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詰将棋解答選手権 速報ブログ

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【チャンピオン戦出場者インタビュー2011】第1回 行方尚史八段

2011年02月12日 12時59分35秒 | 第8回出場者インタビュー

恒例のチャンピオン戦出場者インタビュー、今年はまず行方尚史八段にお越しいただきました。

——詰将棋に興味を持つようになったきっかけからおうかがいします。
行方「たしか小学校5年のとき、米長先生の『逆転のテクニック』を読みました。そうしたら、第1章が詰将棋の話で、プロになるためには『図巧』と『無双』をすべて解かないとだめだと書いてあったんで、平凡社から出ていた『詰むや詰まざるや』を買いました。あの本は問題の横に答えが載っていて目に入っちゃうので、答えを隠す紙を張ったなあ。それから6年のときに、『詰パラ』の定期購読を始めて、大学院とかの解答を送ってました。同じ頃に、屋敷さんもパラの解答者だったので、刺激になりました」

——『図巧』と『無双』を解いてみてどうでしたか?
行方「それが、『無双』の40番が全然詰まなくてそれっきりになっちゃったんですよ。不詰作があるのは知っていましたが、納得いくまで答えを見たくなかったのかな。ずっと引っかかっていたけど、25歳くらいでようやく不詰の結論出して。それからまたちょくちょく取り組んで『無双』は卒業しました。『図巧』はまだ途中で止まっています」

——他にも、詰将棋を解く訓練をしたことはありますか?
行方「18歳くらいから、藤井さん、中座さんというメンバーで、詰パラを1日で解く会というのをやってました。略称T研です。学校ごとに制限時間を設けて、解けなかったら翌月までの宿題。藤井さんが竜王位を獲る頃まで続いたかな」

——詰将棋のどういうところにおもしろさを感じますか?
行方「ぼくも若いころは、あくまで棋力向上のために詰将棋を解いていたんです。それが30歳頃から、だんだん詰将棋の芸術性というものがわかってきて、そちらにも惹かれるようになりました。以前は解いておしまいでしたが、今は作者目線で振り返ってみたりします。同じ将棋のルールなのに、実戦では実現しえない応酬、構想が繰り広げられて、将棋自体が内包している奥深い世界を感じられる、そこがおもしろい」

——詰将棋を作ってみたことはありますか?
行方「並べるだけでいい、簡単な“詰む将棋”くらいしかないですね。奨励会に入るくらいの時に、師匠の大山先生に『詰パラ』解いているところを見られまして、師匠に「きみ、詰将棋は若いうちに作っておいた方がいいよ」と言われました。あの偉大な現実主義者の大山先生でも、詰将棋を作るということに対して、きっと憧れを感じていたんだと思います」

——それはとても興味深いエピソードですね。それではここで話題を変えて、これまでチャンピオン戦に3回出場された、その感想をお聞きしたいと思います。
行方「出題された作品を家で解くのと、実際に参加して会場で解くのとでは、まったく違うということです。ぼくも初めて出場する前は、ネットで公表されている出題作品を解いてみて、「まあ宮田君といい勝負だな」と思っていましたから。ところがいざ出場してみると、そんなこと言えない(笑)。二回目は1ラウンドで大きくつまずいて、えらい屈辱感でした。今回で4度目ですし、少しはコツをつかんだつもりです。それでも優勝します、とはなかなか言えませんけどなんとか全問解きたいですね。対局のときとは違うベクトルで将棋と向き合えるのがたまりません」

——解答王の宮田六段や、つねに上位の広瀬王位をどうご覧になりますか?
行方「若いから、あれくらい解けて当たり前でしょう」

——それでも、もっと若い奨励会員の人々も大勢参加しているのに、なかなか上位に来ることができませんね。
行方「うーん、情報化が進んでの将棋界全体の流れなのかなあ。昔と比べて一つの詰将棋をじっくり考える機会が減っているのかも知れない。それでも連盟で詰将棋に取り組んでいる奨励会員の姿はよく見かけますよ」

——谷川浩司九段について一言お願いします。
行方「谷川先生が参加されることで大会に厚みが増していると思います。谷川先生の出場が続くかぎり、ぼくも出場するつもりです」

——他にぜひ出場してほしいプロ棋士は?
行方「すぐに思い浮かばないけど、あと数人は速い棋士がいると思う。今年どんな新顔が参戦するのか楽しみ。僕に前日深酒を控えさせる大会なので、ぜひ多くの棋士に参加してもらいたい」

——行方八段のお骨折りで、今年は地元の青森でも初級・一般戦を開催していただけることになりました。ありがとうございます。最後に、これから解答選手権への参加を考えている将棋ファン、詰将棋ファンの方々に、メッセージをお願いします。
行方「将棋を知っているんだったら、詰将棋というすばらしい別世界があることを知らないのは損です。詰将棋の奥深さを体験すれば、きっと世界が広がります。ぜひ解答選手権に参加してみてください」

——詰将棋作家の本当の気持ちを代弁していただいたみたいで、感激です。本日はありがとうございました。
(インタビュアー:若島正)

行方
(前回大会、行方尚史八段)

【過去の成績】
第5回 4位
第6回 12位
第7回 4位

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1 コメント

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Unknown (指さない将棋ファン)
2011-03-05 22:32:40
今年もこのインタビューシリーズを楽しみにしています。あいかわらず将棋は指さないままで、詰め将棋の棋力も5級があやしいという程度ですが、こういう話を読むのは大好きです。
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