Straight Travel

日々読む本についての感想です。
特に好きな村上春樹さん、柴田元幸さんの著書についてなど。

「モンキービジネス 2009Fall 物語号」柴田元幸編(ヴィレッジブックス)

2009-10-21 | 柴田元幸
「モンキービジネス 2009Fall 物語号」柴田元幸責任編集(ヴィレッジブックス)を読みました。
「物語」をテーマにした今号。
掲載記事は村上春樹さん「物語の善きサイクル」(スイスのザンクトガレン図書館の記念カタログの序文として寄稿されたもの)。
石川美南さんの「三十一文字の物語集」。
小沼純一さん「音楽を物語と捉える、と」。
レベッカ・ブラウンと柴田元幸、音楽を語る。
クリスマス・ストーリーズ
「賢者の贈り物」「聞けみ使いたちの」「ウェールズの子供のクリスマス」。
ナサニエル・ホーソーン 「アメリカン・ノートブックス」など。

村上春樹さんの「自分がそのような「焚き火の前の語り手」の、一人の末裔であることを、僕はことあるごとに認識させられることになる。」という言葉が印象的でした。
私は小説家と語り部を一緒に考えたことがなかったので。
村上さんの著書「神の子どもたちはみな踊る」で焚き火の話がありましたね。再読してみよう。

それから石川さんの「物語集」、ホーソーンの物語の素のようなストーリーのきれはしも面白かったです。活字の組み方も凝ってます。

谷崎潤一郎の「陰翳礼賛」は初めて全部読みました。
高校生の時の教科書で「日本座敷の美はまったく陰翳の濃淡に依って生まれてゐるので、それ以外に何もない」あたりの部分だけ抜粋で読んだ記憶はあるのですが、通して読むと面白いですね。

特に厠についての熱弁が面白い・・・。
「(西洋風な厠は)成る程、隅から隅まで純白に見え渡るのだから確かに清潔には違ひないが、自分の体から出る物の落ち着き先について、さう迄念を押さずとものことである。やはりああ云ふ場所は、もやもやとした薄暗がりの光線で包んで、何処から清浄になり、何処から不浄になるとも、けぢめを朦朧とぼかして置いたほうがよい。」

マグナス・ミルズさんも久しぶりに読みました。やっぱり面白い。
新作長編が出ないかな、読みたいです。

今回も発売日と同時に一気に読み終えてしまいました。