HAKATA PARIS NEWYORK

いまのファッションを斬りまくる辛口コラム

粋なプレゼントに感激。

2015-08-12 14:17:46 | Weblog
 お盆に入った。ショップの店頭を見ると、そろそろ秋物がチラホラ。しかし、暑さはまだまだ続きそうである。

 そんな昨今、仕事帰りに事務所近くの大名エリアをリサーチしている。先日、訪れたアディダスショップは、夏物がセールになり、そこそこお客さんは多かった。

 ただ、ヘリテージラインのOriginalはポリエステル素材が多いので、暑がりの筆者はどうしても抵抗がある。売れ筋のシューズにしても夏なのにレザーが主流だし、アイテムも極端に絞り込まれているので、選択肢が少ない。

 海外の展示会~問屋のルートの方がスタンスミスにしても、スーパースターにしてもバリエーションが多く、夏向けのキャンバス地も豊富に揃う。だから、どうしても日本のショップでの購入には二の足を踏んでしまう。

 一方、Y-3はメンバー会員でもあることで、セールや新作のDMが送られて来る。だが、セールではほとんど買わないし、プロパーの秋冬ものを着るには、まだまだ暑すぎる。

 だから、今回は気になっていたプロモーション写真のコートを見てみようと、ついでに寄ってみた。

 ちょうど、店内の透過光パネルにも同じアイテムのモデルフォトがあったので、「試着したい」とたずねると、スタッフは「この商品は入荷と同時に完売しました」との答え。

 周辺のショップではまだまだ夏物在庫が処分中というのに、すでに秋冬物のコートが売れるショップだってあるのだ。しかも上代は14万円。納得である。

 写真を見る限りでは、光沢のあるフラノか、薄手のメルトン地のように見えた。しかし、厚手のコットン素材とのこと。暑がりの筆者にとっては、なおさら好ましい素材である。

 しかも、ロング丈、絶妙なフォルム、着たときの流れるようなライン。すべてがスポーツブランドの枠を越えて、新しいモードの世界を作り出している。

 かといって、決してスポーティさを忘れていないところに筆者を含め、惹き付けられるファンは少なくないようだ。それが「完売」という結果を生んだのかもしれない。

 購入するか、しないかは別にしても、せめて試着してみたかった。 実に口惜しい。

 結局、今年は夏物アイテムを全然購入しなかった。このコートを逃してしまったため、秋冬の立ち上がりでも買えそうな商品はなさそうだ。よくよく考えると、昨年の夏も購入したアイテムはなかった。

 大人の男の場合、ファッションで着るアイテムは限られているし、夏場はどうしても暑さ対策という機能面、洗濯やアイロンがけといったケアを優先せざるを得ない。ファッションの次元での商品選びのは難しい。

 SPA系が張りのある上質な麻や綿麻素材で、涼しげなオン対応のパンツでも作ってくれれば、購入するのだが、夏場はショーツやイージーパンツとカジュアル、リゾートに偏りがちだ。そういうことから、わざわざ購入したいと思えるアイテムは見当たらない。

 そんなことをツラツラ思いながら自宅に戻ると、パリから荷物が届いていた。海外通販も注文した覚えはない。荷物記載欄には「Cadeaux Gratuits」とあり、送り主名は懇意にするフランスのメーカーだった。

 開けて見ると、中身は「Protection Vetements」、いわゆる「衣装カバー」だった。夏ギフトというか、日本でいうお中元をくれたようだ。

 Gratuitsなのだから、それほど高いものではないと思う。不織布が使用されたカバーで、 日本なら100円ショップでも買える程度のものだ。

 とは言っても、Francais Cadeauxである。デザインは白地にコバルトブルーのボーダーが入り、ジップは赤でアクセントが利いている。服の保護、ワードローブの中にこそ、お洒落心を持ち込むところがフランスらしい。

 コストだけみるとそれほどかかってはいないだろうが、100円ショップと比較するのは失礼かもしれない。家の女性陣にも「洒落ているね」と、概ね好評だった。

 思い起こせば、マンションアパレル時代には、取引先の小売店にはプロモーションのノベルティを何度か提供したことがある。企画の条件はコストをかけず、いかにエンドユーザーに喜んでもらうか。それがなかなか難しい。

 衣装カバーになると、ガーメントバッグの感覚で、ジャケットやコートを購入すると、もれなく付けているメーカーもあった。今もブランドメーカーやセレクトショップではサービスされている思う。

 しかし、ノベルティとして衣装カバーを贈るのも、フランス人らしいエスプリが利いている。この辺は受け取る側としても感動ものだ。

 せっかく、ご好意に対し、何かしないといけないので、ラベリングしてインテリアとして楽しんでみようと思う。

 ジャケットやコートでお気に入りのものは、素材も上質なものが多いので、ケアを大事にして長く着るようにしている。とは言うものの、トレンドは変わっていくから、数年おきには追加購入してしまう。

 その頻度は年毎に少なくはなってはいるが、冬物はジャケットとコートで10着程度は持っているので、整理がたいへんだ。ワードローブだけでは満杯なので、自宅2階を一部屋すべて衣装倉庫にしている。メーカー用のシングルハンガーラックを置き、それに掛けて整理しているので、衣装カバーは必須アイテムだ。

 中身がどんな色、素材なのか、覗き窓を付けているカバーもあるが、ラベリングという方法をとってみた。

 手芸店のユザワヤなんかには、透明のアクリルカバーが付いたキーリングが売っている。これは押し花や刺しゅうなどを使ってオリジナルのキーホールダーを作るためのアイテムだ。

 これを利用して、ジャケットやコートの写真を撮ってラベリングするのだ。

 整理するアイテムをデコラ版など白バックの上に置き、三脚を付けたデジカメで俯瞰で撮影する。ファッション雑誌でアイテムのみを紹介する場合に利用される「置撮り」という手法だ。

 これをアクリルケースの内ケイに合わせたサイズにPhotoshopで加工。プリンターで葉書サイズの印画紙に出力して、商品ごとにカッターで切ってケースにセットすれば、分類できる。

 あとはジップ引き手の穴にリングを通せば、写真を見ただけでいちいち開けなくても、中に入っているアイテムが確認できるというものだ。

 「何もそこまでやらなくても」というご意見もあるだろう。もちろん、ごもっともである。ただ、フランスメーカーがたかがノベルティの選択にもエスプリを利かせているのだから、こちらとしてもそれに対する敬意を持てるセンスで返しただけである。
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