詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

嵯峨信之『OB抒情歌』(1988)(72)

2020-01-16 08:37:39 | 『嵯峨信之全詩集』を読む
* (小さな時を)

むかいあつて持ち合う

 と静かに「意味」をつないで動くことばは、転調し、思いがけないことばを呼び寄せる。

皿の上に匂う林檎は
そのときの水の中の遠い酔いを感じさせる

 「遠い」ということばが象徴的だが、このことばにたどりつくまでは「遠い」もの(そのとき=過去)が書かれている。しかし、皿の上の林檎は現実だ。事実だ。そして、それを強烈に印象づけるのが「匂う」という動詞だ。
 「匂い」が動いている。「匂い」が嵯峨の体のなかに入ってくる。「匂い」と嵯峨が一体になっている。
 「事実」とは対象と自己が一体化して生まれる。









*

詩集『誤読』は、嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で書いたものです。
オンデマンドで販売しています。100ページ。1500円(送料250円)
『誤読』販売のページ
定価の下の「注文して製本する」のボタンを押すと購入の手続きが始まります。
私あてにメール(yachisyuso@gmail.com)でも受け付けています。(その場合は多少時間がかかります)

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« アルメ時代26 海の光 | トップ | 青柳俊哉「未来の朝」、池田... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

『嵯峨信之全詩集』を読む」カテゴリの最新記事