STRONG 遠藤 創造と破壊 銀幕の隙間でひとこと。

映画 TV CM 映像の現場で、いい効果やビジュアルを作り出しながら
ここで喋ったりぼやいています。

途中で挫折。

2008-11-03 00:43:59 | 映画
先ほどまでスカパー!で、2007年度版「椿 三十朗」を観ていた。
驚いた事にオリジナルとほぼ同じセリフ、同じ芝居、同じカット割りだ。

挑戦なのか?   自殺なのか?   パロディーなのか?  オマージュなのか?

一時間ほど観ながら、自問自答を繰り返していたら「プシュ~ッ」と、頭の天辺から煙が出る感覚がしたので、観るのを止めて風呂に入ってしまった。(本日ミルコは、爆睡中のため一緒ではない)

ご存知の方もいるだろうが、小生は「三船プロダクション」の出身です。

何度も社長(故 三船敏郎 氏)と会っているし、お話しもさせて頂いた。

そんな事がひいき目なのか?やはりどうしても受け入れられない。

数ある「黒沢 明」作品の中でも、小生が好きな作品の5本に入る「椿 三十朗」。

僭越ながら感じて止まないのは、キャストのチカラの無さだと思う。

映画と言えど、その作品に集中出来ない俳優さん達の環境、写真2枚でスターになれるオーディション、バラエティーに出まくっている大物俳優と呼ばれるタレント。 あげたら切りがないが、一言で言うと「小さい」。

平均身長から言うと、オリジナル当時に比べれば10cmほど高いはずなのに、主役からして小さく見えるのはナゼなんだろう。(16対9だから?んなこたぁないね)

絶対的な存在感が違うのだ! これは、日々現場でも感じられることだ。 マネージャーだか何だかが、世間で常識を学ぶべき年齢の出演者にベッタリと張り付き、身の周りの事をほとんどやってしまう過保護な環境。

苦労も知らずに大人になって行き、人の痛みも知らずに無神経な言動や発言を繰り返す。

喰えない時期を知らずにハングリー精神も無い。すべての俳優さんがそうだとは言わないが、総じて人間的に深みの無い輩が多い事は確かだ。

いま日本の映画界は、大変な危機的状況にあると思う。 しかし、小生はそんな世界でも嫌いになれず、いまもこうして苦しんでいる。

前作を越えられるものが作れるならば、大いに作るべきだ!

しかし、万人に受けた作品をリメイクする事は、何かが劣っていた場合それは絵画で言う「贋作」に過ぎない。

その製作にいくら金額を描けた所で、本物の前では二束三文だと言う事を考えて欲しい。

昨今のリメイク映画で、オリジナルを越えた作品が何本あるだろうか?考えて欲しい。

目先の興行収入にとらわれて、先人へのリスペクトを忘れて、己がクリエーターである誇りすら失うのか?

ヒーローが欲しければ、新たなヒーローを作ることを考えたい。

でも みんな少ない賃金で雇われている身。生きて行くための妥協も必要。でも心のどこかに残しておいて欲しい。

今回は、超真面目(たまにはね)に語ってしまったが、本日の講釈はココまで。