深く潜れ(Dive Deep)! キネシオロジー&クラニオセイクラル・ワーク(クラニオ)の蒼穹堂治療室

「ココロとカラダ」再生研究所、蒼穹堂治療室が送る、マニアックなまでに深く濃い、極私的治療論とお役立ち(?)情報の数々。

イマジナリー筋肉テスト

2010-10-02 22:45:01 | 症例から考える
6/末に骨折した左上腕骨頭は3カ月以上が経過して骨も完全に癒着したが、左肩の関節可動域がまだ完全に回復せず、動かし方によっては痛みも出る。整形外科のリハビリ(なのかアレが?)はアテにならないので、自分で治療を続けているが、今回はその中で行っている試みについて少し。

キネシオロジーでは筋肉テスト(筋力テスト)によって異常のある筋肉を割り出し、その原因を特定してそれに合わせた処理を行うことで、筋肉を正常にする。ここでやや教科書的な説明をすると…

筋肉には正常な状態と異常な状態がある。そして筋肉の異常には次の4つのパターンが存在する。
促通低下(under facilitation ; UF)
:対象となっている筋肉をテストすると弱い。一般的に言う「筋肉が弱化している」状態。
促通過剰(over facilitation ; OF)
:対象となっている筋肉をテストすると強いが、その筋肉の筋腹を寄せても(つまり、筋肉のスイッチを切っても)弱くならない。いわゆる「筋肉が過緊張した」状態。
抑制過剰(over inhibition ; OI)
:対象となっている筋肉の拮抗筋をテストすると弱い。
抑制低下(under inhibition ; UI)
:対象となっている筋肉の拮抗筋をテストすると強いが、対象となっている筋肉の筋腹を引き離しても(つまり、筋肉のスイッチを入れても)拮抗筋が弱くならない。

キネシオロジーでも一般の愛好家や初心者を対象としたセミナーだと、ある筋肉をテストして強ければOK(つまりその筋肉は正常)と見なして進められるが、本当はそんな単純な話じゃないってこと ま、それはそれとして…

私の場合、自分の左肩を動かして痛みや引き攣れを感じたらそれを取っていくのだが、当初はTL(therapy localizationの略。詳しくはここを見て)のみでやっていた。手が届かずにTLできない部分はイメージの手でTLするといった方法まで動員して治療していたが、それだけではどうしても限界がある。TLでは静的な状態の情報しか収集することができないからだ。

そこで合わせて筋肉テストを行うことにした。筋肉テストをすれば、TLだけでは得られない動的な状態の情報を手に入れることができる。と言ってもウチは私1人でやっているので、テストしてくれる人はいない。どうしようかと思った時、ある筋肉を別の筋肉に投影して、その別の筋肉を代理筋としてテストする方法があったことを思い出し、苦肉の策としてインジケータ筋(注1)だけで全ての筋肉のテストを擬似的に行う方法を考えた。自分の全ての筋肉をインジケータ筋(これも詳しくはここを参照)に投影し、対象となる筋肉のテストを行っているところを想像しながら、その結果をインジケータ筋で調べる。つまりはイマジナリー(想像上の、架空の)筋肉テストである。

(注1)キネシオロジーでさまざまな判断を行うための指標(インジケータ)として用いる筋肉。インジケータ筋は上記の異常のない正常な筋肉から選ばなくてはならない。

「そんなことができるなら苦労はしない」と言われてしまいそうだが、やってみると案外できてしまうものだ。で、それ以来この方法で自分に治療している。この方法を使うことで、いくつかわかったことがある。

確かCBSのセミナーでは、異常な筋肉は上の4つのパターンの何れか1つの状態にあり、2つ以上の状態を同時に持っていることはない、と教わったが、どうもそうではないようだ。当然のことながら、どんな筋肉もUFかつOFとか、UIかつOIなどということはない。しかし例えば、ある筋肉がUIである場合、それをスタック(注2)すると次に同じ筋肉がUFであったりすることがあるのだ。

(注2)スタック(stack)とは「積み重ねる」の意。ある時点での患者の身体情報(へのアクセス・パス)を、ちょうどスナップ写真を撮るように任意の関節受容器に記憶させるポーズ・ロックというテクニックを応用した、複数の身体情報(へのアクセス・パス)をリンクさせながら積み上げるように関節受容器に記憶させるテクニック。

筋肉テストは基本的にγ-1ニューロンテストで行うことにしているが、そこでは筋肉の異常を検出するためには、患者の動きに対して術者がどこで最大の抵抗を加えるかが非常に重要になる。CBSのセミナーでもウチでこの9月までやっていたセミナーでも、術者が最大の抵抗を加えるところを変えることで、それが同じ筋肉の上部線維、中部線維、下部線維のテストに変わる、というようなことはやっているが、本当に精細なレベルで筋肉の異常を検出するためには、更に細分化したテストが必要なようだ。(注3)

(注3)アプライド・キネシオロジー(applied kinesiology ; AK)を応用したアプライド・フィジオロジー(applied physiology ; AP)では、1つの筋肉に対して14段階の筋肉テストを行うというが、それがどういうものなのかは私自身は知らない。

ところで、このイマジナリー筋肉テストは1人でできて非常に便利なのだが、一時的に状態が改善してもまたすぐ戻ってしまうように感じる それはイマジナリーだからなのか、単に原因を十分深いレベルまで追求できていないからなのかは、今のところよくわからない。

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