天皇の決意(安倍の沈黙作戦)
自民党憲法改正草案を読む/番外158(情報の読み方)
読売新聞2017年12月23日朝刊(西部版・14版)32面に「天皇陛下 誕生日の会見全文」が載っている。その最後の方の部分、
ここに、私は天皇の強い決意を感じた。「象徴としての務めを果たしながら」安倍政権への批判を読み取った。「象徴としての務め」とは昨年のビデオメッセージでつかわれたことばである。「象徴」であることこそが天皇の務めである。
天皇は、
と抽象的に語っているが、この「継承」が「象徴としての務め」の継承であることは、全文を読めば明らかである。天皇は一年を振り返り、「象徴として」何をしてきたかを語っている。
「象徴」とは何か。国民に寄り添い、国民の声にならない声を、国民の立場から発すること。被災者のところにおもむき、被災者と同じ姿勢で、つまりひざまづいて祈ることである。なかなか訪れることができないような離島にも足を運び、そこで暮らしているひととことばをかわし、その人たちが何を願っているかを語ることである。
今回の「会見全文」でも、豪雨災害の被災地を訪問したこと、鹿児島の離島を訪問したことを語っている。被災者の復興への努力に触れ「心強く思いました」と語っている。
昨年のビデオメッセージでは、こう語っている。
これを今回は、九州北部豪雨の被災者訪問、鹿児島の離島訪問をとおして、具体的に語りなおしている。こういう「象徴としての務め」を「次代(皇太子)」に継承してもらいたいと願っている。そのための「準備」をしている。
この国内での「象徴としての務め」の前に、ベトナム訪問について触れている。そして第二次世界大戦にも言及している。戦争への反省が滲むことばである。
ここでも、天皇は「ひとりひとり」に向き合っている。ここで言及されている「元残留日本兵」というのは人数としては少ないだろう。しかし、そういう少ないひとの生き方、声にも耳を傾け、ことばを発している。「元残留日本兵」だけではなく、「残されたベトナム人の家族」にも思いを馳せている。
これが「象徴としての務め」なのである。
第二次大戦のことを忘れない。日本が何をしたか。そのことによって、だれが苦しんだか。その苦しみを、どうやって乗り越えてきたか。それを語るのが「象徴の務め」なのである。
憲法の「戦争放棄」にこめられた国民の思いを、国民の声として語ることが「象徴の務め」なのである。
籾井NHKが「天皇生前退位の意向」をスクープし(おそらく官邸がリークした)、そのあとビデオメッセージで、安倍は「天皇は国政に関する権能を有しません」と言うことを強制した。国政への「口封じ」である。護憲派天皇が「憲法改正」について少しでも何かを語ることを封じた。
こういう安倍の圧力に対する抗議として「象徴としての務め」というメッセージがある。今回のことばにも同じ思いを読み取ることができる。
平和と国民の安全を願う天皇と、国民を再び戦争に駆り立て「御霊」にして口封じをしてしまう、独裁を思うがままに振る舞いたい安倍の攻防については、「天皇の悲鳴」という一冊にまとめたので繰り返さないが、天皇誕生日にあたって、第二次大戦と地方に生きる人について語り、それを「次代へ継承したい」と語ったことに、しっかり目を向けたい。
「天皇の悲鳴」はオンデマンド出版。(天皇誕生日にあわせて出版しました。)
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#安倍を許さない #憲法改正 #天皇退位
自民党憲法改正草案を読む/番外158(情報の読み方)
読売新聞2017年12月23日朝刊(西部版・14版)32面に「天皇陛下 誕生日の会見全文」が載っている。その最後の方の部分、
この度、再来年4月末に期日が決定した私の譲位については、これまで多くの人々が各々の立場で考え、努力してきてくれたことを、心から感謝しています。残された日々、象徴としての務めを果たしながら、次の時代への継承に向けた準備を、関係する人々と共に行っていきたいと思います。
ここに、私は天皇の強い決意を感じた。「象徴としての務めを果たしながら」安倍政権への批判を読み取った。「象徴としての務め」とは昨年のビデオメッセージでつかわれたことばである。「象徴」であることこそが天皇の務めである。
天皇は、
次の時代への継承に向けた準備
と抽象的に語っているが、この「継承」が「象徴としての務め」の継承であることは、全文を読めば明らかである。天皇は一年を振り返り、「象徴として」何をしてきたかを語っている。
「象徴」とは何か。国民に寄り添い、国民の声にならない声を、国民の立場から発すること。被災者のところにおもむき、被災者と同じ姿勢で、つまりひざまづいて祈ることである。なかなか訪れることができないような離島にも足を運び、そこで暮らしているひととことばをかわし、その人たちが何を願っているかを語ることである。
