西脇順三郎の一行(4)
「太陽」
私は「カルモヂイン」がどこにあるか知らない。知らないけれど「田舎」はわかる。田舎というのは、たぶんどの国へいってもおなじようなものだろう。日本の田舎がどこでも似ているように。「田舎」ということばが知らない国の、知らない地名を「肉体」に近づける。それはまた「田舎」ということばに何らかの「肉体」があるためだ。そこに暮らしている人の「肉体」とことばの「肉体」がひとつになっている。
カルモ「ヂ」イン、「だ」いりせき、さん「ち」の「た(だ)行」。これに「田」舎という「田」がくわわるおかしさ。「カ」ルモヂイン、いな「か」の「か行」。あかるい「あ」の母音の響き。--それも楽しい。
「太陽」
カルモヂインの田舎は大理石の産地で
私は「カルモヂイン」がどこにあるか知らない。知らないけれど「田舎」はわかる。田舎というのは、たぶんどの国へいってもおなじようなものだろう。日本の田舎がどこでも似ているように。「田舎」ということばが知らない国の、知らない地名を「肉体」に近づける。それはまた「田舎」ということばに何らかの「肉体」があるためだ。そこに暮らしている人の「肉体」とことばの「肉体」がひとつになっている。
カルモ「ヂ」イン、「だ」いりせき、さん「ち」の「た(だ)行」。これに「田」舎という「田」がくわわるおかしさ。「カ」ルモヂイン、いな「か」の「か行」。あかるい「あ」の母音の響き。--それも楽しい。
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