世の中のビンテージ・ギターの相場が、とんでもない事
になっている。ひどいものは、5年前の2倍。25万円で
買えたものが50万。背景には、木材不足など、納得せざ
るを得ない理由もあるが、「さいですか」と、とても受け
入れられないッス(マホ材が、ないなんって言っているん
だぜ)。
プレイヤーの視点で、どうにも納得できないのが、音の
悪いギター程、高い事。ギターの値段に音のよさは反映さ
れない。きれいなもの程、高い。数十年前のデッド・スト
ックを目の当たりにすると、タイム・マシーンで時間を飛
び越えたような「快感」を味わう。
しかし、そうした「美品」は、弾き込まれていないため、
硬い音のものが多い(あくまで、「多い」という話なのだ。
「怪物」の存在は否定しない)。私達、プレイヤーは、別
の道を選ぶ。
神田の街を足が棒のようになるまで歩いて、何日も通い、
よく弾き込まれて、納得できる状態のバカ鳴りの一本を探
し出す。神田の楽器街を見下ろす丘の上には、「山の上ホ
テル」。あの建物のように、大切にされながら古くなった
「逸品」を見つけ出すのだ。
路上音楽情報紙『ダダ』編集発行人・青柳文信
追記・この前、知り合った福生の楽器屋のおばちゃんが言
っていた。楽器選びはよく、コレクターのため、プレイヤ
ーのためと言われるけれど、最近、「夢のため」というの
が増えたと言っていた。ええ、話しや。
人間というものは、欲張りなもので、いざ、高額商品を
買う時に、一つのモノで、いくつもの要素を満たそうとし
てしまう(トホホ)。おばちゃんが言うような「3つの方
向性」を意識して、自分は、この楽器を何のために意識し
て選び、買えば、そう失敗する事がないだろう。