【日本市況】日経平均一時1000円超下落、円152円台に急伸-債券下落
田村康剛、船曳三郎、日高正裕
2024年7月25日 14:30 JST
25日の日本市場は株式が大幅続落し、日経平均株価は一時1000円超下落して心理的節目の3万8000円を下回った。米国でテクノロジー関連企業の決算が期待を下回り、大手テクノロジー株中心に売られたことや、急速な円高が懸念された。日本銀行の利上げ警戒で円は買われ、債券は下落している。
日銀が来週の金融政策決定会合で、利上げの可否を議論するとともに向こう数年間に債券購入額をほぼ半減させる計画を公表する可能性が高いと、ロイター通信が報じた。また自民党の茂木敏充幹事長は24日夜、インターネット番組で「日本経済の再生によってまずは強い日本を作る。それによって強くて安定した円を作っていくということが必要だ」と語った。
日銀は利上げを来週議論、債券購入半減も発表の計画-ロイター
日本の株式・為替・債券相場
日経平均株価は前日比3.1%安の3万7954円78銭-午後2時2分時点
一時3%超下落して6月17日以来の3万8000円割れ
東証株価指数(TOPIX)は2.8%安の2715.70
円は対ドルで0.9%高の152円44銭
一時152円23銭と5月3日以来の高値
長期国債先物9月物は38銭安の142円42銭に下落後、下げ幅を縮小
新発2年債利回りは2.5ベーシスポイント(bp)高い0.39%
新発10年債利回りは0.5bp低い1.065%
一時3日以来の1.1%に上昇
新発20年債利回りは1bp低い1.85%
株式
東京株式相場は大幅安。日経平均株価は7日続落し、心理的節目の3万8000円を一時下回った。前日の米国でアルファベットやテスラといった決算銘柄や大型テクノロジー株が売られたことや、急速な円高が懸念された。電機や機械など輸出関連や金融株の下げが目立つ。
ソフトバンクグループや東京エレクトロン、ディスコなど半導体関連が大きく下げ、決算が失望されたルネサスエレクトロニクスは制限値幅いっぱいのストップ安。
アセットマネジメントOneの清水毅チーフマーケットアナリストは、米ハイテク株売りを受けて利益確定売りが出ていると指摘。米国の流れを受けたことに加え、日本には円高の悪材料があるとした上で、中長期のファンダメンタルズを崩すものはなく、日経平均3万8000円割れはあとから買い場だったと見えるのではないかと述べた。
為替
東京外国為替市場の円相場は1ドル=152円台前半まで上昇し、約2カ月半ぶりの高値を更新。2日連続で1%を超える上昇となった。日銀が来週の会合で追加利上げを議論するとの報道などを受けて警戒感が高まっている上、世界的な株安を背景にリスク回避の動きも強まり、低金利の円を売って高金利通貨を買うキャリー取引の巻き戻しが加速している。
大和証券の石月幸雄シニア為替ストラテジストは「リスクオフ環境で円キャリートレードの巻き戻しが幅広く出ている」と指摘。来週の日銀決定会合についても「利上げが半々ぐらいの確率で警戒されており、仮に見送られても将来の利上げへのヒントが示されれば円買いになる」と述べた。
また、あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジストは、来週の日銀会合を消化するするまで「円ショートの巻き戻しは、あく抜け感が出ない」と述べた。円の上値について「4月、5月の介入後の高値151円86銭や151円台半ばに位置する200日移動平均線が意識される」と言う。
債券
債券相場は中短期債を中心に下落。日銀が来週の会合で利上げを議論するとの一部報道を受けて、政策修正への警戒感が一段と強まっている。
三菱UFJアセットマネジメントの小口正之エグゼクティブ・ファンドマネジャーは、政府・与党の要人が円安是正と金融政策の正常化にたびたび言及している上、日銀としても会合後に再び円安が加速することは避けたいはずで「利上げは十分あり得る」と語る。
日銀の利上げ観測の高まりを受けて中短期金利の上昇幅が大きくなっている一方で、超長期債は買われている。小口氏は、超長期金利の水準は良いところに来ており、投資家の見直し買いが入っている可能性があるとしている。
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