ひとり紫苑・プチプラ快適な日々を工夫

書籍「年金五万円が教えてくれたお金の向き合い方」「あるもので工夫する楽しい節約生活」は9万部。工夫の毎日は続く。

幸田文と沢村貞子の「福分」

2013-06-24 10:54:43 | きものの本&本


15年くらい前に幸田文の文章に

ハマったことがあります。

 ご存じ幸田露伴の娘で「小石川家の家」や

「幸田文の箪笥の引き出し」

で知られる幸田玉さんのお母さんですね。

 「みそっかす」から始まって

「おとうと」には号泣したものです

 なんといってもそのきもの姿がカッコいい。


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作品にはハマっても当時の私は、

きものには興味がなくて、

「きもの」(新潮文庫)も途中でやめた記憶があります。

 

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最近、幸田さんのきもの関係の本を再読。

 参考になる言葉、教えの連続なのですが、

ふと目についたのは「福分」という言葉。

 沢村貞子さんとの対談のなかの言葉です。

(「幸田文対談集」(岩波書店)

 沢村さんの

「私、あまり高いものは着ないんです。

なんとか安くあげよう、と苦心するんです」

という言葉に対し、

 「いいことがわからないのではなく、

いいものを身につけようとは思わない、

それがあなたの福分なのね」

と応え、こう続けます。

「--私も、結構な美術品みたいなもの、

美しさがわからないわけじゃなし、

それが国の一つの文化のバロメーターに

なっていることも分かっているんですが、

それを着るということは私のすることではない、

金がないからとか、器量がわるいからとか、

恰好がわるいから着ないというのではないんです。

 関係ないのね、自分の福分だけできめて。

それでけっこう人からも似合うと

いわれる。

 似合わないといわれたら、

これは困る。

人のも不愉快な感じをあたえているのに相違ないから」

「福分」

 恥ずかしいながら、

初めて耳にした言葉でした

 まあ、「分相応」という意味だということは、

文脈からわかりますが、

それよりも、なんというか、いい響き

 調べてみると、

 仏教、善行、修行の結果が現世で利益の形になったもの」

 あるいは単に「幸運・よき天運」とあります。

うーん、なんだか、固い

 私は、お二人の対談から、

 値段も種類も着方も、

自分に合っていることが、

その人を一番幸福にする」と解釈しました。

 

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 本音を言うと、私だって、

「~~高価なきものを着てみたい」

と思う気持ちはあります。

 そのなかには好奇心だけではなく、

「こんなお高いものもお持ちなのね」

と言ってほしいという虚栄心も

 いや、でも、やはり、似合わないでしょう、

自分の生活から大きく外れたきもの、は。

沢村「-なにか無理をしようとしますと、

私の母なんか、一升枡に一升五合は入らないよって。

その範囲内でなとかしたいと思って」

 

幸田「持っている福分を、

フルに使ってという感じね」

 うーん、なるほど。

 自分の持っている福分、

フルに使うというのは、きっとコーディネイトの巧拙もありますね。

 なんだか、さっぱりした気分です。

 だからといって、もちろん、

経済的にも年齢的にも不相応な

「あんなきもの」「こんな帯」に

憧れる気持ちあるんですけどね。

そこがきものの面白いところ、

というか、ワタシクのイタラナサ、

でございます。

 

まだまだきもの途上人

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コメント (15)
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