ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 146ページ目 第四話 人型ソムリエロボットの実力は? 

2012-07-23 20:36:15 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【146ページ】


「和さん、アジミーの3本のワインのテイスティングを見て、その評価を聞かせていただけませんか?」

「深川博士が自慢するだけあって、すばらしいテイスティング力ですね?」


和音が一言評価を述べた後、しばらく沈黙が続いた。


「それだけですか?」


沈黙を破って、深川博士が訊いた。


「最近のニュースで放射線量計に鉛を被せて、数値の隠蔽をおこなったことが話題になっていましたね?」

「ええ。」


深川博士は、和音のワインとはかけ離れた話題に戸惑いながらも返事を返した。


「コンピューターで、作業員が受けた放射線量を管理しているとすると、捏造されたデータによって

コンピューターの判断が誤る可能性がありますね?」


和音は、捏造されたデータの部分を強調して言った。

その言葉によって、深川博士と専属ソムリエの味川はドキッとさせられた。


「ええ。」


深川博士の声が少し震えていた。


「そ、それがアジミーのテイスティング評価と関係あるのですか?」

「深川博士はまだ気づきませんか?」

「私には、和さんの言っていることが・・・・・。」


和音は、にこやかな表情で、深川博士と味川を見つめた。

二人は、3本目のワインに対する仕掛けが見破られたと観念した。

アジミーは、深川博士からの指示がないので、3人のやりとりをただ見ているだけであった。