サルバトール・だれ?  by 澁澤寅彦

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外国語習得の基礎(考えをまとめるための独り言)

2005-05-15 22:08:26 | 外国語
子供の時に始めないと英語が上手にならないという前提で、実は大人になって必要だったのがイタリア語だったとする場合、どうなるのだろう。

やっていたのは英語だから、大人になってからやるイタリア語の上達は望めないということであろうか。
そうであるならば、生涯英語を使う機会のない多くの人とともに、将来英語以外の外国語を使う多くの人のことを考えて、英語は義務教育から外すということも検討すべきである。

仮に英語をしっかり身につけることで、実は将来イタリア語を学ぶときに容易に学べると言うのであれば、ひょっとすると早期教育で学ぶべきは英語ではなく、英語習得・イタリア語習得に共通している何かではないか。

そんな私にヒントをくれているのは、今読んでいる「なんで英語やるの?(中津燎子著)」文春文庫である。
著者も幼児からの英語教育には反対で、それは概ね「バイリンガルの科学(小野博著)」講談社ブルーバックスに書かれている思想と同じで、納得できる。
著者が小学生に行っているのは、英語を教えることではなく、英語を習得する際に必要となる基礎である。(そしてそれは将来違う外国語を学ぶ際にも必要となる事柄である)

著者の「英語の最大公約数的基礎ルール」というのは、次の通りである(22ページ)
1.英語は、人間同士の言語で、お互いの意思を伝達するために存在し、あらゆる他の国の言語と対等である。
2.英語は、ある規定によって発せられた音を伴い、しかも、音を重視する聴覚型言語である。
3.英語は、腹式呼吸で発生し、発音する。
4.英語は、自他を明快に分ける思考を土台にしている。

詳細については是非とも「なんで英語やるの?」を読んでいただきたいのだが、上記の2、3、4ともにできていない日本人英語学習者が極めて多いとのこと。

私の場合イタリア語は大学時代に週に1コマ授業があったものの、実際に始めたのはミラノに留学した26歳からである。「そうは言っても留学したじゃないですか」という声が聞こえてきそうだが、大学時代に勉強してそのあと放っておいたフランス語については、旅行はしたが住んだことはない。

だからといって、自分のフランス語習得能力が素晴らしかったと言うつもりはない。
イタリア語に近い語彙、あるいは文法が助けとなった部分は否定しないが、それ以上に自分の力になったものは、上記最大公約数の2、3、4だったかも知れない。

英語を覚えたときに音の聞き取り・発音を徹底的にやった私は、フランス語の場合もそうした。
Rの発音ができるようになるのに1年かかった。(1年間練習したと言うことだ)
それから、イタリアでの留学・勤務、イギリス・アメリカでの勤務で身につけた自分の意見の論理展開の方法などが、フランス語の習得を極めて容易にしてくれたと思う。

以前にも書いたが、アテネフランセの中級会話のクラスで感じたのは、自分の意見をまとめ、それをプレゼンする際の構成ができない人がほとんどだったということであった。

著者の中津さんは未来塾という教室で実践されているようである。
是非とも見学したいと思う。