詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

嵯峨信之『詩集未収録詩篇』を読む(109)

2021-04-16 10:59:03 | 『嵯峨信之全詩集』を読む

* (どんなに言葉を忘れていても)
<blockquote>
舟は動いている やつてくる
櫓も櫂もなく
</blockquote>
 このイメージは美しい。
 川や海のように水が動く場所にある舟ではない。動かない水。けれども、舟は「うごいて」「やつてくる」。
 「言葉を忘れていても」と嵯峨は書くが、「舟」ということばは忘れてはいない。「櫓」も「櫂」も覚えている。
 嵯峨が忘れているのは、ほかのことばだ。
 人間の、ことばだ。何か言いたいことがあるが、ことばにならない。
 けれど、舟が、櫓が、櫂が、ことばになってやってくる。

 


*

詩集『誤読』は、嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で書いたものです。
オンデマンドで販売しています。100ページ。1500円(送料250円)
<a href="https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072512">『誤読』販売のページ</a>
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私あてにメール(yachisyuso@gmail.com)でも受け付けています。(その場合は多少時間がかかります)

 


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