【ML251 (Marketing Lab 251)】文化マーケティング・トレンド分析

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橋本治 金言集 『ナインティーズ』 読書メモ (コメントなし) <第5回>

2012年06月21日 | マーケティング話
<第4回>より続く。

アイデンティティーというと、やはり“神”ですね。日本人の苦手な。苦手ついででどうせ錯覚してるだろうと思うんだけど、「神が強いところではやっぱりアイデンティティーという思想も強く起る」っていうのは、間違いですね。だって、イスラム教徒が“個人のアイデンティティー”なんてものを問題にするとは思えないもの。アラーの神が健在だったら、「“私”というものの保証はアラーの神がなさって下さる」ですむし、「何事もアラーの神のおぼしめし」っていうのは、そういうことなんですから。

アイデンティティーというのは、神が死んだ世界でだけ起ることで、神が健在な世界じゃそんなことは関係ない。神というものが“敬虔な信者”である自分の保証をしてくれていた、そのことの根本に疑問が生まれて、それで神のやってきた保証事業を「自分のぶんだけは自分で」っていうことになって生まれたのがアイデンティティーという“自己同一性”なんだから。

会社が傾きかかって、その瞬間「今まで会社によっかかっているだけだった“自分”ってなんなんだろう?」と思って会社を辞めちゃう。会社そのものに疑問を感じちゃったもんだから今更就職なんて出来なくなって、脱サラして職人になっちゃったら、もう“名刺”ですべてが通って行くなんてことは出来なくなる。「あんた誰?」「ラーメン屋ですけど」「だったら作ってみろよ」「はい、出来ました」「なんだ? まずいラーメン作りやがって、お前なんかがラーメン屋である筈ねェじゃねェか」-というのが、神の没落とアイデンティティーの誕生の関係ですね。

どうしたって、まだ脱サラ直後のサラリーマンはラーメン屋に見えない。「どう見たってラーメン屋」という事態を確立して-あるいは「俺がラーメン屋であることは事実なんだから、俺が何に見えたってかまわない」という事態を獲得して、それで誰が食ってもうまいラーメンを作ってられるようになった段階が“アイデンティティーの確立”なんですね。あんまし難しいことは考えない方がいい。

(同書153~154ページより)

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