映画さんぽ シスタマゴの徒然日記

映画大好きな姉妹が、最近観た映画のレビューや日々の出来事を気の向くままに綴っています♪

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)

2015年04月18日 | 映画
今年アカデミー賞最多4冠受賞作。

実は、1回観てわからなかったこと、もう一度確認したいことがあったので、2回目観てきました。
さまざまな解釈がなされる映画だと思うけれど、自分なりの解釈をしたいと思います。

冒頭の燃え落ちる隕石と大量の死んだクラゲのショットの後の、信じられないほどの長回しショット。
物理的にどうやって撮ってるんだろうと思わせるほど、ありえないワンカット撮影です。
(ちなみにアカデミー撮影賞を受賞してます)

これまでも、長いワンカット撮影のシーンが印象的な映画はたびたびありました。
しかし、これは全編といえるほどの長さなので驚きです。
(ワンカットで撮っているのに、時間の経過を感じさせたり)

演劇が舞台の物語なので、映画自体も演劇のように映してるんだろうだとか、特にワンカットで撮る必要性なんかないんじゃないの?なんて意見もありますけど、実はラスト近くで唯一カットが切り替わるシーンがあるのです。

カットが替わる前と後の違い。ただこの為だけに今まで延々と長回ししてたんじゃないかと思うくらいです。

※以下、ネタバレを含むので読みたい方は、マウスをドラッグして文字を反転させてお読みください。
これから映画を観るつもりの人は、読まない方がいいです。


冒頭、楽屋にいるリーガン(マイケル・キートン)が、いきなり座禅したまま宙に浮いていて、「あれ?この人って超能力者なの?」と思わせる場面から始まります。

手を使わずに物を動かしたり、下手な役者の上に照明器具を落としたり、街の上空を飛び回ったりと。

だけど、これ本当に起こってることなの?と、再見した時に確認したら、超能力が使えるというのは彼の妄想である感じでした。

楽屋の中で、いろんなものを念動力で投げつけて破壊しまくっている時に、友人のプロデューサーが部屋に入ってくると、リーガンが直に物を掴んで壊しているというシーンになっている。


ビルから飛び降りて、街の上空を自在に飛び回ってから地上に降りて劇場に入っていく際に、タクシーの運転手が「料金を払え」とリーガンを追っていく。(後で金をもらって出てくる)
つまり、空を飛び回っていたと思っていたけれど、実際はタクシーで劇場にやってきたという感じ。
第一、リーガンが地上に降りて来る時すぐ近くに人がいるのに、浮いていたリーガンを気にも留めないというのは不自然。

映像としては、リーガンの妄想と現実の境目をはっきりさせずに撮っているので混乱します。

役者の上に落ちてきた照明器具は?←これは偶然という解釈。

それを踏まえて、リーガンが舞台で拳銃自殺するシーンの解釈を。

あるレビューでは、あそこは“本当に拳銃で頭を撃って、そこでリーガンは死んでしまった。その後はリーガンの死の世界の話”という解釈をしているものもありました。
頭を撃ったと見せて、実は鼻を撃っていたというのに、頭を撃っているようにしか見えないとのこと。

2回目を観る際には、「ああ、そういう話だったのか」という目で観ましたが、う~ん、“絶対に頭を撃っているようにしか見えない”という確信は得られませんでした。むしろ、やっぱり鼻撃ってるような…

そこからこの映画唯一といえる、カット切り替わりの場面が。
冒頭のクラゲの死骸に、燃えながら落ちてくる隕石。街中で演奏していた鼓笛隊の中で格闘するヒーローたち、というシーン。それが一体何を表すのかは、正直まだわかってません。

その後のリーガンのシーン。“実は本当に死んでいた”という説を踏まえて観ていたのですが、正直ピンときませんでした。
それよりもリーガンがトイレに入った時、常に自分に話しかけてくる、かつて自分が演じたバードマンが、便座に座って一言も言葉を発しなかったことに意味があるのではないかと思いました。
リーガンが自分の分身ともいえるバードマンに別れを告げる。彼の呪縛から逃れたというように見えました。
(ところで、顔の上半分を包帯で覆っている姿がバードマンのマスクのようでしたが、これを外したのもバードマンをやめたというように解釈もできます。)

花瓶を持ってきたリーガンの娘(エマ・ストーン)が、父親がいないのを見て、開いている窓から飛び降りたのかと下を見た後、上を見上げて微笑むのは、それまで妄想の中でしか飛べなかったリーガンが、実際に空を飛べるようになったと解釈するのは乱暴でしょうか。



長回しが話題になりがちな作品だけど、なんと言ってもこの映画の牽引力が凄い。
見ているこちらが、物語にグイグイと引き込まれていきます。

今更だけど、この先これを超える役が彼に来るかどうかと思うと、やっぱり主演男優賞はマイケル・キートンに獲ってほしかったです。
難病モノが強いのはわかるけど、この作品の彼の演技は抜きんでていたと思います。
コメント
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