南の国の会社社長の「遅ればせながら青春」

50を過ぎてからの青春時代があってもいい。香港から東京に移った南の国の会社社長が引き続き体験する青春の日々。

最近読んだウエイン・W・ダイアー

2007-02-03 05:09:00 | Weblog
この間、シンガポールのリャンコートにある紀伊國屋書店に
いったら、この写真の「頭のいい人」はシンプルに生きる
(ウエイン・W・ダイアー著、渡部昇一訳、三笠書房)という
本が平積みしてあり、思わず買ってしまいました。

ウエイン・W・ダイアーの本は、10何年か前に、『自分のため
の人生』という本や、『小さな自分で一生を終わるな!』と
いう本などを読んで感銘を受けたことがあるので、久々に
書店で出会った著者の名前は、懐かしくて、知らない町で、
昔の知人に会ったような感じでした。

また、ダイアーの本を翻訳しているのは、いつも渡部昇一さん
で、今回もそうなんですが、実は、この人は、大学の時の先生
でした。当時、渡部昇一さんは『知的生活の方法』という本が
ベストセラーになっていて、売れっ子文化人でした。その後も
いろんな著書が出ていますが、もともとは英語学の先生です。
テレビでもたびたび出ていたことがあります。この人の名前を
と、さらに懐かしさが感じられて、自分が買わずして誰が、
この本を買うだろうかと思い、買ってしまいました。(まあ
自分が買わなくても、2006年8月25日の第一刷以降、11月30日
で第18刷なので、かなり売れていたのですが)。

あと、もう一つ、この本を買った理由は、この本の装丁が気に
いったからです。ペンギンのイラストも象徴的ですが、この
タイトルの文字(タイポグラフィー)がすごくいいと思いまし
た。私は広告の仕事をしているので、文字の形とか、読みやす
さとかいつも気になるのですが、この書体の選択、そして
配色がとても気に入りました。また「全世界で930万部の大
ベストセラー」という文字も購買意欲をそそりました。1000
万部と言ってもいいくらいなのでしょうが、正直に930万部と
言っているあたりが好感が持ててしまいました。

さらに、この本の購買を決定づけたのは、渡部昇一さんが書い
ている前書きの中で、引用していたダイアーの次のような言葉
でした。
「結婚とは相互適応のように言われているが、本当はお互いが
折れて妥協することは無用である。亭主は野球に行きたいし、
女房はオペラに行きたい、という場合、どちらかが我慢して
行きたくないところに行く必要はないのだ。お互いに行きたい
ほうに行くのがよい。それぞれ好きなほうに行って、そのあと
で素敵な夜食でも一緒にして、お互いに楽しかったことを話し
あえばよい。一緒にいる時間はいっぱいあるのだから」

結婚に限らず、人は相手をコントロールしようとしてしまった
り、自分が相手の犠牲になって従ったりということで、ぎく
しゃくするのが人間関係にはよくありますが、たとえ夫婦とい
えども、あるいは親子といえども、自分を犠牲にする生き方は
よくないと著者は主張します。

といことで、この本を買ってしまったのですが、読んでみて、
以前の読んだダイアーの他の本ほどの衝撃は受けませんでした。
長年の生活で、ダイアーの考え方がかなり自分の考えと同化し
ていた感じで、そういう意味では新鮮みがなかったということ
でしょうか。

私が、20数年前、この小さな非上場の会社に入った頃、会社に
対する不満をこぼしている先輩が何人かいました。こんな会社
に来てしまってがっかりだというような愚痴をこぼしていまし
た。そのとき、「こんな会社」にしてしまっているのは他なら
ぬあなた方自身であって、私自身にとっては、チャンスに満ち
たすごく楽しい会社に見えていました。同じ境遇であっても、
そこを地獄だと思えば、いやでいやでしょうがなくなるし、そ
こを天国だと思えば、すごく好きになるのです。

ダイアーも、すべては意識次第であり、どうせだったら、他人
だとか、環境だとかにいやいや従わさせられていると言った考
えはしない方がよいと言っています。この本の中に、夫婦関係
に関する部分が何回か出てきます。ちょっと引用させていただ
きます。

15歳の恋人たちのことを考えてほしい。彼らの関係が美しいの
は、未熟だからなのではなく、純粋にお互いのすべてを認めて
いるからだ。彼らが見つめ合うのは、ただただ目の前の人を愛
しているからだ。理由を逐一分析したり、お互いの理解を求め
あったりはしないからだ。
ところが、そんな彼らがいわゆる「成熟」した関係になってし
まい、結婚して5年も経てば、次のようなことを言い合う仲に
なってしまうに違いない。
「なぜあんなことをしたのか」とか「まったく人が変わって
しまったみたいだわ!」とか「なぜ私の思う通りにやってくれ
ないの」「いいかどうか私に聞いてくれなかったの」といった
具合である。(中略)
現代は、いろいろな人間関係が分かち合いどころかあまりにも
分析されすぎてしまっており、そのため多くのカップルが二人
でいることに情熱を感じなくなっているのである。いやむしろ、
苦痛しか感じなくなっているのだ。
大切なのは、カップルは二人の別個の人間であるということだ。
したがって、互いに完全に理解し合うということは不可能だし、
また望むべくもないことなのだ。これが真実である。
だから、互いにありのままの姿を受け入れなさい。互いを固有
な存在、個性的でユニークな存在にしておくことだ。

この本を読むと、世界が明るく見えてくる気がします。環境や
他人にあやつられず、楽しい人生が生きられるような感じがし
てきます。私達夫婦は、今、日本とシンガポールで離ればなれ
になっていますが、愛を風化させないで、永続させることがで
きればいいなあと考えております。