詰将棋解答選手権 速報ブログ

解答選手権のお知らせと速報です
主催:詰将棋解答選手権実行委員会
後援:朝日新聞社 詰将棋パラダイス 日本将棋連盟

最新のお知らせ

チャンピオン戦を3月31日(日)、初級・一般戦を4月13日(土)に開催しました。
多くのご参加、誠にありがとうございました。
詰将棋解答選手権実行委員会

【チャンピオン戦出場者インタビュー2011】第2回 篠田正人さん

2011年03月07日 10時00分00秒 | 第8回出場者インタビュー

これまで出場した4回の選手権すべてにおいて、アマチュア参加者の中で1位と、抜群の成績をほこり、指将棋でもアマ強豪として知られている篠田正人さんにインタビューしてみました。

--詰将棋を始めたきっかけは?
篠田「小学5年生頃に将棋を始めて週末に道場に通っていましたが、平日にはすることがなかったので詰将棋を解くようになりました。詰パラ購入は中学1年から(通巻310号あたり)です」

--詰将棋に関するこれまでの経歴を教えてください。
篠田「初入選は中学2年のときで、以来入選回数は全部で25局くらい。作った数は50局程度です。詰将棋ジャーナル賞(「将棋ジャーナル」の年間優秀賞)が唯一の受賞歴です。十代の頃には、4年くらい詰パラの投稿作検討のお手伝いをしていました。最近はもう創作はできませんし、詰パラの購読も途中10年ほどお休みしていました」

--指将棋と比較して、詰将棋はどんなところがおもしろいと思いますか?
篠田「指将棋と同じルールでこんなことまで実現できるんだ、という深さです。指将棋とは全く違う一面を見られる面白さを感じます。今まで何局将棋を指したかわかりませんが、未だに実戦で必然性のある大駒の不成を指したことがありません。
 好みは簡素形から合駒が何回も出て来るような作品です。図面を覚えておいて寝床や電車の中で解いています」

--篠田さんは大学で数学を教えておられますが、数学と詰将棋で共通する点、違う点はどんなところでしょうか?
篠田「以前詰将棋の創作をやっていたころには、「解の存在と一意性」とか「条件をみたす駒の配置」などで数学との関連を思ったこともありますが、解図するときにはあまり共通点を感じていません。むしろ、「詰むことを前提に」考えるのは気持ち悪いです(?)。変化が全部詰むかどうかきっちり確かめる癖は自分が数学屋だからでしょうか。あと、考え出すと寝ても覚めても頭から離れない点は共通しています」

--それではこのあたりで、解答選手権についておうかがいします。まず、出場するようになったきっかけは?
篠田「新幹線の車中でたまたま読んでいた「近代将棋」に載っていた第2回大会の問題を時間を計って解いてみたとき上位に入れそうなタイムだったので、一度力試しをしてみようと思いました。第3回大会の日がたまたま日帰りで東京に行ける日だったのが幸運でした」

--篠田さんは事前に解答選手権のためのトレーニングをされているそうですね。今年はどんなものを解いているんですか?
篠田「普段詰将棋を解くときは指将棋のトレーニングも兼ねているので、有力そうな紛れ筋を確かめたりして比較的ゆっくり解いています。詰パラも毎月届いた直後に「高校」までは解きますが、後は結局ほったらかしになってしまいます。
 選手権直前の1ヵ月だけは駒の配置から作意を推理したりとか、純粋に速く解くことを意識して取り組んでいます。今年もまずとりあえず「うるてぃめいと」を「詰将棋手筋辞典」だと思って解き直して、どういう筋があったかを思い出したつもりです。あとはとにかく数をこなすために、手元にあるやさしい作品集を引っ張り出して15手前後のものを1日1時間、50局くらいずつ解き、最後の1週間である程度難しいものをやるつもりです。特別な谷口さん対策はしていません」

