書とお寺が大好きな春逕の「日々是好日」

日々思うこと、感じた事をつづります。

線 (内と外)

2009-04-07 19:21:05 | 思う事
私は彫塑が好きだ。

日展を毎年見に行くようになって、洋画、日本画、工芸、彫塑、書を一度に見るチャンスを得た。

彫塑の中でも一番のファンは「朝倉文夫」
彼は、早稲田大学の大隈重信を創った人。日本のロダンと言われた人。

東京に行ったら谷中の朝倉彫塑館(ご自宅兼アトリエ)を訪ねる。
彼の余るほどの才能と、その幅広い知識。それから優しい人柄をその建物と作品に感じるからだ。

誰だったか忘れたが、彫塑家の日展の作品解説に像とその縁に一番神経を使う。と書いてあった。

フジタの乳白色の裸像の縁に線を引くその潔さ。
彫塑家が像を削る外の縁。
筆を持って紙に書く時の黒と白の縁。

区切る線はいづれも神経の使いどころと思う。

紙に墨が染みるスピードによって、筆の傾きによって、白と黒の境目は変わってくる。もちろん書く材料によっても、気候環境によっても・・・。

これからも私なりに追究していきたい。

彫塑を見るときその縁を、筆を紙に運ぶ時その線の縁を見て欲しい。

画像は「朝倉文夫の墓守」
ブロンズで創った線とかたち。
像の中にその人の人柄まで表現できている。人に対しての思いやりがないとこの優しい表情は出ないと思う。
因みに、この「墓守」と言うのは、谷中の天王寺の顔なじみの墓守をモデルにした明治43年の作。
とても素晴らしい。

この前、福岡の大濠にある美術館に行ったら、ロビーにいくつかの像があった。その中にこの「墓守」があった。私の足はす~っとこの像に向った。

朝倉文夫は大分の出身。今度は大分にある朝倉記念館に行ってみたい。