Men's wear      plat du jour

今日の気分と予定に、何を合わせますか。 時間があれば何か聴きましょう。

フレッド・アステア / Fred Astaire

2009-11-11 | Soul
 今日の一皿と言いながら料理が出たことはないのですが、今回はフレッド・アステアとジュディ・ガーランドの映画「イースター・パレード」の場面を描いた皿です。アステアに夢中になっていた頃、雑貨屋さんで見つけました。



私のまわりでも、顔が苦手とかミュージカルに馴染めないとかの理由で、フレッド・アステア食わず嫌いという人は割といます。
逆に服飾関係でない人のほうが、お薦めすると殊のほか喜んでくれて、はまる人も多いです。

ある日、休日で映画館のそばを通りかかると、1930年代RKOのアステアの映画が新しいプリントで上映されているとありました。見ると次の回がちょうど始まるところ。後から思うと偶然とは言え幸運でした。面白かったですね、見終わった後は足取りも軽くなっていました。その日は「トップ・ハット」だったと思うんですが、日をかえてそこで上映した3本全部見終わる頃には、中毒になっていました。

衣装も、普段日本で見る機会の少ない礼装がふんだんに見られますから、もちろん興味深いです。しかし、もっと目を奪われたのは、池波正太郎の幼馴染みが「外人にも粋なやつがいるもんだね」と評したというように、何気ない身のこなしや、誰にも真似のできないダンスです。ヌレエフなどの称賛を引用するまでもなく、芸を極めようとする人が一生のうちにとどき得るであろう到達点を、多くの人が楽しめる映画という形で残してくれたのは幸せな事でした。

ジェームス・キャグニーの自伝だったかアステア自身の伝記だったかで、偶然出会えた二人が意気投合して、ダンスの話で盛り上がったり、役柄に相反してアステアの方がべらんめぇ調だったので笑った話など、また、どれくらい完璧主義者であって厳しいレッスンを課していたか、それ故他の役者によるどんな伝記映画も作ってくれるなという遺言など、スクリーンの外の話も興味が尽きません。

そうして、RKOからMGMとソフトを集めて色々調べて行くうちに、当時のハリウッド・スターは衣裳を自前で用意しており、自らをより引き立ててくれるスーツやジャケットを求めて、折に触れロンドンやパリで評判の仕立屋を訪れていたことが分かってきます。

RKO時代の作品はもちろん全て白黒ですが、MGMとかパラマウントの「パリの恋人」、また「あしながおじさん」はカラーになっていますので、違和感は少ないかも知れません。また、人によっては着こなしがとても参考になると思います。
例えば、イタリア人のウェル・ドレッサーLuciano Barberaは直立時の股下の理想的な長さについて、「あなたの靴下は見たくないけど、靴はもっと見たい」と一流のユーモアで表現していますが、その最良の手本をアステアの映画では解り易く見ることができます。



ブルーのヘリンボーン・ジャケット。シャツは淡い茶とブルーのタッターソール。美味しそうなオレンジ色のウール・タイ。

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