「アメリカン・ナルシス」柴田元幸著(東京大学出版会)を読みました。
柴田さんのアメリカ文学の論文を「自意識」の観点からまとめたもの。メルヴィルやポーなど、19世紀アメリカ文学を論じた章と、アメリカ論的な章、エリクソンやミルハウザーなど柴田さんが翻訳している作家を主にとりあげた現代アメリカの作家を論じた章の3部で構成されています。
柴田さんのエッセイなどを読みなれているかたには少し固めに感じると思いますが、実際の文章を挙げながらわかりやすく論じられており、論文のお手本のよう。
この本は朝日新聞で高橋源一郎さんが「2005年私が選ぶ3冊」の中の一冊に選ばれており、興味をもって読みました。
私が一番面白かったのは「ジャメイカ・キンケイドの『小さな場所』第一章を教えることについて」の論文です。
「差別している人のことを考えるとき、その人が「痛み」を抱えているのだということ」「文学の教師もたまには道徳の教師にもならねばならないこと」
文学論以上に教師としての柴田さんのありかた、考えかたに触れられました。
論文中に触れられている、池澤夏樹さんの沖縄を訪問した学生の幼いコメントについての考察も感じ入るものがありました。
柴田さんのアメリカ文学の論文を「自意識」の観点からまとめたもの。メルヴィルやポーなど、19世紀アメリカ文学を論じた章と、アメリカ論的な章、エリクソンやミルハウザーなど柴田さんが翻訳している作家を主にとりあげた現代アメリカの作家を論じた章の3部で構成されています。
柴田さんのエッセイなどを読みなれているかたには少し固めに感じると思いますが、実際の文章を挙げながらわかりやすく論じられており、論文のお手本のよう。
この本は朝日新聞で高橋源一郎さんが「2005年私が選ぶ3冊」の中の一冊に選ばれており、興味をもって読みました。
私が一番面白かったのは「ジャメイカ・キンケイドの『小さな場所』第一章を教えることについて」の論文です。
「差別している人のことを考えるとき、その人が「痛み」を抱えているのだということ」「文学の教師もたまには道徳の教師にもならねばならないこと」
文学論以上に教師としての柴田さんのありかた、考えかたに触れられました。
論文中に触れられている、池澤夏樹さんの沖縄を訪問した学生の幼いコメントについての考察も感じ入るものがありました。