディングを作ってくれたのも彼女だった。

甘くてほろ苦い カラメルソース がやけに大人の味を感じや西洋をさせてくれた。

町に多く住むドイツ人とも交流があり、なんら見劣りしない出立ちで彼らと話していた。

周りの酸素がなくなるんじゃないか?と思わせるようなマシンガントークだった。

いまはもう、その酸素の心配をする必要はなくなってしまった。

彼女の閉じた口は、もう開く事は無いのだから。

どうか、安らかに眠ってほしい。

あなたは、間違いなく ステキな女性でした。

明日、直接お別れを言いに行くからね。