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レイシズムの傾向を強める中国共産党と相変わらず人権軽視の小泉政権

2005-04-24 11:35:04 | 雑感
今回の、中国共産党によって組織された排日デモにより、ここ数年の日中関係の変化が決定的になった。

まず第1に、2003年10月の西安西北大学における日本人留学生殴打事件を想起させる。このときは、日本人留学生による「下品な」寸劇に怒った中国人学生が、留学生宿舎を襲い劇に参加していない日本人留学生を殴打したというものであった。ところで、この劇が上演された集会は共産主義青年団(中国共産党の青年組織)が主催したものであり、また、デモの呼びかけ人も共産主義青年団であったと報道されている。もし、共産主義青年団が曲解するように、劇が中国人を一方的に侮辱するものであったとすれば、共産主義青年団はその出し物を認めた集会の主催者として謝罪するのが当然である。しかし、彼らは全く逆のことを行った。群集をたきつけて、留学生宿舎に乱入させたのである。
 そして、今回の排日デモはその日本人を目標にした攻撃が全国各都市に及び、店舗の破壊や、デモ外での華東師範大学日本人留学生への暴行事件を引き起こした。
 このような、日本人留学生への暴行や日系商店の破壊は共産党の対日抗議政治動員においてレイシズム(種族主義、もしくは人種差別主義と訳される)の傾向が顕著になってきたことを示していると思われる。
 そのことは、ベオグラード中国大使館誤爆事件にたいする、やはり共産党の組織した抗議デモがアメリカ大使館の破壊はおこなったが、在留アメリカ人への暴行には至らなかったのと対照的である。
 このような危険な傾向に対しては、即時に、断固とした抗議を行うことが、その不当性を明らかにし、広がりを抑えるために必要なのである。

ところが、第二に、これらの中国在留日本人に対する暴行事件に対して、国民の安全を守るのが政府機関としての第一の責務であるはずなのに日本政府がほとんどまともな抗議をしていないことである。そのことの背景に、私は日本政府の救いがたい人権軽視を見る。つまりこれは、小泉が内外の戦争犠牲者遺族の感情を踏みにじることを承知で、靖国参拝を続けていることやイラクでの人質事件に対する対応と通底しているのである。

そして、その結果、今回の排日デモをめぐっては、日中両政府はお互いの「国家的体面」だけにこだわった「謝罪要求」の応酬という、かぎりなく下品な劇を演じることになってしまった。