Men's wear      plat du jour

今日の気分と予定に、何を合わせますか。 時間があれば何か聴きましょう。

Leroy Carr / Blues before sunrise

2009-12-19 | Blues
 今日の一皿は、リロイ・カー。ジャケットはセピア色ですが、きっとイカ墨味ではないですね。曲によってスクラッパー・ブラックウェルかジョシュ・ホワイトのギターがついてオレガノ......じゃなくてオブリガートを利かせ、スタイリッシュで大人の味がしたと思います。
もちろん曲をカバーした人のほかにも、音楽全体の雰囲気が当時としては都会的で洒落ていた部分が、それを嗅ぎ分けたミュージシャンに影響を与えたのではないでしょうか。
1932~34年の録音で、翌年30歳の若さで亡くなったと裏面のライナーにあります。



初めてイタリアを旅行したのは冬でした。
グリーンのローデン・コートに冴えた赤や黄のシャルパを挿し色にして、茶の帽子。まだそんな格好が最もスポーティに見えた頃で、広場に行き交う男のレベルが揃ったりすると、なんてトラディショナルな世界だろうと思った記憶があります。その後、スポーツ・ウェアで街を歩く人の比率が年々上昇して、他とあまり変わらなくなりました。

ですから全体の平均点は今でも高いですが、かといって年配の人が皆アニェッリみたいだったり、業界人が皆バルベーラみたいだったりという事は全くありません。

また色々な店を訪れて買い物をした時に、このジャケットにどのタイを奨めますかとかこのスーツにとか、たいてい尋ねてみたんですね。すると意外にも選択の引き出しが狭かったり、ちぐはぐだったり、全く合わない物出してお互い困ったりすることがありました。
中には埒が明かないので、プライドを傷つけないよう一言ことわってから自分で選んだのですが、最初から自分で選べばよかったじゃないかとえらい剣幕で、命からがら帰って来た懐かしい思い出もあります。150%くらいに脚色してますが、志ん生風に言うとアパレル界の決死隊みたいでした。

延べではありますが約200店舗巡ってみての感想ですが、色を合わせたりというのも日本人はもともと得意ですから、もっと楽しい着こなしが色々出来るように思います。

実際にコーディネートの上手な人は、私が一緒に仕事をさせてもらった人たちでも何人かいました。

画像のスーツはナポリ近郊アルツァーノという所で作られている既製服を、フィレンツェで購入。何度目かだったその店で、スーツを選んだ後タイも見せてくださいと頼むと、三本だしてくれた内の二本はまったく合わない色で、店主も笑いだしてしまいました。
一緒に笑ったあと「全部見てもいいですか」とことわって他から選ぶと、「そっちの方がいいね」と店主がテレ笑いしながら、出してくれた三本を片付けようとする時、「これもいただきます」と貰って来たのが画像のタイ。
「似た物もあるし」という気持ちもよぎったものの、ごく普通の合わせですが折角出してくれた事ですし、その頃には、後から思い出になるのは物自体よりそういうちょっとした楽しい出来事だったりするのが解っていました。

因みに私はよくフラップ中に入れたまま気にしないで歩いてますが、このスーツは元から無いモデルです。



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