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王力雄:「中華民族」概念の意図は何か?

2009-02-27 23:00:38 | 中国異論派選訳
王力雄:「中華民族」概念の意図は何か?

 20世紀初頭、中国で清帝国を打倒した革命は当初は「駆逐靼虜(タタールを駆逐せよ)」というスローガンでハン(漢)ショービニズムを鼓吹した。しかし、中華民国が帝国を引き継ぐと、スローガンは「五族共和」に変わった。中国にはハン、マンジュ(満洲)、モンゴル、ムスリム(回)・チベットの五族だけではなく、イ、ミャオなどの民族の人口も少なくないのに、なぜ共和を行う民族に入れないのか? ここから、五族が含意しているのはむしろ領土であることが分かる――マンジュは東北(満洲)、モンゴルはモンゴル、ムスリムは新疆と西北、チベットはチベット。これらの地区はまさに領土拡張期の清帝国によって残された遺産である。

 当時の中国(ハン)は主権意識に目覚めていたとはいえ、主権を有効に貫徹する能力に欠けていた。そして他の民族も同様に主権意識に目覚め、世界主権システムの中で自らのわずかな場所を確保しようと努力していた。中華民国が内憂外患で自らの地位も危うかった時代、上述の地区では、モンゴルは半分以上が独立のモンゴル国になり、チベットは40年間の実質的独立を維持し、新疆には2回にわたって東トルキスタン国家が建国され、東北も14年間満洲国となった。中華帝国は瓦解し、中国本土さえ日本に侵略され占領された。

 当時の中国が「滅亡を防ぎ生存を図る」には二重の任務に直面した。一つは、外部の帝国主義の侵略を撃退すること、もう一つは中華帝国内部の分裂を防ぐことである。前者に対しては、民族主義は重要な手段だった。後者に対しては、民族主義はむしろ不利だった。そこでいかにして民族主義を国家のために使いつつ、少数民族に民族主義が生まれるのを防ぐかという問題を解決しなければならなかった。「中華民族」という概念はこのような状況の下で生まれたのである。

 いわゆる中華民族とは、帝国圏内のすべての民族が共同で構成するものと解釈されており、もし各民族がみな自民族の狭隘さを捨て、胸襟を開いて統一の「中華民族」に同一化し、「中華民族」に統合されれば、民族主義は全中国を一致して外と戦うよう動員できるし、内部に民族対立がおこることを心配する必要もない。

 中華民族の概念は今日頂点に押し上げられた。原因は中共がマルクス主義イデオロギーを放棄し、経済を発展させるために西側資本主義に対し開放政策を取ったことで、いかにして西側の民主政治の独裁政治に対する衝撃を防ぐかが、中共政権の生死にかかわる問題になったからだ。そのため中共は一層民族主義に依存せざるを得なくなった。だから中共の空前の「中華民族」の推奨の目的は、民族主義を外に対してのみ向けられ、内には向かない独裁の道具に改造することだ。

 しかし、これは明らかに一方的な願望にすぎない。民族は文化の蓄積と歴史の伝承の上に成立するものであり、人工的に作り出すことはできない。今回の(2008年3月の)チベット事件は中華民族概念に根がないことを証明した。中共の民族主義煽動の結果、チベット、ハン両民族の対立がもたらされた。歴史を振り返ってみれば、国家の分裂は、しばしば民族の対立から始まるのである。

2008年5月

原文:http://blog.goo.ne.jp/sinpenzakki/e/94b25bf377947b5cbef29f0af69613c9

王力雄:「中華民族」概念の意図は何か?

2009-02-27 16:52:54 | Weblog

“中华民族”的用意是什么
王力雄

二十世纪初,中国推翻清帝国的革命起初鼓吹“驱逐靼虏”的大汉族主义。随着中华民国接管帝国,口号改成了“五族共和”。中国并非只有汉满蒙回藏五族,彝、苗等民族的人口数量也不少,为何不在实行共和的民族之列?由此可以看到,五族的更多含义应该是指领土——满是东北,蒙是蒙古,回是新疆和西北,藏是西藏,这几个地区正是清帝国疆土扩张时期留下的遗产。

当时的中国虽然主权意识觉醒,却缺乏有效贯彻主权的能力。而其他民族也同样产生主权意识,也力图在世界主权体系中占有自己的一席之地。在中华民国内忧外患、自身难保的年代,上述几个地区的蒙古一多半变成了独立的蒙古国,西藏保持了四十年的实际独立,新疆则两次建立东土耳其斯坦国家,东北也有十四年时间沦为满洲国。中华帝国土崩瓦解,连中国本土也被日本侵略和占领。

那时中国的“救亡图存”同时面对两重任务,一是抗击外部的帝国主义侵略,二是避免中华帝国内部产生分裂。对于前者,民族主义是一种重要手段;对于后者,民族主义却更多地是不利。于是首先要解决如何既让民族主义可以为国家所用,又能避免让少数民族产生民族主义。“中华民族”的概念便是在这种情况下应运而生的。

所谓的中华民族,被解释为是由帝国境内所有民族共同构成,如果不同民族都能丢弃本民族的狭隘,敞开胸怀认同统一的“中华民族”,被“中华民族”整合在一起,民族主义就可以调动整个中国一致对外,却不必担心内部出现民族分裂。这当然是继承了帝国遗产的中国统治者最希望的状况。

中华民族的概念在今日被推到高峰,原因是中共放弃马克思主义意识形态后,对西方资本主义实行发展经济的开放政策,如何防止西方民主政治对专制政治的冲击,成为对中共政权生死攸关的问题。为此中共必须更多地倚重民族主义,而对“中华民族”高度空前的推崇,目的就是要把民族主义改造成只对外不对内的专制工具。

不过这显然是一厢情愿。民族是立足文化积淀和历史传承之上的,不可能由人为制造。这次西藏事件足以证明中华民族的概念没有根基。中共煽动民族主义的后果,造成了藏汉两个民族之间的分裂。而从历史上看,一个国家的分裂,往往就是由民族分裂开始的。

2008年5月

(本文为RFA藏语节目,转载请注明。)
出典:http://wlx.sowiki.net/?action=show&id=297