風月佳人 2008年4月29日
西暦2006年2月28日、農暦丙戍年2月2日、この日は、78万彭州市民全員が欣喜雀躍し、血が沸き立った日だ。1400平方キロの彭州の土地に絶え間ない笑い声の中に活力が湧き上がり、激情が渦巻いた。この日、17年間も首を長くして待っていたペトロチャイナ四川80万トン/年エチレンプラントがついにマラソンを終え、彭州に定礎をおいた。それは四川エチレンプラントがついに実施段階に入ったことを意味する。この日、多くの彭州人民の目には涙がたまった。……この日は、荘厳、厳粛に、彭州人民の心に永遠に刻まれるだろう。
――彭州招商信息ネット
私もこの日が彭州人民にとって忘れがたい日となったと信じる。なぜなら、これは彭州、成都、さらには長江上流全域の環境災害の始まりだからだ。
80万トンエチレンプラントが完成したら、大規模中心都市成都の3/4の範囲が深刻に汚染されるだけでなく、汚染は四川省西部の膨大な美田と下流のいくつかの地方都市にもおよぶ。1千万人の市街地住民と数千万人の農村住民の生命と健康が脅威にさらされる。天下一といわれる巴蜀の美しい景色も被害を受ける! 前車の轍は内外にあまたある。山東省斉魯エチレンプラントは設計年間生産能力30万トンだが、稼動開始後風下の住民のがん患者は稼動前の470%も増えた。汚染程度は石油化学プラントほどではない北京首都製鉄所はすでに市街地から完全移転した。上海金山石油化学工場の労働者の肝機能不全患者の比率は非常に高い。江蘇省塩城市阜寧県楊集鎮東進村では飲み水と空気が重化学物質で汚染されたために、近年がんで死亡者76人、生存患者が27人発生している。米国ヒューストンは石油化学工業があるために住宅価格が全国最低で、住む人は少ない。
――これはネット上で収集した資料である。
じつはエチレンプラントは産業連鎖の中下流にすぎない。「経済観察報」が今後の計画を報じている。このエチレンプラントのあとに、成都側は膨大な石油化学工業基地の計画を持っている。この基地に将来2200万トンの石油精製工場、100万トンの芳香族炭化水素プラント、100万トンのもう一つのエチレンプラントの計画があり、プロジェクト全体は2020年完成の予定である。
四川盆地とりわけ成都平原は、重化学工業プロジェクトには向いていない。人口が密集したこの地では、地形が特殊なので、重化学工場の廃ガスは拡散しにくく、廃水は処理しにくい。しかも、この地方は文化遺産が豊富で、生態環境に優れ、風向は明媚で、景観資源は破壊を許さない。彭州は龍門山脈にあり「四川彭州の牡丹は天下一」と言われている。本来、ここは名実共に避暑地であり都市の裏庭であり、また一千万成都市の野菜供給基地であり通風口である。成都は亜熱帯モンスーン気候に属し、一般に6,7,8月は北風で、他の月は東北東の風である。成都の風は彭州から吹いて来ているのだ。成都の水道水源はどこだろう? 北である。成都最大の浄水場――自来水六廠と、二廠、五廠は郫(ヒ)県と彭州の境の三道堰などである。都江堰の水は郫県と彭州を経て川西平原と丘陵地帯に流れる。成都の飲料水原保護区は北郊外の鳳凰河――沙川の源流であり、まさに都江堰→郫県→彭州→新都を通る岷(ミン)江の水である。
なぜ成都なのか?
