Straight Travel

日々読む本についての感想です。
特に好きな村上春樹さん、柴田元幸さんの著書についてなど。

「魔女の鉄鎚」ジェーン・S・ヒッチコック著(浅羽莢子訳)角川書店

2008-10-03 | 外国の作家
「魔女の鉄鎚(てっつい)」ジェーン・S・ヒッチコック著(浅羽莢子(あさばさやこ)訳)角川書店を読みました。
恩田陸さんが「「ダ・ヴィンチ・コード」のような歴史と宗教をめぐるミステリー」とおすすめしていたので、興味をもって読んでみました。
老外科医オコンネル博士は殺害され、稀覯本『魔法の書』が消えていました。
謎に満ちた父の死の真相究明を決意したビアトリスは、十五世紀に実在した魔女裁判の実践書『魔女の鉄鎚(てっつい)』に遭遇します。彼女の身辺に忍び寄るさまざまな影。魔女、教会、都市のカルト教団、ヴァチカンの秘密図書館。
やがて、ビアトリスは身の毛もよだつような真実に近づいていきます。
原題は「マレウス・マレフィカールム」。意味するところは「魔女への鉄鎚」。実在する本であり、その名のとおり、中世では魔女を見つける手引書、そして魔女をどのように裁くかの法律書でもありました。
私は「ダ・ヴィンチ・コード」よりは黒魔術の古書をめぐる殺人という意味で「ナインスゲート」を連想しました。

本は黒魔術の内容とは別に新たな秘密をかくしているのですが・・・これは読んでのお楽しみ。
ビアトリスと元夫のスティーブンスが取り交わす男女の性の違いの会話など、あらすじ以外にもふむふむとうなずいてしまう考察もあります。
協会の真の姿が現される場面、もしこれが自分の身に起こったら・・・と思うと本当にこわかったです。
しかしビアトリスは謎を追ってどんどんたくましくなっていきます。
やっぱり・・・あらゆる女性はみんな、魔女なのかも・・・。