--解答選手権のおもしろさについてお聞かせください。
篠田「素晴らしい問題群を、アマプロとか年齢に関係なく皆が同時に考えること。詰将棋を解くときはいつも一人で図面に向き合うばかりなのに、この日だけは同じ時間を共有できて、終わった直後に「どの問題がよかった」「どこがわからなかった」とすぐ感想を話し合えることが楽しみです」

--これまで出場した中で、いちばん印象に残っている事柄はどんなことでしょうか?
篠田「初めて出場した第3回大会で、前半開始早々に広瀬プロが立つ椅子の音が聞こえたときの衝撃と、後半で自分が全解できたうれしさです。そのおかげで毎年出場するようになりました」

--解答選手権の運営方法について何かご意見がありましたらどうぞ。
篠田「今のような高いレベルの作品群を解けるだけで十分です。個人的なことを言うと、この大会はいつも試験を受ける気分で緊張するので、できれば途中トイレに立つことは認めていただきたいですが……」

--うーん、それは難しい注文かもしれませんね。なにしろ、最近新聞を賑わしたような事件が発生する可能性もありますので(笑)。それでは次に、解答選手権にぜひ参加してほしい、という人がいれば挙げてください。
篠田「とにかくたくさんの方に参加してほしいです。プロアマ問わず速い人はまだまだいると思います。プロアマということはあまり意識しませんが、若手の詰将棋作家などが「指将棋の棋力がなくても上位に入れる」ことを示してもらえるとうれしいです。
 個人名を挙げていいなら菊田裕司さん。竹中健一さんなど、同年代で競い合える人がたくさんいると励みになります」

--菊田さんは今年は忙しくて不参加とのことでしたが、将来はぜひ参戦してほしいですね。それではここで、宮田六段について一言コメントをお願いします。
篠田「やっぱり解くのが速いなあと思います。できれば、18歳のときの自分で勝負したかったです(それでも勝てないとは思いますが)」

--自分がチャンピオンになれる可能性はどれくらいあると思いますか?
篠田「3%くらいでしょうか。スピード勝負ではまったく太刀打ちできないので、前半は時間ぎりぎりでも全問正解して、後半の構想作品を自分だけ正解する、という展開しか思いつきません」

--今年の目標は?
篠田「3位以内が理想ですが、1ケタ順位を守るのが現実的な目標です。変化を飛ばし読みしないので大崩れしないのが自分の持ち味と思っています」

--最後に、将来の目標もお聞かせください。
篠田「現在指将棋は休業中ですが、本当に止めることになったらぜひフェアリー詰将棋やチェスプロブレムも楽しみたいです。いつも楽しそうだなあと思って眺めていますがそこまで器用ではない(指将棋に影響が出そう)ので今は二の足を踏んでいます」

--チェスプロブレムの世界におこしいただける日を楽しみに待っています! 今日はどうもありがとうございました。

(インタビュアー:若島正)

【過去の成績】
第3回…2位
第4回…7位
第5回…4位
第6回…6位

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【チャンピオン戦出場者インタビュー2011】第1回 行方尚史八段

2011年02月12日 12時59分35秒 | 第8回出場者インタビュー

恒例のチャンピオン戦出場者インタビュー、今年はまず行方尚史八段にお越しいただきました。

——詰将棋に興味を持つようになったきっかけからおうかがいします。
行方「たしか小学校5年のとき、米長先生の『逆転のテクニック』を読みました。そうしたら、第1章が詰将棋の話で、プロになるためには『図巧』と『無双』をすべて解かないとだめだと書いてあったんで、平凡社から出ていた『詰むや詰まざるや』を買いました。あの本は問題の横に答えが載っていて目に入っちゃうので、答えを隠す紙を張ったなあ。それから6年のときに、『詰パラ』の定期購読を始めて、大学院とかの解答を送ってました。同じ頃に、屋敷さんもパラの解答者だったので、刺激になりました」

——『図巧』と『無双』を解いてみてどうでしたか?
行方「それが、『無双』の40番が全然詰まなくてそれっきりになっちゃったんですよ。不詰作があるのは知っていましたが、納得いくまで答えを見たくなかったのかな。ずっと引っかかっていたけど、25歳くらいでようやく不詰の結論出して。それからまたちょくちょく取り組んで『無双』は卒業しました。『図巧』はまだ途中で止まっています」

