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『オルタナティブロックの社会学』(南田勝也著、花伝社 (2014年4月5日刊)

2014年09月25日 | 書評
ヤバい!
タイトルに「週一更新」とあるのに「月一更新」となってしまった。。
FACEBOOKは毎日記事を書いとるにのに。
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『ロックミュージックの社会学』(2001年、青弓社)の著者、南田勝也の力作。
すんごく単純化してまとめると、おおよそ90年を境とした「オルタナティブ」「グランジ」と、その前の「ロック」との違いはこういうことになる。
「黒いか黒くないか?」「波の音楽から渦の音楽へ」。

また、「セックス・ドラッグ・RR」の時代との違いとして、大きな潮流ではないものの、2000年代以降、Xスポーツなどとの親和性(「ストレートエッジ思想」など)も挙げられる(「ロックのスポーツ化」南田)
そこまでいかなくても、ノイジーなサウンドに対する鋭敏性が研ぎ澄まされ(どうりで30年前のうちのバンドのCDが2000年以降、再発されたわけだ。本書では、メジャーの規制からの解放を顕示する露悪的なアートへ沈溺していった80年代の「暗黒インディーズ」と表現されているが・・)、大音響に増幅されて聴衆の身体全体に働きかけている。
ロックは「個人表現という再帰的なイデオロギー」にいつまでも縛られているわけでなく、ダンス音楽と同様、身体の運動機能に直接振動を与える音楽となっている(同書137ページより)。

DJとレイヴの文化は「反復的なサウンド構造に酔いしれ、個人のアイデンティティを溶解させる」が、そこまでではなくとも、オルタナ以降のロックにはそんな要素も。

南田氏のことだから、本書にも当然、語られて久しいネットのメリット・デメリットもまとめられている(Push型とPull型など)。
そのあたりのこと、例えば「文化的な寛容・不寛容さ」とか「サイバーカスケード現象」とか興味のある人はご自身で読んでね。
欲を言えば、メリットの側面を、実態に即して深堀してほしかった。
1957年当時の米国で、(1)白人中産階級向けポピュラー、(2)白人労働者階級向けカントリー&ウエスタン、(3)アフリカ系アメリカ人向けのリズム&ブルーズという3つのジャンルがクロスオーバーしていったのは、ラジオの影響であったこと。
それがネット社会では? といったところか。
ま、自分で考えろってことだろうね。
尤も、どんな業種・業態でも言えることだけど(あんましマーケティングという言葉は使いたくないね。皆さんの定義はバラバラだし、限定的に理解されっからね・・)Push型とPull型はどっちが優れてるということではないからね。
そのあたりは、新し物好きで、金にならないとなるとすぐに忘れさせる(「消費」させ尽くしてしまう)マスコミ・ジャーナリズムに振り回されないようにしましょうね。

オルタナティブロックの社会学
南田 勝也
花伝社


ロックミュージックの社会学 (青弓社ライブラリー)
南田 勝也
青弓社

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