そろそろ

路上音楽情報紙『ダダ』編集発行人・青柳文信のブログ

大切にされながら、古くなったものを愛する。山の上ホテルのように。

2008-08-06 23:30:49 | お茶の水博士と歩く楽器街


  世の中のビンテージ・ギターの相場が、とんでもない事
になっている。ひどいものは、5年前の2倍。25万円で
買えたものが50万。背景には、木材不足など、納得せざ
るを得ない理由もあるが、「さいですか」と、とても受け
入れられないッス(マホ材が、ないなんって言っているん
だぜ)。

 プレイヤーの視点で、どうにも納得できないのが、音の
悪いギター程、高い事。ギターの値段に音のよさは反映さ
れない。きれいなもの程、高い。数十年前のデッド・スト
ックを目の当たりにすると、タイム・マシーンで時間を飛
び越えたような「快感」を味わう。

 しかし、そうした「美品」は、弾き込まれていないため、
硬い音のものが多い(あくまで、「多い」という話なのだ。
「怪物」の存在は否定しない)。私達、プレイヤーは、別
の道を選ぶ。

 神田の街を足が棒のようになるまで歩いて、何日も通い、
よく弾き込まれて、納得できる状態のバカ鳴りの一本を探
し出す。神田の楽器街を見下ろす丘の上には、「山の上ホ
テル」。あの建物のように、大切にされながら古くなった
「逸品」を見つけ出すのだ。

     路上音楽情報紙『ダダ』編集発行人・青柳文信

追記・この前、知り合った福生の楽器屋のおばちゃんが言
っていた。楽器選びはよく、コレクターのため、プレイヤ
ーのためと言われるけれど、最近、「夢のため」というの
が増えたと言っていた。ええ、話しや。

 人間というものは、欲張りなもので、いざ、高額商品を
買う時に、一つのモノで、いくつもの要素を満たそうとし
てしまう(トホホ)。おばちゃんが言うような「3つの方
向性」を意識して、自分は、この楽器を何のために意識し
て選び、買えば、そう失敗する事がないだろう。