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『8割の人は自分の声が嫌い』(山広子著、角川SSC新書、2014年11月刊)

2014年12月01日 | 書評
学校に通ってる頃か社会人になってからか覚えていないが、親鸞とか日蓮といった仏教の教祖は、声が奇麗なことで人々を惹きつけた、つまり芸能的性格を有していたのでは、という説を何かの本で読んだことがある。
本書を読んでそれが科学的に裏付けられた確信に変わった。ビン・ラディンの声がもう1オクターブ半低ければ、欧米社会に与える影響は変わっていただろうどいうご説には納得した。

日本人の場合、欧米人に比べ声への意識は著しく低い。最近、サイトのニュースでもこれだけ豊かで治安のいい日本なのに「幸福感」が感じられにくく、自殺者も先進国の中で多いことが話題になっている。思わぬことだかその要因の一つに「声」に対する低すぎる意識・態度があるのではないか? と思わぬ視点が。
「声」を作る要素は8割が後天的で、先天的素養は僅か2割だという。
著者の山崎さんが力説するように、日本では幼児期から「声の個性」を没するように教育している。声がその人自身を表現する重要な手段であり、他人・社会と自分をつなぐメディアだという認識がない。本書を読むまで私もそうだった。
実際、ある小学校2年生のクラスの学級崩壊が、担任の女性教師の「声」のトレーニングの結果、ピタリと収まった事例も紹介されている。

さらに本書の素晴らしいところは、知識・教養書にとどまらずハウツー本でもあるところだ。どこどこでお金を払ってトレーニングしなさいと薦めるどころか、ほかならぬ自分自身のセルフトレーニングが最も有効でその方法が記されている。根気はいるものの難しいことではない。「オーセンティック・ヴォイス」を見つけることを早々、私も始めた。

山崎さんは人の声でその人の性格、育ってきた環境、現在の精神・身体状況を相当、深く読んでしまう。科学的根拠のみを背景にした「占い師」のような方だ(実際、米国の大学病院では声を録音しフィルターをかけることで特定の病気を診断する試みも始まっているという)。
読了して気づいた。今までの山崎さんとの会話の中で、私はどんな風に感じられていたのだろうか? 少し怖くなってきた(笑)。

8割の人は自分の声が嫌い 心に届く声、伝わる声 (角川SSC新書)
山崎 広子
KADOKAWA/角川マガジンズ

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