——他にも、詰将棋を解く訓練をしたことはありますか?
行方「18歳くらいから、藤井さん、中座さんというメンバーで、詰パラを1日で解く会というのをやってました。略称T研です。学校ごとに制限時間を設けて、解けなかったら翌月までの宿題。藤井さんが竜王位を獲る頃まで続いたかな」

——詰将棋のどういうところにおもしろさを感じますか?
行方「ぼくも若いころは、あくまで棋力向上のために詰将棋を解いていたんです。それが30歳頃から、だんだん詰将棋の芸術性というものがわかってきて、そちらにも惹かれるようになりました。以前は解いておしまいでしたが、今は作者目線で振り返ってみたりします。同じ将棋のルールなのに、実戦では実現しえない応酬、構想が繰り広げられて、将棋自体が内包している奥深い世界を感じられる、そこがおもしろい」

——詰将棋を作ってみたことはありますか?
行方「並べるだけでいい、簡単な“詰む将棋”くらいしかないですね。奨励会に入るくらいの時に、師匠の大山先生に『詰パラ』解いているところを見られまして、師匠に「きみ、詰将棋は若いうちに作っておいた方がいいよ」と言われました。あの偉大な現実主義者の大山先生でも、詰将棋を作るということに対して、きっと憧れを感じていたんだと思います」

——それはとても興味深いエピソードですね。それではここで話題を変えて、これまでチャンピオン戦に3回出場された、その感想をお聞きしたいと思います。
行方「出題された作品を家で解くのと、実際に参加して会場で解くのとでは、まったく違うということです。ぼくも初めて出場する前は、ネットで公表されている出題作品を解いてみて、「まあ宮田君といい勝負だな」と思っていましたから。ところがいざ出場してみると、そんなこと言えない(笑)。二回目は1ラウンドで大きくつまずいて、えらい屈辱感でした。今回で4度目ですし、少しはコツをつかんだつもりです。それでも優勝します、とはなかなか言えませんけどなんとか全問解きたいですね。対局のときとは違うベクトルで将棋と向き合えるのがたまりません」

——解答王の宮田六段や、つねに上位の広瀬王位をどうご覧になりますか?
行方「若いから、あれくらい解けて当たり前でしょう」

——それでも、もっと若い奨励会員の人々も大勢参加しているのに、なかなか上位に来ることができませんね。
行方「うーん、情報化が進んでの将棋界全体の流れなのかなあ。昔と比べて一つの詰将棋をじっくり考える機会が減っているのかも知れない。それでも連盟で詰将棋に取り組んでいる奨励会員の姿はよく見かけますよ」

——谷川浩司九段について一言お願いします。
行方「谷川先生が参加されることで大会に厚みが増していると思います。谷川先生の出場が続くかぎり、ぼくも出場するつもりです」

——他にぜひ出場してほしいプロ棋士は?
行方「すぐに思い浮かばないけど、あと数人は速い棋士がいると思う。今年どんな新顔が参戦するのか楽しみ。僕に前日深酒を控えさせる大会なので、ぜひ多くの棋士に参加してもらいたい」

——行方八段のお骨折りで、今年は地元の青森でも初級・一般戦を開催していただけることになりました。ありがとうございます。最後に、これから解答選手権への参加を考えている将棋ファン、詰将棋ファンの方々に、メッセージをお願いします。
行方「将棋を知っているんだったら、詰将棋というすばらしい別世界があることを知らないのは損です。詰将棋の奥深さを体験すれば、きっと世界が広がります。ぜひ解答選手権に参加してみてください」

——詰将棋作家の本当の気持ちを代弁していただいたみたいで、感激です。本日はありがとうございました。
(インタビュアー:若島正)

行方
(前回大会、行方尚史八段)

【過去の成績】
第5回 4位
第6回 12位
第7回 4位

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする