詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

Sergio Estévez『 Mar en sombra 』

2022-11-25 21:19:42 | 詩集

Sergio Estévez『 Mar en sombra 』(Beginbook Ediciones、2022年09月行)

フェイスブックで知り合ったSergio Estévezが詩集を送ってくれた。『 Mar en sombra 』。そのなかから一篇。

Brisa Salada 

No sé llegaras pero te espero.
en la orilla de mi alma te anhelo
la espuma golpea mi roca, 
brisa salada me da esperanza,
que de alegría llena la boca

 誤訳を承知で、日本語にしてみた。

やわらかな潮風 

君が来ることを願って、私は待っている
魂の岸辺で、私は君に憧れる岩
岩に打ち寄せる波が白い泡になるとき
潮風が私に希望をもたらし
喜びが口をふさぐ

 君に憧れ、君を待っている。そのときの状況を、岸辺、岩、波(泡)、潮風(そよ風)、喜びということばで立体化させている。待っていた君がやってきて、キスをして、喜びにあふれる、ということかなあと思いながら、スペイン語にしたがってではなく、私の気持ちで日本語を動かしてみた。
 きっと、君が来ても来なくても、「待つ」という気持ちが作者を幸福にしている。だれかを待つということは、それ自体で「希望」であり「喜び」である。待つひとがいるということが、人間の喜びなのだ。「喜びが(で)口をふさぐ」のは、やわらかな舌だけではない。思いがことばになり、ことばが口をふさぐ。声に出していわないが、恋する気持ちが自然にことばになり、口を満たす。
 そのときのことばが口から自然にあふれた詩、として読みたい。


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