深く潜れ(Dive Deep)! キネシオロジー&クラニオセイクラル・ワーク(クラニオ)の蒼穹堂治療室

「ココロとカラダ」再生研究所、蒼穹堂治療室が送る、マニアックなまでに深く濃い、極私的治療論とお役立ち(?)情報の数々。

量子論的クラニオ、みたいな…

2015-05-20 22:23:16 | 心身宇宙論

量子論的クラニオセイクラル・ワークというのを、セルフヒーリング・セミナーでやってみた。

YouTubeなどを見ると、セルフヒーリング(セルフケア)のためのクラニオの動画をアップしている人もいるが、それは自分で自分の頭をホールドして頭蓋の動きを調べ、それを調整する、みたいなもの。
私もかつては(10~15年くらい前には)そういうやり方をしていたが、バイオメカニカルなクラニオ(いわゆるクラニオセイクラル・セラピー(CST))からバイオダイナミクスに転向してからは、そんなやり方は使わなくなった。外からは何もしていないようにしか見えないので、通勤電車の中でも普通にできる(車を運転しながらは、さすがに無理だが)。

で、このセミナーは、当初はそういうクラニオをサラリーマンとかOLとかに教えるうつもりで始めたものだ。ところが、いざ蓋を開けてみると、そんな一般の人は誰も来ず、来るのはプロばかり。そして長く来続けてくれる人もいるので以前やったのとネタがかぶるのも申しわけないと、毎回ない知恵を絞ってネタ探しをしている。とは言え、そんなに簡単にネタが出てくるはずもなく、ほとんどはその場の思いつきでネタをブチ上げては後でつじつま合わせする、という綱渡りのようなセミナーだ。


さて、世の中には「クォンタム(量子論的)○○」というメソッドがいくつかあって、その中には「これのどこが量子論的なんだ?」と理解に苦しむようなものも少なくない。そもそも、そういう「クォンタム(量子論的)○○」を提唱している人自身が、量子論をどこまで知っているのかすら謎だったりする。

量子論はスピ系や成功セミナーなどで、その解釈論がもっともらしく引用されたりしている。私も物理学を専門的に勉強したわけではないので偉そうなことは言えないが、それでも量子力学の解釈論には基本として押さえておかなければならない事柄がある、くらいのことは知っているつもりだ。

以下にそれらを簡単にまとめておくと…(ああ、それから量子論はあくまでミクロのレベルの物質の状態や振る舞いを扱うものなので、あらかじめそのようにご理解いただきたい)。


ミクロな物質の物理量の実在性と隠れた変数の有無

物質の質量、位置、速度、…といったものを総称して物理量という。そうした物理量は測定される前から実在している(つまり、明確な値を持っている)のか、そうでないのか。
アインシュタイン、ポドルフスキー、ローゼンは、「物理量は測定前から実在しているが、その値が測定前に正確に予測できないのは、量子論にはまだ知られていない変数(隠れた変数)がある(つまり、量子論はまだ不完全な理論である)」ということを示す思考実験(EPR実験)を発表したが、もし物理量があらかじめ存在しているとした場合に得られる数値の理論上の下限(ベルの不等式)を実際の実験結果が下回っている(アスベの実験)。とすると、物理量は測定前には実在しないということになるが…?

非局所相関の有無

量子論では、非常に遠く離れていながら物理量に相関関係を持つ電子の対があることが指摘されている(非局所相関)が、非局所相関を認めると「物質の速度が光速を超えることはない(注)」という相対論に抵触することになる。が、非局所相関を認めても相対論との矛盾は生じない、とする説もある。

(注)もう少し正確には「光速を下回る速度で運動する物質は、その運動が光速を上回ることはない」。なお相対論は、最初から光速を上回る速度で運動する物質の存在を否定しているわけではない。

状態の重ね合わせと収縮

量子論が完全だとすると、ミクロの物質からなる系は複数の状態が重なりあった形でしか記述できない。そこに測定という行為が加わると、系の状態は1つに確定する(状態の収縮)が、そのことは量子論では記述できず、今は「射影公理」という別の仮定が必要になる。この状態の収縮のメカニズムを今の量子論の枠組みの中で(あるいはそれの最小限の修正で)説明できないか?

粒子と波の二重性

実験上は、ミクロなものも粒子として測定すれば、いつ、どこに存在するか明確になるので、それを時間的、空間的に記述できるが、波として測定すると、そのような記述ができない。
その反対に、量子論における基本方程式であるシュレディンガー方程式(あるいはシュレーディンガー方程式)からは、波として振る舞う系を決定論的に記述できるが、粒子としての振る舞いは初期条件をいかに正確に定めても決定できない。
この矛盾をどう説明するか?

この他にもベルの定理、コッヘン-スペッカーの定理といった条件(長くなるので詳細は割愛するが)もあり、量子論の解釈はそれらを全て矛盾なく説明できなければならない(のだが、まだそんな解釈は出ていない)。


さて、量子論的クラニオの話に戻るが、セミナーでは2回実技を行い、それぞれ「多世界解釈」に基づくクラニオ、「時間対象化された解釈」に基づくクラニオを体験してもらった。

「多世界解釈」に基づくクラニオは、ボディマインド・システムへの介入を行わないことで複数の状態を重なり合わせたまま、システム自体にその中の最も好ましいものを選択させる、というもの。
逆に「時間対象化された解釈」に基づくクラニオでは、システムに対して欲しい結果を提案し、現在の状態が未来のほしい状態に向けて変わるようにさせる。

まだどちらもメソッドとして完成しているとは言えないが、私個人としては可能性を感じている。

なお、もっと詳しく知りたい方は以下の過去記事を参照のこと。
「時間対象化された解釈」に基づく治療(2013.06.17)
多世界解釈に基づく治療(2013.10.04)


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