Simplex's Memo

鉄道と本の話題を中心に、気の向くまま綴ります。

「検証・『雪印』崩壊 その時、何がおこったか」を読んで

2006-02-15 21:22:22 | 読書録(その他)
この本を読んでいて、テレビで見ていた光景が思いうかぶ。 記者会見を一方的に打ち切り、移動を始めた社長の一言。 「私だって寝ていないんだ」。 この一言に対して報道陣は「こっちだって寝ていないんだ」と応酬する。 約6年前のこんなやり取りがあったことなど、半ば忘れかけていた。 牛乳製造ラインの汚染を原因とする集団食中毒、そしてグループ企業の牛肉偽装事件で信頼を文字通り「地に落とした」、雪印乳業。 その . . . 本文を読む

「重大事故の舞台裏」を読んで

2005-12-04 06:32:45 | 読書録(その他)
先月4日に書いたJR西日本の新型ATS設定ミスについて触れた記事の最後で、「是非読みたい」と注文していた本がやっと手元に届いた。 オビを見る。 「シャトル帰還は幸運なだけ」、「終わりなきアスベスト問題」に続き、「福知山線横転の原因はただ一つ」とある。 三番目の福知山線脱線衝突事故の真の原因を本書はどのように見ているのだろうか。 目的の福知山線脱線衝突事故の項を見る。 「あえて言う、事故主要因は . . . 本文を読む

「南極観測船ものがたり-白瀬探検隊から現在まで-」を読んで

2005-10-29 05:52:55 | 読書録(その他)
「南極観測」関係の本は出ているけれど、南極観測「船」関係の本は意外な事に出ていない。 南極観測船関係の資料として唯一手元にあるのが「船の科学館」に保存・展示されている「船の科学館 資料ガイド3 南極観測船宗谷」だけ。 新刊はもちろん、古書店の店頭でも見かけた事はなかった。 そんな折に日本の南極観測船について纏めた本書が出た。 オレンジ色をベースに白色のタイトルを配した装丁が実に「らしい」。 お . . . 本文を読む

「勝利のルール」を読んで

2005-10-27 20:45:30 | 読書録(その他)
2004年ル・マン24時間レース。 地上波で中継されていなかった事もあって世間の注目を浴びなかったが、日本人オーナーのプライベート・チームが初優勝を飾った。 これまでル・マン24時間レースでは、1日本車としては1991年にマツダが初優勝、19日本人ドライバーとしては1995年に関谷正徳が初優勝をそれぞれ飾っている。 ただ、「日本人オーナー」のチーム、しかもプライベート・チームとしての優勝は2004 . . . 本文を読む

「虎屋 和菓子と歩んだ五百年」を読んで

2005-10-25 21:07:55 | 読書録(その他)
最初に結論から。 「これ程上品な新書に出逢った事はなかった」。 「虎屋」と言われると「羊羹」。 こんな図式が頭の中で出来上がっている、和菓子の最高級ブランド「虎屋」。 しかし、名前だけは知っていても由緒ある名前だけとしか認識していない。 本書はタイトル通り、その虎屋が歩んできた室町時代から現代に至る「五百年」を凝縮した一冊である。 しかも、17代目当主が自ら綴るというから驚くほかはない。 ペ . . . 本文を読む

「ふるほん文庫やさんの奇跡」を読んで

2005-09-23 08:14:19 | 読書録(その他)
「ふるほん文庫やさん」。 5年前、長崎の路面電車に乗りに行った帰り、長崎駅のキオスクで古本が売られているのを見つけた。 これ幸いと数冊買い込んだのを覚えているが、これが「ふるほん文庫やさん」の書架だった。 その時は「ブックオフの亜流」と思っていたが、それが間違いだった事を本書で改めて知った。 しかも、この「ふるほん文庫やさん」は九州にずっとあるものだと思っていたが、実はその発祥が愛知県豊田市だっ . . . 本文を読む

「神保町『書肆アクセス』半畳日記」を読んで

2005-08-23 06:00:01 | 読書録(その他)
東京に来ると必ずと言って良い程、神保町へ足を運ぶ。 もう10年近くのつきあいになるだろうか。 右を向いても左を向いても書店だらけ、ここでしか買えない本を購入できるというのが、足を運ぶ一番の理由になっている。 お隣の秋葉原ほど騒々しくないし、食事も旨い。 歳月の蓄積を経た結果、自分にとって東京で一番馴染みがあって落ち着ける場所になっている。 ・・・と書いてきた割には、全部の書店を回りきっていない . . . 本文を読む

