Simplex's Memo

鉄道と本の話題を中心に、気の向くまま綴ります。

土佐電気鐵道に乗る。(その2)~伊野線に乗る~

2005-12-21 06:51:37 | 鉄道(路面電車)
はりまや橋で伊野行電車に乗り換えようと、駅前線の電車を降りる。
目の前を後免町方面へ向かう電車が走っていく。


「ふるさとカラー」の電車とリスボンからやって来た533号車を除くと200形ばかりという桟橋線とは異なり、伊野~はりまや橋~後免町を結ぶ伊野線・後免線は600形が多く走っている。

早速やってきた伊野行きに乗る。
桟橋車庫の撮影会で土佐電気鐵道の人に言われた言葉が脳裏に甦る。
曰く、「伊野線はかつての名鉄美濃町線に雰囲気が似てる。24分間隔と本数が少ないところもそっくりだ。590形が走ると余計にそう思えるかも」と。
残念ながら590形が伊野方面へ足を踏み入れるのは年明け以降になるが、この機会に乗っておくのも悪くないと考えた。

グランド通付近で白い物が舞い降りてきた。
いよいよ、雪が降るのかと思っていたら、微かに降ったかどうかわからない位だったので安心する。

鏡川橋からいよいよ初乗車区間に入る。
橋を渡り、坂を下りる。
そこには、かつての岐阜の路面電車を上回る光景が広がっていた。
道幅が狭い事もあって、路線バスが軌道上に停車して客扱いをしている。
当然電車は前に進めない。
バスが発車して、ようやく前に進む。

こんな風だから、停留所の作りは推して知るべし。
かつての岐阜同様、路上にペイントしただけ。
しかし、岐阜とは違って乗客が安心して乗降しているように見えるのが救いか。
道幅が狭いため車がスピードを出せないのも一因になっているのかもしれない。
この狭い道は朝倉駅付近まで続く。

朝倉神社前からは道路端に設けられた併用軌道を行く。
かつての美濃町線に例えると、小屋名から新田までの区間が相当するだろうか。
確かに道端に敷かれた併設軌道はよく似ている。
しかし、こちらの停留所もまた、路上にペイントしただけ。
それでも14時過ぎという時間帯を考えると、意外に乗り降りする人は多い。
そして、軌道敷を歩く人も見られる。そうした人は勝手知ったるという感じで電車が近づくと、警笛を鳴らされる前にさっと軌道敷を出る。
そうした人と電車の横を車がどんどん追い越していった。

終点伊野には14:33着。はりまや橋を出たのが13:50頃だから約40分電車に揺られていた事になる。


伊野には10年以上昔、JRで来た事がある。
その時の記憶では近くに古書店があって古い文庫本を買いまくった事があるのだが、あれから年月は流れ、その古書店がどこにあったか記憶は薄れてしまっている。
そんな体たらくだったから、店の痕跡すら見つけることは出来なかった。

電車が去った後の伊野電停の待合室を見る。
「待合室」と表示されているが、実のところ「駅舎」でも通用しそうだ。

二階部分は伊野で一夜を明かす電車乗務員の宿泊所なのだろうか。

単に電車を待つのも芸がないので、お隣の伊野駅前まで歩く。
JRと土佐電気鐵道の「伊野」はさほど離れていなかった。
時間があれば、伊野線のどこかで走行写真でもと思わなくもないが、さらに後免町方面へ行く事を考えると無理はしたくない。
おまけに併用軌道で、しかも車の通行量が多い事を考えるとちょっと考えてしまう。

という訳で、お手軽に伊野駅前付近で一枚撮ってみた。

伊野線には狭い道路にペイントされた電停やタブレット交換等、旧名鉄美濃町線に似ている所もある。
しかし、専用軌道と併用軌道が入り乱れた旧美濃町線とは異なり、併用軌道ばかりで構成されている伊野線の線形はやはり別物。
おまけに美濃町線には「電車に揺られていた」という印象が強いが、伊野線ではユラユラとした揺れを感じる事もなく、どっしりと落ち着いて走っていたという印象を受けた。

当たり前の結論になってしまうが、旧美濃町線とは「似て非なる」路線としか言いようがない。
とはいえ、無理に旧美濃町線と横比較をしなくても、伊野線は伊野線で十分楽しい事は確かだ。
今回は車窓を眺めていただけだったが、じっくり歩いてみると結構カメラを向けて楽しめそうな場所がいくつか見つかった。
ただし、歩道もない場所が多く、しかも駅間距離が長いため歩いての移動には苦労しそうな気がしないでもない。
そんな欠点はあるものの、次に高知を訪れる機会があれば、伊野線を行く590形を撮ってみたい、そんな事を考えていた。

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