南の国の会社社長の「遅ればせながら青春」

50を過ぎてからの青春時代があってもいい。香港から東京に移った南の国の会社社長が引き続き体験する青春の日々。

突然ですがタイプーサムです

2007-02-01 00:52:59 | シンガポール
今日、夕方オフィスで仕事をしていたら、外の通りで何か妙
な奇声が聞こえてきました。何かこれは変だぞと思って、
ベランダからシティーホールの駅前を通っている通りを見た
ら、タイプーサムを控えたインド人たちが行列を作って歩い
ているのです。そうか、またタイプーサムの季節が来たので
すね。

タイプーサムとは、インド人のヒンヅー教の奇祭です。何と
身体中に針をさし(針といってもバーベキューの串のような
針です)、カバディというやぐらを背負って、通りを練り歩
く祭りです。舌や、頬などを串で貫きとおして、その串の両
端におもりつけたりして、見るからに痛々しい限りです。
やっている本人は、トリップ状態になっているので、痛みは
感じる事もなく、また血もでません。でもあまりに危険なの
で、インド本国では禁止になっているとか。シンガポールで
は毎年、この季節に、きっちりと行われています。

この祭りのことは、いつもあまり話題にならないので、突然
その祭りの日が到来するという感じです。まったく予期せぬ
うちにその祭りはやってきます。いつもは旧正月が終わって
しばらくしてからある感じなのですが、今年は旧正月前に
それがやってきました。

何年か前に、タイプーサムが始まる前の夜からインド人街の
お寺に見に行ったことがあるのですが、夜中になるとお寺か
ら、オレンジ色の服を着た信徒たち(男女とも)あたまに壷
のようなものを載せて行進を始めます。やがて、その中に
トリップ状態で、舌とか頬をナイフとかパイプとかでつらぬ
いた男が混じってきます。それはこの世の光景とも思えぬ
異様な光景です。本当にこんなことが現実にあっていいの?
と思えるような、そんなすごい景色です。

上の写真は去年撮影したものですが、2月1日の昼間は、
インド人街の寺院から、UEスクエアのそばの寺院まで、
体中を針で串刺しにした苦行者たちがカバディを背負って
パレードします。一つのカバディの周りには、数多くの
サポーターが取り巻き、苦行者を励まします。

私はなぜかこの季節にいつもシンガポールにいて、この祭
りに遭遇します。東京の下町にいる妻にこのことを話すと、
いつもものすごくいやがります。彼女はこういうのがかなり
嫌いなのです。

以前、手塚治虫のマンガの「ブッダ」を読んだのですが、
その中に、苦行者たちの様子が描かれています。身体を痛
めつけたりして、そのまま死んでしまう人たちもマンガの
なかでは出てきます。

それを読んだときはフィクションの世界だと思っていたの
ですが、シンガポールのタイプーサムはまさにそれです。
おろらく何千年もの歴史を超えて、受け継がれてきている
祭りなのでしょう。でも自分では決してやりたいとは
思いませんけどね。