ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 144ページ目 第四話 人型ソムリエロボットの実力は? 

2012-07-20 21:13:09 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【144ページ】


「おっそうだ! 和さんに、先にヴィンテージを聞くのを忘れていました。

アジミーが答えた2002年のヴィンテージでよろしいですか?」

「ええ」


和音がうなずいた。


専属ソムリエの味川は、和音がすでにヴィンテージの暗示の言葉を言っていたのでは?と思った。

彼の言った言葉を反芻していて、「あっ!」と心の中で叫んだ。


深川博士は、和音がヴィンテージを答えなかったのは、自信がなかったのでは?と推測した。

3本目のテイスティングで和音に勝つことができると確信した。


「それでは、ワインを覆っている紙を取り払います。」


紙を取り払われたワインのラベルには、シャトー・ローザン・セグラ 2002年と記載されていた。


「さすが和さんですね! ワイン名をずばり言い当てています。」

「アジミーのテイスティング力もすばらしいですよ! ワイン名とヴィンテージを言い当てています。」

「最後の3本目のテイスティングです。これはアジミーに先にテイスティングさせ、ワイン名とヴィンテージを

答えさせます。和さんは、その答えが正しいかどうかチェックしてください。」

「ええ、わかりました。」

「味川さん、3本目のワインを入れて頂けますか?」


 味川は、3本目にはこのワインが残るようにワインを選んでいた。

3本目のワインには、深川博士を打ち合わせをして細工をしていたのである。

味川は、3本目のワインを抜栓し、二つのワイングラスに注いだ。


「アジミー、ワイングラスを一つ取り、テイスティングをして、ワイン名とヴィンテージを答えなさい!」