南の国の会社社長の「遅ればせながら青春」

50を過ぎてからの青春時代があってもいい。香港から東京に移った南の国の会社社長が引き続き体験する青春の日々。

本当にこれでよかったの?東京のプレゼンテーション

2009-10-04 15:03:07 | オリンピック
2016年オリンピック開催地の選考で、東京は残念ながら破れて
しまいました。一日が経過して、ニュース報道や、ブログの記事
を検索して見ていたのですが、東京のプレゼンテーションの評価
がやけに高い。不気味なくらいに「東京のプレゼンテーションは
一番よかった」とかいう発言が目につきました。石原都知事も
「誰に聞いても東京のプレゼンは圧倒的によかったと言うんだ
よね」と言っておりました。ブログの記事はマスコミ報道の受け
売りが多いのか、大半が東京のプレゼンに対して好意的な意見。
しかし、はたして、本当によかったのでしょうか?東京のプレ
ゼンがよかったとコメントした人々は、一体何を基準にそのよう
に発言していたのでしょうか?

日本のプレゼンは実はあまりよくなかったんじゃないかと感じて
いた私は、自分の感覚がずれてしまったのではないかと心配に
なってしまいました。こんな発言をしたりすると、ひょっとして
非国民として袋だたきに合ったり、ブログ炎上なんてこともある
かもしれないのですが、でもやはり自己満足に浸っている日本の
皆様に現実を見ていただかないといけないのではと思い、あえて
辛口のコメントを書かせていただきます。東京のプレゼンが
よかったと思っている方はあまり読まないほうがよいかもしれま
せん。またもしかりに2020年に向けて再チャレンジをするなど
ということがありましたら(そのような無謀なことは敢えてしな
いことを祈りますが)、その際のプレゼンの参考にしていただけ
たらと思います。

本当は、リオデジャネイロのプレゼンの分析をしようと思ってい
たのですが、東京の映像をチェックしていたら、先に東京のほう
を何とかしないといけないと思ったので、東京のプレゼンに関し
ての辛口な突っ込みを入れたいと思います。

聞くところによると、オリンピック招致関連は、某大手広告代
理店が巨額で受注し、おそらく今回のプレゼンの演出にも関
わっていると推測されるのですが、いかにもな演出だったよう
に思えます。

冒頭の写真は、石原都知事が、彼のスピーチを締めるときに
大きく両手をあげて、"Everyday!"という言葉で盛り上がりを
作ろうとしているのですが、これはちょっと滑りましたね。
それほどの拍手にはならなかった。本当はもっと大きな拍手を
期待していたのでしょうが...

この石原都知事と同じようなポーズをしたのは、荒木田裕子
さんでした。この人は1954年生まれで、モントリオール五輪で
は女子バレーボールで金メダル、新東洋の魔女と言われていた
そうなんですけど、ちょっと知りませんでした。

このポーズは、東京の楽しさを語るくだりで、「もしカラオケ
に行きたくなったら、私たちが連れていってあげるわよ~!」
と英語で言うところで出たものです。偶然にも石原都知事と同じ
ポーズ。これは演出家の指導だったのでしょうか?
しかしこのカラオケの部分は、爆笑を狙っていたのでしょうが、
小笑いにもならず、荒木田さんは完全に滑ってしまいました。
この瞬間の凍り付いた時間はちょっと恐ろしかったです。
スケート選手やスキー選手だったらよかったのですが。(汗)

さて、こういう部分の揚げ足を取っているだけでは、本格的批評
になりませんので、もう少し厳しくメスを入れていきましょう。

まず、15才少女のサプライズ登場。皆さんのブログ発言の大半は
この少女の英語力を絶賛していて、評価は非常に高いです。演出
的にはいかにも某大手代理店的な感じがしてしまうのですが、
私的には、この演出もちょっと滑った感がありました。日本人と
しては英語はうまいのですが、自分の言葉にはなっていなくて、
誰かに言わされている感じでした。気持ちが伝わってきません。
いかにも優等生的な感じです。日本の皆さんはこういうプレゼン
で感動してしまうんですかねえ。

こういう少女に、環境問題とか、ドーピングの問題とかを負わせ
るのはちょっと重すぎたんじゃないでしょうか?だいたい環境と
いうテーマを打ち出しすぎたところも問題でした。環境を出さな
ければ、東京の独自性をアピールできないという問題はありまし
たが、環境問題を口にするのなら、オリンピックなど誘致しない
のが一番です。ただでさえ混雑している大都市に、余計なものは
持ってこないのが一番です。大都市内の経済効果を狙ってさらに
規模を大きすれば、環境問題とは逆効果になる気がします。
だいたいスポーツと環境問題との関係は論理的に言って、どうい
うことなんでしょうか?ちょっとわかりにくいテーマでした。

また、もし若い世代が安心して暮らせる未来をそれほど切望する
のでしたら、オリンピックなんかを開催しないで、教育とか、
安全に投資してもらったほうがいい。日本は治安がよいという
先入観があるけれど、化学兵器を使用した無差別テロが世界で
最初に起こったのは日本(オウム真理教によるサリン事件)だ
し、通り魔殺人事件は時々起こるし、本当に治安がよいと誇れ
る国なのだろうかと疑問に思うのですね。こういう国こそ国際
テロに関してはむしろ弱い部分もあるような気もします。

さて、15才少女の次に登場してきた猪谷千春IOC副会長。この人
1931年生まれで、日本で始めて冬季五輪でメダル(銀)を獲得
した人なんですね。IOCでも重職を担っている方です。でもこの
オリンピックの招致の最終舞台でのプレゼンターとしてはちょっ
と暗い。

