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小林繁×江川卓

2007年11月04日 | 野球
黄桜のCMで小林繁と江川卓が共演している。

かつて球界を揺るがした「空白の一日」の当事者がその時以来、公の場で
語り合っている。
なかなか味のあるCMだ。

“悪玉”江川に対し、“善玉”“悲劇のヒーロー”小林繁。
二人をこのように引き合わせたのは「時間」。
それがこのCMのコンセプトでもある。

このCMで二人は「しんどかった」と話している。
おそらく本人にしか分からない「しんどさ」があったのだろう。
とりわけ、小林には誰にも話せないような球界に対する怒り、憤り、悔しさ、辛さ
などを感じていたはずだ。
それが原動力にもなって巨人戦でめっぽう強い投手にもなっていたのだと思う。

僕は巨人時代の小林は知らないがタテジマを着ていた小林のことは知っている。
背番号19の細腕、変則フォームからの独特のピッチング、そして投げ終わった後
にはその勢いで帽子が飛んでいて、それをいちいち拾ってかぶり直す小林を見て、
気迫の凄さを感じていた。

江川のことは、ただ単に憎たらしい巨人のエースという感じだった。
球は速いし、負けないし、ふてぶてしいあの態度。
本当に嫌いだった。

かつて巨人が犯した愚行をあげればキリがないのだが、そのひとつにこの「空白の
一日」があげられる。
「空白の一日」についてはこちらを。

その後の二人の活躍は球史に名を残す見事なもので、野球ファンならご存知のこと
だろう。ましてや、伝統の阪神と巨人だ。

ただ二人の球歴は素晴らしいものであっても、その後の人生はどうかと言えば、明暗
分かれてしまった気がする。

江川のわがままさえなければ、小林は巨人で野球人生を終えて、解説者、コーチという
巨人ルートを歩んだと思う。
それが阪神にきて、引退してからは解説者をしたり、近鉄の投手コーチもしたりしたが
いまいちパッとしない。
不遇の時があって、どこかのゴルフ場だか練習場で働いていたというこも聞いた。

このCMで江川は「ずっと謝りたかった」と言っているが、謝る時間なんていくらでもあった
と思うが、それが出来なかった江川に小物、小心者を感じざるを得ない。

確かに味のあるCMと書いたが、その人の人生、裏事情を考えると複雑な心境にもなる。
そういう想いで見ている関係者もきっといることだろう。

だから小林が「風化させちゃいけない」と言っているのは、そこに小林自身が背負っている
ものが大きかったからそう言わせたんだとも取れる。

ひとつの事件をきっかけに、人生を翻弄された小林繁。
確かに“悲劇のヒーロー”かも知れない。
けれど、そういう目で見たらいけないんだろう。
小林もそういうふうに思ってるはずだ。

このCM、まったくの打ち合わせなしで、いきなりあの場所で再会したらしい。
そのままビデオを回し続けて、結局三時間も二人は語り合っていたという。
それがCMのシリーズになっているとのことだ。

小林にはもう一度、投手コーチとしてどこかのユニフォームを着て欲しい。
ユニフォーム姿の小林繁を見たい。









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