「経済観察報」は次のように分析している。周知のように石油精製と石油化学工業はシノペックの得意分野であり、わが国の石油化学工業はおもに沿海部に分布している。これら化学工業プロジェクトの投資規模は巨大なので、基本的にみな国家発展改革委員会の立案が必要である。石油戦略の安全と市場の合理的配置、重複建設を避けることなどを考えると、ペトロチャイナが沿海部でシノペックと石油化学工業分野で競争する可能性は小さい。現在、ペトロチャイナの中国の西部における将来のエチレン生産規模は320万トンと驚くべき規模である。これは中国の現在の毎年のエチレン消費量の半分に相当する。そして、石油精製の規模でもペトロチャイナは西部で将来は3000万トンを突破するであろう。シノペックには追いつけないとしても、中国の西部の石油化学産業をしっかり掌中にできる。「この分野で競争力が得られれば、目を内陸に向けることは、ペトロチャイナにとってはこれほどいい選択はない」と業界関係者は述べている。
中国が現在直面している最大の問題は生産能力の過剰であり、すでに各地で資源を略奪し、環境を汚染し、安い「中国製品」を製造している。それでも成都の開発は避けられないと言うのか?
マスコミは誘導され、このプロジェクトが強力な利益集団にもたらす利益を宣伝しているが、環境部門は何をしているんだ?
国家環境保護総局の彭州80万トンエチレンプラントへの回答を見よう。
1、ペトロチャイナは廃水処理技術、水循環利用および浸透防止などについてさらに外国視察を行い、最も進んだ技術を採用して、廃水循環使用を実現し、廃水排出量の減少もしくは無排出を達成すべし。 40600
1-1 プラント予定地は氾濫原で、地下水資源が豊富であり、地下水位は浅く、環境は比較的敏感である。環境影響報告書は水質保護目標、事故とリスクの影響程度と範囲の分析が不十分である。
1-2 排水処理プロセスと循環利用プランをさらに改良する。
1-3 アクリル酸とエステルのリスク分析をすること。
1-4 外国の同類廃水処理、水循環利用、浸透防止措置などの先進技術の視察、導入を速やかに行い、廃水循環使用、少量排出もしくは無排出を達成する。
2-1 緊急時対応計画に具体性と可操作性がない。地域、流域環境リスク緊急対応に関連する内容がなく、緊急時モニタリングプランが作成されていない。
ここ数日、いくつかの大きなQQグループやプロバイダーメールで以下の文章が頻繁に転送されている。
ペトロチャイナがすでに着工した年間生産能力80万トンエチレンプラントと1000万トン石油精製プラントは、彭州市隆豊鎮にあり、敷地面積は6000ムーである。この猛毒化学工場が一旦生産を始めたら、風下、下流方向の成都の空気がひどく汚染され、野菜や飲料水もひどく汚染される。成都市民の今後の生活は白血病と奇形児の中で過ごさなければならない。我々は健康に生活したい! 国際組織はこの種のプラントは都市から100キロメートル以上離すよう定めているが、成都との距離はわずか30キロメートルだ! 我々の子孫のために、メールを見たら大成都の友人全員に転送してくれ。
成都の裏庭彭州に、成都の風上、下流の場所に、80万トンエチレンプラントが何の遠慮もなく作られる。プロジェクトが稼動を始めると成都のGDPに千億元以上の貢献をするというが、成都はそのために計り知れない代価を払うだろう。環境と生命と引き換えの官僚業績プロジェクトは権力者の出世と金儲けの道具になっている。また、非常に残念なことは、この問題の前に成都のマスコミが集団で失語症に罹ってしまい、民衆の前に沈黙していることだ。政府は一旦コントロールを失えば、成都の不動産価格が暴落することを知っているから黙らせているのだ。誰がこの有毒な都市で家を買って、定住するだろう? 私は成都人ではないが、たくさんの成都の友人がいるし、成都で今後も何年か仕事をするのだから、家を買って仮住まい(戸籍がなければ長く住んでも暫定居住)しようと思っていたが、成都不動産市場のバブルとバブルの背後のさまざまな陰謀、そして恐ろしい未来が見えた! 私は成都を離れるまで借家住まいをすることに決めた。
アモイ人の努力で、アモイポリキシレンプラントは建設中止になった。ナルシストの成都人よ、君にこの都市を愛しているという資格はあるかね?
原文:http://blog.goo.ne.jp/sinpenzakki/e/ff8d6028bac5859eae1fc0e111d132e6