ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 141ページ目 第四話 人型ソムリエロボットの実力は? 

2012-07-11 23:31:29 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【141ページ】


 専属ソムリエの味川が、3本のワインを持って部屋に入って来た。

それらのワインは、和音とのテイスティング対決用なので、紙に覆われワイン名が隠されている。


「和さん、アジミーとのテイスティング対決をお願いしてもよろしいですか?

いや和さんにロボットとのテイスティング対決をお願いするのは失礼ですね?

和さんとアジミーが同時にワインを飲み、アジミーがワイン名とヴィンテージを答える。それが正しいがどうか

チェックをお願い致します。そしてアジミーのソムリエロボットとしての評価をお聞かせください!」 

「承知しました。」

「3本のワインは、シャトー・マルゴーと同じマルゴー村のメドック格付けワインを用意しています。

味川さん、3本の中から1本を取り出し、抜いてください。」


 味川は、3本の中から1本を手に取り、抜栓した。そして二つのワイングラスに注いだ。


「和さん、どうぞ味見してください。 アジミー、グラスのワインを一つ手に取り、テイスティングし、

ワイン名とヴィンテージを分析しなさい。」


 和音は、グラスを手に取り、ワインを眺めた。



アジミーも残りのグラスを手に取り、ワインの色を確認し、香りを嗅いだ。

そしてワインを飲んで、瞬時に分析を完了した。


「メドックのワインとしては、メルローのウェートが高いワインです。カベルネ・ソーヴィニヨン47%、メルロー47%、

プティ・ヴェルド6%のブドウ品種割合になっています。このような特徴を持ったマルゴー村のワインは、格付け3級の

シャトー・パルメです。」

「和さん、ワイン名はシャトー・パルメでよろしいですか?」

「ええ、格付け以上の高評価を受けているシャトー・パルメで間違いないと思います。」

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 140ページ目 第四話 人型ソムリエロボットの実力は? 

2012-07-10 22:40:47 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【140ページ】


「私が子供の頃、夜寝る前に、老人が船で漁に行き、大きなカジキを釣り上げるが、サメに食べられて

しまう話を父がしてくました。」

「それは、ヘミングウェイの『老人と海』ですか?」

「そうだったようです。私が中学生の頃には、父の本棚から『日はまた昇る』や『武器よさらば』や『誰がために鐘が鳴る』

等のヘミングウェイの本を取り出し夢中で読んでいました。

ところが高校生から大学生の頃はロボットに興味を持ち、ヘミングウェイのことは忘れてしまったのです。」


 深川博士は、シャトー・マルゴー2,000年を一口飲み、話を続けた。


「そしてロボットの製作である程度の成功を収め、ワインに興味を持ち始めたのです。

そんなある日、知人からヘミングウェイが愛したワインの話を聞いたのです。このワインを愛するあまり

孫娘にマーゴと名付けたのです。」


「そのワインこそシャトー・マルゴーだったわけですね?」

「そうです。幼少期の思い出と共に、シャトー・マルゴーが私のお気に入りのワインになっていったのです。」

「深川博士、アジミーにひとつ訊ねてもいいですか?」

「はて、何でしょうか? 別にかまいませんが。」


 和音は、アジミーに話しかけた。


「アジミー、ヘミングウェイの愛したシャトー・マルゴーのヴィンテージはいつ頃のものと推測しますか?」

「ヘミングウェイは、1899年~1961年まで生きています。すると1960年台の名声を落とした

シャトー・マルゴーではありません。私の推測では、熟成期間を考えれば、新しい所有者に替わった1934年~

1945年頃のシャトー・マルゴーだと思います。」

「私もそう思います。」と和音が言った。




ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 139ページ目 第四話 人型ソムリエロボットの実力は? 

2012-07-08 05:31:44 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【139ページ】


 アジミーは、シャトー・マルゴー2,000年を抜栓し、グラスに注いだ。


「さあ、いただきましょう」と深川博士が言った。

「はい、それにしてもマジミーの所作は、味川さんにそっくりですね?」

「ええ、味川さんの指導を受けているので!」

「アジミーだったら、このシャトー・マルゴー2,000年をどう表現するか興味があります。

彼女にテイスティングさせてもらえませんか?」

「いいですよ」


 深川博士は、アジミーに指示を出した。

いや、その前にアジミーの方から二人の会話から判断して確認してきた。


「深川博士、私がシャトー・マルゴー2,000年をテイスティングするのですか?」

「イエス、テーブルのグラスに注ぎ、試飲して、テイスティングコメントを言いなさい」


 和音は、シャトー・マルゴー2,000年を飲みながら、アジミーがテイスティングするのを眺めていた。


「テイスティングコメントを述べさせて頂きます。

シャトー・マルゴーのブドウ品種のブレンドは、一般的にはカベルネ・ソーヴィニヨン75%、メルロー20%、

カベルネ・フラン&プティ・ヴェルド5%です。ところがこの2,000年は、カベルネ・ソーヴィニヨン90%、

メルロー10%となっています。文豪ヘミングウェイが『力強さの中にもエレガント』と称えたマルゴーとは

別物になっていると思います。」


「アジミーの個性が出たテイスティングコメントですね?」

「分析能力にかけては、世界一のソムリエと言えるからね」と博士が答えた。

「ところで、博士がシャトー・マルゴーがお気に入りになったきっかけがヘミングウェイだったそうですね?」

和音が、深川博士に訊いた。







スミレの育て方7月 スミレの管理 ゆうぎりの孫達が発芽

2012-07-04 20:28:42 | スミレの月別育て方
 スミレのゆうぎりは育て易い品種のひとつだと思います。

こぼれ種からすぐ芽を出します。







 画像のゆうぎりは、園芸店で購入したゆうぎりの子供ですが、そのゆうぎりのこぼれ種から芽がいくつも

出てきています。



 夏越しは、このままの状態で過ごし、秋になったら苗の植え替えをするつもりです。

今小さなポットに植え替えても、暑さ対策と水やりの管理が難しくで枯らしてしまう可能性があるからです。