この前に15才少女でせっかく未来の夢を語ったのに、何だかもう
未来はなさそうな感じです。

そして登場してくるのが鳩山首相。

ぎりぎりで決まって、準備もあまりできなかったのかもしれま
せんが、ちらちらと原稿を見ながらのスピーチは、ちょっと印象
が悪かったです。一国の首相でありながら落ち着きのない印象を
感じてしまいました。

また、クーベルタンの言葉を引用して、それが自分の「友愛」の
理念に通じるところがあるという部分、これはちょっと意味不明
でした。クーベルタンは、スポーツは肉体と精神のfraternity
(融合)ということでfraternityという言葉を使ったのだと思う
のですが、この言葉には確かに「友愛」という意味もあり、でも
だから何なの?ということでわけがわからなくなってしまった
部分でした。このへんIOC委員の皆さん理解できたんでしょうか?

さて、鳩山さんの次に、東京のスポーツの歴史をアピールする
ビデオが上映されます。その導入部分の映像がこれ。

嘉納治五郎先生の偉大さはわかるんですが、はたしてこの情報
はIOC委員の人たちに対して効果的だったんでしょうか?
また、その後に続く、戦後の貧しい時代の写真ははたして意味
があったのでしょうか?東京オリンピックの写真を出すための
流れの中ででてきたのでしょうが、せっかく15才少女が未来を
語ったのに過去のノスタルジーで、あのときの東京の感動をも
う一度的なメッセージではちぐはぐな感じがしました。

石原都知事が出て、その後ビデオが入って、河野一郎事務総長の
登場となります。この人は、アスリートではなく、お医者さん
なんですね。アンチドーピングなどでは有名な人のようです。
この人、英語は結構上手なのですが、がんばってフランス語で
もスピーチしました。その時、何度かかんでしまうのですが、
フランス語の部分が終わって、大きなため息をしてしまいます。

このため息のところは、ちょっと興ざめな感じがしてしまった
のは私だけでしょうか?

また、河野一郎事務総長は、今回の東京の委員会はチームワー
クが抜群によいというようなことを言うのですが、それにして
は、衣装がバラバラ。鳩山さんは勝手な衣装を着ているし、
石原都知事は自分だけ違った襟にしている。またアスリートの
女性陣は違ったデザインだし、会場に内の応援団はグレー系の
衣装。チームワークというんだったら、もっと統一して欲し
かったように思います。

さて、荒木田裕子さんが、会場設備がコンパクトに8キロ圏内
にまとまっているという説明をするんですが、これがこの
スライド一枚だけ。

リオデジャネイロなんか、会場設備の説明ですごく奇麗なCG
画像を用意していて、非常に臨場感のある説明をしたのに、
東京のこれは何?ハイテクな映像プレゼンは日本のお家芸では
なかったの?こんなパワーポイントの一ページのような画像で
は全然やる気が伝わってきません。こういう会場の説明はリオ
のようにもう一度きちっとやったほうがよかったんじゃないの
かと思いました。でもコンパクトに8キロ圏内にまとまってい
ることで、何のメリットがあるのかがいまいちわかりにくかっ
たです。日本は家も狭いし、狭苦しい中にぎっしり詰め込まれ
たような雰囲気が伝わっちゃったような気もします。

その後、パラリンピックの河合純一さんや、砲丸投げの室伏
さん、シンクロの小谷実可子さんなどが登場して東京誘致を
訴えます。その後に三つ目のビデオが挿入されます。

しかしこのビデオ、東京を宣伝しているはずなのになぜ白人
モデルがメイン?国際的といえば短絡的に白人を使いたくな
るという日本の広告業界の悪い癖がこんなところに出てしま
いましたね。なんかちぐはぐな感じがしました。

そして、武田JOC会長の登場。この人は馬術選手で61才。この
人が出てきたときには、東京はまだプレゼン続けるの?という
感じがしてしました。その後にまだ、河野事務総長と、岡野氏
が続くのですが。最後のほうで、またビデオ映像が使われて、
スポーツを楽しむ世界の子供たちの映像が出てきたのですが、
これって、スポーツの楽しさは出てるけど、東京でやる必要性
は全く出てないよねって感じがしてしまいました。某大手広告
代理店さん、しっかりしてください!

最後に、壇上に登れなかった関係者たちの姿が一瞬テレビで
映りました。

おや、この中で左のほうに写っている人はひょっとして鳩山
幸夫人?何と言うド派手なスカートなでしょうか?!
これは、ひょっとして5輪の五色を配色したもの?
これじゃチームワークも何もあったもんじゃないですよね?
ところで、夫人のすぐ後ろのおじさんって、森喜朗元首相?
調べてみたらこの人、日本体育協会会長、日本ラグビーフット
ボール協会会長、日本トランポリン協会会長もやっているみた
いでちゃんとしたオリンピック誘致委員だったんですね。

東京のプレゼンがよかったというのが日本人全体のコンセン
サスだったのだとしたら、私のコメントは異端です。東京の
プレゼンがよかったというのなら、どうして拍手があんなに
まばらだったのでしょうか?リオデジャネイロのプレゼンと
比較してみると、東京のほうがよかったとはどうしても思え
ないのです。こんなことを思うのは私だけ?

勝手なことを書いてしまいましたが、ひょっとしてこんなこと
書いたらいつの日か削除されてしまっているかもしれませんね。