ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 149ページ目 ロワール川巡り② 

2012-07-30 22:05:31 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【149ページ】


 和音は、ワインバー坂場の店内に入った。

いつもはオオカミグッズが並べられている売場を素通りして、奥に行っている。

しかし今夜は、数か月前に話題になった映画『おおかみこどもの雨と雪』のブルーレイが映されていたので、

見入った。


「そうか!」和音がつぶやいた。


 おおかみ男なんて現実離れしたストーリーだと思って、話題にはなっていたが、見に行っていない。

しかし、おおかみ男を外国人の恋人とかまったく違う世界の恋人(例えば歌舞伎役者)に置き換えれば、

現実味のある話になると気付いた。


「良子さんをこの映画に誘ったら良かったかな?」


 和音は、そう心の中で思いながら、奥の扉を開けた。

和音が奥の店内に入ると、マスターに挨拶しながら、いつもの奥の席に座った。


「マスター、これ、いつものように!」

「シャトー・マルゴー2,000年ですか! 田辺さん喜びますよ!」

「さて、今日のお奨めワインは?」

「スロヴェニアの地場品種で珍しいソーヴィニナスを仕入れました。」

「それをボトルで!」


 店内では、今夜も、常連の丸山が別の仲間一人と飲んでいた。


「最近の外食店の店員の教育ができていないなあ」


丸山が仲間に話かけていた。


「先日のお昼のランチで、週替わりランチの内容を訊いたら、店員が知らなかったんだ!

メニューのところには、ランチの内容は聞いてくださいと書いてあるから笑ってしまうよね?」