【ML251 (Marketing Lab 251)】文化マーケティング・トレンド分析

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『心理マーケティングの基本』(梅津順江著、日本実業出版社、2015年6月1日刊)

2015年06月11日 | 書評
安原マーケティングワークショップJMRX勉強会でお世話になっている、ジャパン・マーケティング・エージェンシー企画部/定性調査部シニアディレクター/モデレーターとしてご活躍の梅津さんの力作
『心理マーケティングの基本』を拝読いたしました。

私が知る限り、その黎明期からMROCをこなされてきた日本を代表する実務者のお一人です。

梅津さんが全身全霊を込めて執筆された本署のタイトル通り、実務に有用な「心理マーケティング」書ですね。
内容は定性調査のマニュアル本を超えています。

私の主観ですが、やはり後半、第5章のMROCあたりから、著者の筆致がグイグイと迫ってくるのを感じました。

黎明期に行き詰られた折、エイベック研究所の武田隆さんの『ソーシャルメディア進化論』を読まれ、MROCのダイナミクスとは、参加者が他者の発言を参照しつつ行う「自分自身との対話」であり、「静寂の中で生まれるグループダイナミクス」と気づかれたあたり、流石としか言いようがありません。

「思考・熟考型コミュニティ」では、消費行動の態度変容=「変化」ではなく「深化」が起こるという経験に基かれたご知見。

また、私にとっての「金言」は205ページに述べられています。

「同質なき多様性は単なる崩壊でしかなく、多様なき同質性は周囲に迎合しているに過ぎません」

ほかにも、ゲーミフィケーションの具体的な活用例、インサイトよりもセレンディピティという考え方、評価グリッド法とラダリングのよく整理されてわかりやすい比較など、「眼から鱗」の知見を得ることができました。
あと、梅津さんの本質の一つだと思うのですが、「言葉」に対する感性が鋭いなと。
本書の導入部の「性格」と「人格」相違点に始まり・・、ご興味のある方は本書をお読みください。

インタビューやホームビジットの際、買う・買わないという購買行動だけでなく、捨てる・捨てないからもアプローチするという姿勢は、リサーチャーのみならずマーケターとしての高い素養を感じました。

インタビュアーだけでなく、ファシリテーターもこなせるというスキルも貴重だと思います。
ジャパン・マーケティング・エージェンシー(JMA)さんでは2014年より「集合知メソッド」という定性調査とワークショップを組み合わせたサービスを開始されたとのことですが、ワークショップは他の業界でも、これから「標準装備」になるんじゃないかな? と私は考えておりました。
これも私流の言い方をさせていただきますと、「デザイン志向の仕事術」ということになります。

最後にJMAさんが2014年に実施された「女子を考えるプロジェクト」の発見事実が興味深かったことを記します。
「半歩先」のニーズを持った女子の4つの特徴、全て私に当てはまりました。
先日、Facebookで「Franc Franc」のアロマ製品を買って喜んでいることを投稿しましたら、Y君から「女子ですね」とコメントいただきました。
中々、鋭い奴ちゃなと今さらながら思ったのでした。

この1冊ですべてわかる 心理マーケティングの基本
梅津 順江
日本実業出版社


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