* (どんなに言葉を忘れていても)
<blockquote>
舟は動いている やつてくる
櫓も櫂もなく
</blockquote>
このイメージは美しい。
川や海のように水が動く場所にある舟ではない。動かない水。けれども、舟は「うごいて」「やつてくる」。
「言葉を忘れていても」と嵯峨は書くが、「舟」ということばは忘れてはいない。「櫓」も「櫂」も覚えている。
嵯峨が忘れているのは、ほかのことばだ。
人間の、ことばだ。何か言いたいことがあるが、ことばにならない。
けれど、舟が、櫓が、櫂が、ことばになってやってくる。
*
詩集『誤読』は、嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で書いたものです。
オンデマンドで販売しています。100ページ。1500円(送料250円)
<a href="https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072512">『誤読』販売のページ</a>
定価の下の「注文して製本する」のボタンを押すと購入の手続きが始まります。
私あてにメール(yachisyuso@gmail.com)でも受け付けています。(その場合は多少時間がかかります)