深く潜れ(Dive Deep)! キネシオロジー&クラニオセイクラル・ワーク(クラニオ)の蒼穹堂治療室

「ココロとカラダ」再生研究所、蒼穹堂治療室が送る、マニアックなまでに深く濃い、極私的治療論とお役立ち(?)情報の数々。

貫くもの

2009-10-27 19:52:58 | 症例から考える
定期的に来てくれている、ある患者の治療でのこと。その時の主訴の1つに、ここ2カ月くらい時々、右下腿近位外側に筋肉痛様の痛みが出ることがある、というものがあった。調べていくと、まず右の丘墟(きゅうきょ:胆の原穴)に反応が出ているのがわかった。
ここでキネシオロジーの内臓/経絡と筋肉との対応関係の中の
胆嚢/胆-膝窩筋
という図式が頭に浮かび、更に肝-胆が表裏関係にあることから、肝臓/肝の関連筋である大胸筋胸肋部も合わせてテストしてみた。その結果、左右の大胸筋胸肋部と右の膝窩筋が弱化していることがわかった。どうやら主訴にあった右下腿近位外側に出る筋肉痛様の痛みの直接的な原因は、右膝窩筋の弱化にあるのではないかと考えられた。ただ、右季肋部を直接TL(注1)してもインジケータ筋(注2)はアンロックせず、肝臓・胆嚢の直接的な問題はなさそうだった。

(注1)セラピー・ローカライゼーション(therapy localization)の略。ザックリ言うと、手で体のどこかに触れること。キネシオロジーの中では筋肉テスト(筋力テスト)と組み合わせて、治療すべき部位を特定するために用いる。
(注2)キネシオロジーの筋反射テスト(筋肉反応テスト)に用いる、指標となる筋肉。異常な促通、抑制のある筋肉でなければ、どの筋をインジケータ筋と定めてもよい。通常はロックしている(=強い状態にある)インジケータ筋が、どこかをTLすることでアンロックする(=弱い状態になる)ならば、そのTLしている部位は治療すべき場所の候補となる。

治療そのものは、右丘墟に約1センチ角のキネシオテープをペタと貼っただけである。それだけで、弱化していた左右の大胸筋胸肋部と右の膝窩筋が正常化した。

それに続いて、別の目的で側頭耳孔ホールド(注3に移り、その間に患者には左季肋部へのフォーカシングを行ってもらっていた。そうしながら時間を置いて何度か、患者に感じられるものを聞くのだが、その人が途中で右下肢の主に後面に痛みが現れたと答えた。と、そこで、頭蓋をホールドしていた私に、その人の左下方(左足方)から伸びてきて肝臓の右葉あたりを貫く、何か棒状のものが感じられた。

(注3)クラニオセイクラル・ワーク(クラニオ)で用いる頭蓋へのホールドの1つ。主に側頭骨、顎関節へのアプローチを目的としたもので、施術者は中指を患者の耳孔に当てる。

もちろん、物理的に何かが相手の肝臓に突き刺さっている、などということはないのだが、その時は頭の中に肝臓を貫く棒状のものが、イヤにリアルなイメージとして頭の中に浮かんだ。

そこで、自分の意識でその棒状のものを柔らかく包み込むようにしてみた。そのまま静かに成り行きを見守っていると、しばらくして意識の中に包み込んだその棒状のものが粒子のように分解して消えていくのを感じた(この辺は、本当にCG映像を見ているような感じだった)。それが完全に消失するのを待って再び患者に尋ねると、右下肢の痛みも消えたという。最初に検出した左右の大胸筋胸肋部と右の膝窩筋の弱化をもたらしていた大元は、あの肝臓を貫いていた棒状の何かだったのだろうか?

何かを貫く棒状のものはキネシオロジーではしばしば見つけているが、クラニオで感じたのはこれが初めてだった。キネシオロジーで見つけたものは、心臓を前後に貫いていたり首を左右に貫いていたりと、貫き方もその太さもさまざまだが、いずれもそれを処理すると状態が改善することが多い。

キネシオロジーで検出する時は、体から離れた位置にTLする(体に直接TLしてもインジケータ筋は反応しない)。上記のように棒状のものが体を貫いている場合、TLしている手をその棒状のものに沿って動かすと、その範囲でインジケータ筋がアンロック状態になる。
処理は通常のキネシオロジーで使っている方法がそのまま使える。

というわけで、処理はできるのだが、アレはいったい何なのだろう? 松原次良(じろう)先生は「体表面から離れれば離れるほど、心理的なものの度合いが増えていく」と言っているが、私自身は必ずしもそうとは言えないと感じている(現に、体表面に近いところに激烈な怒りの感情を持っていた人も診ているので)。

これについては、また面白い症例があったらご紹介したいと思いますが、情報をお持ちの方があれば、情報ください。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« Windows7はMS復活の夢を見るか | トップ | ハイデガーという「道」を行く »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
同じものかは判りませんが。 (ひろひろひろ)
2009-11-04 17:02:50
先日行ってきた頭蓋仙骨治療のセミナーでのこと。
講師の先生が実際の患者さんをデモで治療しました。
その時の説明で「この方には前下方からT1に向けて貫くようなトラウマがある」と言っていました。(通訳の先生はトラウマを外傷と訳していましたが。)
遠くから見てたということとTLで反応するものが多すぎたために、本当に講師の先生の言う通りかは自分では確認できませんでしけど、
その時に、ふとこの記事を思い出しましたので。
交通事故でバイクにはねられたことがあるということで、「貫いていた」のはその外傷だったのかもしれません。
ご参考までに。
返信する
面白いですね~ (sokyudo)
2009-11-04 22:04:03
>ひろひろひろさん
>「この方には前下方からT1に向けて貫くようなトラウマがある」

確かに私が感じたものと同じものかどうかはわかりませんが、その患者にはこのように表現するのが最もふさわしい/このように表現したくなる何か、があったのでしょう。
面白いですね~
返信する

コメントを投稿

症例から考える」カテゴリの最新記事