「軍艦島の遺産 風化する近代日本の象徴」を読んで

2005-08-19 07:26:03 | 読書録(その他)
お盆休みも終わりを迎え、通勤電車にいつも通りの混雑が戻ってきた。 ここ数日の間は座席に座って、朝の読書を楽しんできたが、それもそろそろ終わりになりそうだ。 先週、神保町へ行ってきた際、新刊書、古書問わずに様々な本を買い込んできた。 昨日はその山から一冊を取り出して読んでいた。 それが、今回取りあげる本書である。 「軍艦島」という名前が廃墟に関心ある人の口に膾炙して久しい。 長崎市沖に浮かぶ、立 . . . 本文を読む

「現代SF1500冊 乱闘編1975~1995」を読んで

2005-06-28 07:42:03 | 読書録(その他)
通勤電車の中、しかも吊革に揺られてこの本を読んでいたが、その題名通り大量1500冊という本の批評にひたすら圧倒された。 題名通り、20年間におけるSFの変遷を一翻訳者の目を通して見ている。 個人の主観が入りまくっているが、実に読んでいて心地よく、楽しい。 SFファンが主観を剥き出しにした批評というのは何と容赦なく、面白いのだろう。 その批評の中には自分が読んだ事のある本が数冊含まれているが、大学 . . . 本文を読む

「まぼろし万国博覧会」を読んで

2005-05-09 07:34:37 | 読書録(その他)
愛・地球博の35年前、1970年。 大阪で「EXPO'70」として万国博覧会(以下「大阪万博」)が開催されたことを記憶している方は多いと思う。 本書はそのイベントの全てをまとめている。 本書を開くと、当時の情報を「ここまでよく集めたなぁ」とその密度に圧倒される。 自分が生まれる前のイベントだけに、体験した記憶は持っていない。 大阪万博について知っているのはガイドブックを見た程度の知識しかない。 . . . 本文を読む

「しのびよるネオ階級社会」を読んで

2005-04-22 06:39:25 | 読書録(その他)
副題の「イギリス化する日本の格差」というサブタイトルに惹かれて衝動買いしてしまった。 しかも、不安感タップリの題名だ。 つくづく因果な本の買い方だと思う。 しかし、これがなかなかどうして面白い。 内容としてはイギリス在住経験を通して見た、その階級社会を描きつつ、日本に到来すると思われる階級社会がどのようなモノになるか描き出している。 新たな階級社会の詳細については、かいつまんで書いておくと次の . . . 本文を読む

「ぼくはオンライン古本屋のおやじさん」を読んで

2005-02-23 19:56:01 | 読書録(その他)
ネットに接続できるようになって初めてやったこと。 それは、古本屋関係のHPを探すことだった。 すぐにEasyseekにも登録し、探している本にまつわる情報が届くのを心待ちにしていた、そんなある日。 何の前触れもなく著者から探求書に関するメールが届いた。 早速、送金して本を購入したことは言うまでもない。 変わった名前だったから今でもよく覚えている。 確か1999年の冬の出来事だった。 前置きが長 . . . 本文を読む

「ファスト風土化する日本」を読んで

2005-02-15 06:25:16 | 読書録(その他)
本書を読み終えて何とも虚しく、悲しい気分に襲われた。 旅に出て、どこかの地方都市の駅に降り立つと同じような風景をよく見る。 それは、シャッターが下りて活気がない駅前商店街。シャッターには「テナント募集中」の貼り紙。 人が出入りしている駅前のコンビニとは対照的、活気がないのは明らかだ。 対して郊外のバイパス沿いには大型店をはじめとするロードサイドショップが展開し、東京で売られている物が格安で売ら . . . 本文を読む

「セントレア 常滑から世界の空へ」を見て

2005-02-09 07:26:01 | 読書録(その他)
今月17日に開港する中部国際空港。 この本は中部国際空港の着工から完成までを追った写真集である。 芸術的な写真よりは記録に的を絞った構成であり、その意味ではよくまとまっていると思う。 それにしても、2000年の着工から完成まで、よくもまぁこれだけの写真を撮影したと感心する。 後書きを見ると約2万カットを撮影し、この中から160カットを収録したとのこと。 空港島内の土砂入れ、空港施設の建設風景など . . . 本文を読む

「古本生活読本」を読んで

2005-01-27 21:13:30 | 読書録(その他)
昨日に引き続いて古本関係。 通勤電車に乗っている時間を読書時間に割いているのだが、同じジャンルの本が数日続くことはよくある。 勢いで本を選んでいることが多いから、どうしてもそうなってしまう。 さて、昨日の本がいわば「店」にスポットを当てているのに対し、今回は古本、古本を買う人・売る人を中心にスポットを当てている。 一読すると、古本に関する諸々の要素を一緒くたにして煮込んだような印象を受ける。その . . . 本文を読む