Straight Travel

日々読む本についての感想です。
特に好きな村上春樹さん、柴田元幸さんの著書についてなど。

「白夜行」東野圭吾著(集英社)

2006-02-27 | 児童書・ヤングアダルト
「白夜行」東野圭吾著(集英社)を読みました。
始まりは1973年に起こった質屋殺し。容疑者の女性がガス中毒死し、事件は迷宮入りします。当時小学生だった被害者の息子と容疑者の娘、二人が成長していく様が描かれ、当時の世相も味わえるミステリー。
この後に書かれた「幻夜」を先に読んでしまったのですが、「幻夜」よりふたりの子供のときの傷、そしてその傷を抱えてゆがんで育っていくふたりが強く印象に残り、こちらのほうが好きな作品かも。
それにしても亮司が昔の傷を隠蔽するために動いたり、コンピューターを使った犯罪を企てたり、というのはなんとなく理解できる・・・のです。
しかし、雪穂の周囲の人を不幸にする冷徹さは本当にこわい!
同級生の江利子ちゃんなんて可愛くなっただけで雪穂に何もしてないのに。
再婚相手の娘・美佳ちゃんが雪穂に反抗することだって自然なことなのに。
相手に傷を負わせた張本人なのに、恩をうり、その引け目を利用してその人を思い通りにする。
でも外見上は美しく聡明で優しい女性に見せる・・・。こわすぎます!雪穂。