今回の「会見全文」でも、豪雨災害の被災地を訪問したこと、鹿児島の離島を訪問したことを語っている。被災者の復興への努力に触れ「心強く思いました」と語っている。
昨年のビデオメッセージでは、こう語っている。
私が天皇の位についてから、ほぼ28年、この間私は、我が国における多くの喜びの時、また悲しみの時を、人々と共に過ごして来ました。私はこれまで天皇の務めとして、何よりもまず国民の安寧と幸せを祈ることを大切に考えて来ましたが、同時に事にあたっては、時として人々の傍らに立ち、その声に耳を傾け、思いに寄り添うことも大切なことと考えて来ました。天皇が象徴であると共に、国民統合の象徴としての役割を果たすためには、天皇が国民に、天皇という象徴の立場への理解を求めると共に、天皇もまた、自らのありように深く心し、国民に対する理解を深め、常に国民と共にある自覚を自らの内に育てる必要を感じて来ました。こうした意味において、日本の各地、とりわけ遠隔の地や島々への旅も、私は天皇の象徴的行為として、大切なものと感じて来ました。皇太子の時代も含め、これまで私が皇后と共に行おこなって来たほぼ全国に及ぶ旅は、国内のどこにおいても,その地域を愛し,その共同体を地道に支える市井しせいの人々のあることを私に認識させ、私がこの認識をもって、天皇として大切な、国民を思い、国民のために祈るという務めを、人々への深い信頼と敬愛をもってなし得たことは、幸せなことでした。
これを今回は、九州北部豪雨の被災者訪問、鹿児島の離島訪問をとおして、具体的に語りなおしている。こういう「象徴としての務め」を「次代(皇太子)」に継承してもらいたいと願っている。そのための「準備」をしている。
この国内での「象徴としての務め」の前に、ベトナム訪問について触れている。そして第二次世界大戦にも言及している。戦争への反省が滲むことばである。
今年2月末から3月初旬にかけて、皇后と共にベトナムを訪問しました。我が国とベトナムとの関係は、近年急速に進み,国家主席始め多くのベトナムの要人が我が国を訪れていますが、私たちがベトナムを訪問するのは、初めてのことでした。ベトナムでは、現在の国家主席御夫妻を始め、4人の指導者に丁重に迎えられ、また、多くのベトナム国民から温かい歓迎を受けました。両国間の緊密な関係に深く思いを致しました。ハノイにおいて、先の大戦の終了後もベトナムに残り、ベトナム人と共にフランスからの独立戦争を戦った,かなりの数の日本兵が現地で生活を営んだ家族の人たちに会う機会もありました。こうした日本兵たちは、ベトナムの独立後、勧告により帰国を余儀なくされ、残されたベトナム人の家族は、幾多の苦労を重ねました。そうした中、これらベトナム人の家族、,帰国した元残留日本兵たちが、その後日本で築いた幾組かの家族との間に、理解ある交流が長く続いてきていることを聞き、深く感慨を覚えました。
ここでも、天皇は「ひとりひとり」に向き合っている。ここで言及されている「元残留日本兵」というのは人数としては少ないだろう。しかし、そういう少ないひとの生き方、声にも耳を傾け、ことばを発している。「元残留日本兵」だけではなく、「残されたベトナム人の家族」にも思いを馳せている。
これが「象徴としての務め」なのである。
第二次大戦のことを忘れない。日本が何をしたか。そのことによって、だれが苦しんだか。その苦しみを、どうやって乗り越えてきたか。それを語るのが「象徴の務め」なのである。
憲法の「戦争放棄」にこめられた国民の思いを、国民の声として語ることが「象徴の務め」なのである。
籾井NHKが「天皇生前退位の意向」をスクープし(おそらく官邸がリークした)、そのあとビデオメッセージで、安倍は「天皇は国政に関する権能を有しません」と言うことを強制した。国政への「口封じ」である。護憲派天皇が「憲法改正」について少しでも何かを語ることを封じた。
こういう安倍の圧力に対する抗議として「象徴としての務め」というメッセージがある。今回のことばにも同じ思いを読み取ることができる。
平和と国民の安全を願う天皇と、国民を再び戦争に駆り立て「御霊」にして口封じをしてしまう、独裁を思うがままに振る舞いたい安倍の攻防については、「天皇の悲鳴」という一冊にまとめたので繰り返さないが、天皇誕生日にあたって、第二次大戦と地方に生きる人について語り、それを「次代へ継承したい」と語ったことに、しっかり目を向けたい。
「天皇の悲鳴」はオンデマンド出版。(天皇誕生日にあわせて出版しました。)
1750円の表示の下の「製本のご注文はこちら」のボタンをクリックしてください。(送料は無料)
#安倍を許さない #憲法改正 #天皇退位